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- 膝を軽く緩めて・・・ - 西村雅興 [2007年7月3日(火)]



膝を軽く緩めて・・・
西村雅興
2007年7月3日(火)
重心の高さの予備動作完了形は

背筋を伸ばし、左足に力が入り、ぐーっとヒカガミが伸び顎を引いた姿勢は立派です。
立派が良いとは限りません。
肩にも足にも腰にも力が入り緊張して突っ張っていては、打つ前にこれを一度緩めないと動作が起せません。

先ず左足の先が右足の土踏まず位にまでの位置まで持ってきます。
両足に均等に重さをかけ、左足のヒカガミを思いっきり伸ばします。
左右の踵が少し浮き上がります。
頭の上にフックが有って上に引き伸ばされる様に力を入れます。
身体は真っすぐ上に延びます。
姿勢維持の全ての伸筋の筋肉が緊張した状態です。
さて、このままではここから前に進むことは出来ません。
ここからフッと軽く緊張を緩めます。
この時、体が2〜3センチ沈みます。
ヒカガミが伸びながら、膝に緩みを与えるのがコツです。

中高段者ならば相手が打つ前に、無意識に体を沈めてやや前傾になることは知っています。
相手の打つ前の無意識なる予備動作を自分の感性が察知するのです。
こちらの無意識が『来るな!』とこちらも身構える瞬間です。
これを上手に使えば、この動きをゆっくりすると相手もこれに反応してきます。
相手は無意識に感応します。
ぎりぎりまで弦を引き絞れば、相手も否応無しに弦を引き絞ります。
後は何をやっても相手は飛んで来ます。
一足一刀の間合いから、この瞬間に右足をスッと進めるのが『月影』です。

さらに進めて、身体をやや沈め、足の膝の緩みで蹴りしろ(膝を伸ばす余裕)を構えた時にすでに与えて置くのです。
これが蹲踞から立った時、既に先を取った構えです。
このままで体はさらに沈むことなく静かに立っています。
いわゆる浅い居合腰で高さを変えることなく足は動かします。
一足一刀の間合いから、この瞬間でなく、構えまま竹刀も動かさず下腹を緩めお腹を前に出します。
この時、お腹が数センチ出た分手元を腹に押し込んで、相手との竹刀の先の関係を変えません。
この時、右足の膝が緩み前に倒れない程度に支えていた右足を滑らせます。
これが重心の滑落です。
筋肉の緊張を緩める処から始動が起きます。
このままでは前に倒れますから、左足の後筋から臀部のの緊張を高め、体の落下を前進に変えます。
相手はこの動きには感応出来ません。
相手が気がついた時には既に打ち間に入ってしまっているのです。
しかも、体の前進のエネルギーを蓄え、さらに重い体重の移動は始まっていますから、慣性の法則は当てはまりません。
様は前にコケながら涼しい顔をして、姿勢を維持しているのです。
相手の心が動いた瞬間、右足をばっとと出し、左足は蹴らずにグッと思いっきり伸ばすのです。
体もグッと伸びます。
この様に井桁(井桁が伸びる様に丹田を菱形の対角線の交点として伸びるのです)崩しを実行します。
身体の体幹から発した伸びは、支点を求めることなく、ズルッと伸びます。
前進のエネルギーとこの井桁崩しのエネルギーの合力が竹刀に伝わるのです。
このエネルギーの伝搬の最終点が竹刀を通じて相手の面になります。

ゴルフは腕っ節では飛ばないことは誰しもが知っている。
体幹のねじれをクラブヘッドに伝えることを知っています。

頭で判っても実行は難しい。
一人打ち込み稽古は出来るかもしれないが、相手が居ると難しい。

ゴルフで、ボールを置かない素振りは、肩の力も抜け身体のエネルギーを自然にクラブヘッドに伝えている。
見事な素振りを良く見受けられる。
しかし、ボールを置くと、腕で打ってしまう。
動かないボールを打つときでさえこうなのだ。

ましてや打たれたがらない、相手の動く面を打とうとすれば、腕が先走ってしまうのは当然だ。
だからこそ、剣道の打ち込み稽古が大切なのだ。
打て!と心が命じたら、無意識に足が出て打ってしまっていた!・・・この境地まで稽古をする必要が有る。
しかし、ほとんど人は『心が打てと命じた瞬間、右手の上腕二頭筋と三角筋が反応しています。
大人になって剣道を始めた人に顕著に出る。
稽古をすればするほど、この傾向が強くなり、稽古をすればするほど下手になるのです。
叉、自分の有意識が打ち気の時もこの筋肉が強く反応する。

多くの人は武術的身体動作の逆の動きの稽古に明け暮れている・・・・



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