胸を遣う剣道
ゴルフは体幹の捻れを解放して、そのエネルギーを腕とクラブを通じてクラブヘッドに伝えるスポーツです。 ゴルファーならば腕っぷしでは球が飛ばない事は誰もが知っている。
剣道でも腕っぷしでは瞬速の竹刀の動きは出来ない。 体の前進する時の体幹の捻れのタメを一瞬に解放すると左小拳は一瞬に前に出る。 体の捻れのタメを肩に伝え、左右のやや引き気味の肩が前下内方に向かう。 すなわち、胸の息を吐き胸を締める(肋骨つぶし)と竹刀は勝手に面を打ち抜く。 このとき腕の力は少しも使わない。 両肘が胴を擦るようにして脇を締めて打つ。 コツは両手で水をすくうとき肘が自然に内側によって来る感じです。 後は中筋を利かせて手のうちを利かせる。
ボクシングの力の始発は、腰から発し背筋の筋肉を伝わり、肩を通って、腕を通って拳に行く。 拳が当たった瞬間はこの流れが一瞬鋼の様に繋がり、強力な当たりとなる。 要するに腰に入ったパンチになります。 強いパンチ、重いパンチとは早いパンチと違うのです。
竹刀は軽いので腕っぷしで早く動かせるのでつい体を使った動きを忘れます。
七段位の人に教えようとしても、この胸がなかなか動きません。
話しは変わりますが、佐藤博信先生が心臓のバイパス手術をされた後に西村に言いました。 「最近、剣道をすると腕が疲れる、前にはこんなことは無かったのに!」 そこで西村が説明をしました。 「以前は体幹、胸の動きを使い竹刀を動かしていました。 しかし、手術で胸骨を縦に切り裂き、開胸手術をされたので、その関係で胸を上手く遣えなくなったんです。 その結果、腕で竹刀を動かしているから疲れるのです。」と言った。 「なるほど!と頷いていました。 名人は胸を使って竹刀を動かしていた証拠です。
この胸を使うという表現は剣道の解説書ではほとんど観られない。
三つ揃いの背広で、ベストを着たとき胸と背のえぐれた部分をベストラインと呼びます。 このベストラインが自在に動けば、肩が自由に動きます。
道場で指導をした時には、直接教えられますが、文章では難しいです。 例-ベンチプレスでは最後に息を吐き切り胸を締めて差し上げます。 この最後の動きが胸を使った差仕上です。 剣道では最後の瞬間に息を吐き切り胸を締めて、体の力を竹刀の先に伝えます。
この事を知りたい人は道場で西村に直接質問をして下さい。
剣道の強い人はこの辺の体の使い方が上手な人です。
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