小針さん七段合格おめでとう!
今日の千代田火曜稽古で小針さんが七段に受かったと報告してくれた。 人から聞いた話だと四回目らしい。 西村は彼が七段受験中とは知らなかった。
この数ヶ月面打の指導をしている。 以前土曜稽古でもよく稽古をしたものだった。 身長は180センチくらい、すらりとした体で身体能力が高い。 鋭い弾丸のような面を打ち込んでくる。 千代田の夜の稽古の時、「おしいなあ!もうチョット変わればなあ!」 との感情が起きた。 最近はあまりおせっかいはしないことにしているが、何とも惜しい!と思ったのだ。 高い身体能力に依存し、剣道の本質的な対人関係での『自分の心』『相手の心』の織りなす彩であることに気がついていないことだ。 彼は未だ、剣道は相手との心の会話が身体的予備動作に出たり、竹刀の動きに出たりすることに意識が届いていないのだ。 高い身体能力と、勘で打っているのだ。
そこで彼に言った。 「竹刀が動く前にするべきことがある。 先ず右足を20センチくらい前に床すれすれに前に出しなさい。 これが体の攻め入りなのだ。 そうすると、私はその攻めに耐えきれず面に来ると思い、負けじと思わず打とうとするから、そこを捉えなさい。 あなたがスタートした中に西村が飛び込んで行くことになる。 その瞬間まで左手は動かさないことだ。」 彼は西村が言った通りにした。 彼の目が輝いた! 今まで打ったこの無い素晴らしい面が打てたからだ! 西村は相手に最高の面を打たせるのが上手いのだ! 彼はこのとき西村に教わる気になったようだ。 稽古に来ると必ず面打の指導を受けた。 剣道の打つべき機会を作り打てるようになって来た。 細かいことも含めてまだまだ指導するところがあるが、七段に受かってしまったのだ。
審査員が一番見たい面を打ってみせたのだ。 前に牧野さんが誰かに言ったらしい。 「ともかく七段に受かる面を打ってみせた。」 そうなのだ、まだ指導中で七段相応の強さにはなってはいなかった。 しかし、審査で審査員がうなずく合格相当の面を打ってみせたのだ。 七段を取ってからの進歩は素晴らしく、直ぐに七段の実力になった。
西村が指導をすると実力は少し足りないが受かってしまう。 多くの受験生は試合等の実力は十分ながら不合格になる。
原田先生が言った。 「いい攻めをしているな!いつ捨てるかな!」 ここを見ているのだ。 多くは一瞬早く手元が面に出てしまう。 早く竹刀を相手の面に入れたい。 体を進めている間に面を打たれる恐れが手を動かしてしまう。 この一瞬の我慢比べが剣道の醍醐味なのだ。
お互いに攻め合い、相和したとき、右足から体を静かに入れて相手に問うのだ。 相手がこれに感応した瞬間、この瞬間に捨てきって打つ。 一瞬体が飛んだとき、このエネルギーを左拳の押し出しに使い竹刀を動かすのだ。
今日は彼に言った。 「もう受験の為の面打稽古ではない、七段の位を持って十二分に攻め合った結果打つように。」 西村と良い稽古をした。 七段受験中の背中の看板を下ろした。 この稽古を境に立派な七段に変身をとげたのだ。
土谷君が言った。(西村の指導であっと言う間に六段に受かってしまった) 「小針さん!この2ヶ月くらいに剣道が変わってしまった。 とても打てそうにないし、打ち合っても入るとは思わなくなった。 構えているうちに歯が立たないと感じるようになりました。 今回は四回目の受験だそうです。」 全く第三者にも彼の変貌ぶりを感じさせていたのだ。
(彼に言った「西村は教えてあげたいと思うが、多くの人は西村には全く勝てそうにない、竹刀当てゲームをしてくれない又は教わりたくないと思い敬遠している。そして回り道をしている。教わる能力が無い。」 土谷君が言った「先生の剣道を見れば分かるじゃないですか、勝負をしてもらう相手ではないことが。はじめから勝負は考えないで引き立ててもらう指導を受けるべきだと。先生に勝負を挑むことそのものが無謀ですよ!」
ちょうど西村が面打の機会と打つ動作の指導を始めた時と一致する。 西村は六段・七段の段位合格請負人みたいだ。 それは簡単なことなのだ。 夢中に竹刀当てゲームを繰り返しながら受験をしている人に、チョットそれはさておき、剣道はこういうものだと効果的に教えるだけなのだ。 それで、相手の目が輝けば西村の指導を本気に受ける。 その段階で次の段の合格はすぐに来る。
西村は運動神経の悪い人を教えるのは苦手だ。 しかし、良いものを持ちながら、それを持て余している人には最高の指導者だと自負している。 皆様!教えたとたんに合格してしまう! 西村はチョット早すぎるのが不満なのだ。 もう少し力をつけてから合格させてあげたかったと、思ているからだ。 まあ、このように六段・七段は合格のコツを教われば、あっという間に受かってしまうものなのだ。
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