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- 切り落とし!の極意。 - 西村雅興 [2009年8月27日(木)]
岡村忠典先生が切り落とされた感想! - 西村雅興 [2009年8月28日(金)]
Re:切り落とし!の極意。 - 雲一刀 [2019年7月4日(木)]
Re[2]:切り落とし!の極意。 - 西村雅興 [2019年8月20日(火)]
Re[3]:切り落とし!の極意。追加 - 西村雅興 [2019年8月20日(火)]
- 切り落とし!の極意。 - 西村雅興 [2009年8月27日(木)]
岡村忠典先生が切り落とされた感想! - 西村雅興 [2009年8月28日(金)]



切り落とし!の極意。
西村雅興
2009年8月27日(木)
『切り割り』

打ち合いの利の事
(此打合いの利と云う事にて、兵法太刀にて勝利を辨ふる処也。
こまかく書きしるしがたし。
能く稽古ありて、勝つ所を知るべきもの也。
大方兵法の実の道をあらわす太刀也・・・口伝)

森田文十郎【注」

念流に「斬り割り」という技があって、「敵の太刀七分打ち出した所を、三分の太刀で、体中剣に切り割れ」と教えている。
そうすると敵の太刀を削りながら切り付けることになる。
そして、七分の太刀というのは、敵の手が伸びて我頭に当たるか当たらない処を、間髪を入れないという一瞬に切り割ることになるという秘伝であり、合い打ちの利を説いたものであるが大体これに似たものではあるまいか。
七分三分の太刀ということは、大分遅れて打ち出したことになるがそれでも間に合うものだの教えである。
合い打ちはかけた方の勝ちと伝えられているが今の剣人でこの経験のある人は少ないらしい。
三百五十匁もある真刀を打ち振ってみると小器用は出来ず、合い打ちはかけた方が勝つであろうと感じられるものだ。
竹刀ではその実感が来ないので困るので七分三分の訓えがあるのであろう。
これならばあせらず、いかにも大きく、ひじを伸べて振ることが出来そうである。
このような打ち方は体で振る技であって、即ち腰と丹田で行うことになるのである。
武蔵は細かい説明をしないので見当がつかない、・・・・

結局、森田先生は切り落としは出来なかった様だ。

他の書物でも竹刀には『鎬』が無いから、切りとしは出来ないと書いてあるものを散見したことがある。

ここからは『西村流切り落とし論」である。
全文を見たい人はログ検索で
「切り落とし」を検索するとかなりの量で書いてあります。

以下の文章は念流の七分三分の切り割りの極意を知らなかった時の発見です。


ある八段の先生が西村に言った「八段審査で切り落としをやってみれば受かるよ!大体審査員ができないから!」

切り落しについても同じだった。
相手をしっかり引きつけて斬り落せば、竹刀の重みで切れた。
しかし、そこが甘いとやはり斬り落せない。

日曜日、七段を目指す強い六段と稽古をしました。
彼は一年間、西村のことは少し強い七段ぐらいに思っていた様です。
昨年の夜の稽古を見て、目から鱗が落ちたようです。
なんで!あんな切り落しが出きるのか!
あの速い打ちをいとも簡単に捌けるのか!
と、じっくり見ていた様です。
その後から、質問してくるようになりました。

前方に打ち抜くような疾走感が得られなかった』
斬ると言うことはそういうことです。
竹刀の競技としての前進をするのではなく、竹刀を刀と想定し、相手が伸び切ったところを、上から斬り落す。
これで正解です。

西村の場合は左脇がしっかりと絞まり、左手首の中筋(なかすじ)が効いているので、相手はこの拳で左に素っ飛んでしまいます。
でもこれはちょっと難しいかも。

『私の左足はほんのわずかしか前進していませんでした』
これで良いのです。
余り前進すると、相手の竹刀に力がある時に自分の竹刀が当たるので、相手の竹刀も飛ぶが、自分のも飛んでしまいます。
切り落しは相手の体と竹刀を伸び切らせて、上から下に落す。
相手が伸び切るには、自分は余り前進しないことです。

西村が京都で新七段と稽古をして、全て斬り落した時、西村の身体は前に飛びません、後ろ足で体を押すだけです。
こちらの右足が静かに滑りだして、相手を前傾させ、ぐっと足を前に出すと、相手は面に飛び込んで来ます。
最初の間合から見れば、相手の前進は七分、西村の前進は三分。
相手の身体が伸び切り足が空中に有る処を、右足に体を乗せ床かを強く下に踏み込み、この反作用で竹刀を真下に落すと、相手の竹刀は弾け飛んでしまいます。

それとは違い、西村がぐっと体を上に持ち上げて、竹刀も天に届けと真上に引き上げます。
これに引きだされて相手が面に飛び込んでくると処を、体の重心の落下と胸を降ろす勢いで斬り落しをします。
この時は未だ足がついていないような気がします。
どちらの場合にも切り落しは見事に決ります。
胴体力で言うと、どちらの場合も身体の力が竹刀に乗っています。
重心の上方への反作用の利用。
重心の急激落下と胸の下がりの利用。

シャワールームである人が言った。
「今日は先生の凄い打ちを見ました。
相手は切り落されて、真っ二つですね!
あんなことが出きるんですね!」
西村が言った。
「川瀬先生が言ったよ!
八段審査で、切り落しをやって見せれば受かるよ。
審査員の先生がしたくで、出来ないのだから。
竹刀は鎬が無いから切り落しは出来ないという人がいるが、それはウソだよ。
自分が出来ないから、言い訳に使っているだけだよ。
真剣に比べ、あんなに厚みがあるのだから、その厚み分だけ有利だよ。
難しいのは、相手の打ちを呼び込み、体と竹刀が伸び切り、その力が弱くなった所を、上に上げた竹刀を下に引き落とす事なのだ。
相手の前進が七分、自分の前進が三分。
相手の竹刀が前に進み来る打ちに対して、真上から切り落すことにより、切り落しが出きる。
大切なことは、相手の竹刀はこちらに飛んで来るのを見ながら、自分の竹刀を頭上高く引き上げて、落す瞬間を待つ肚なのだ。
そのと時が来たら、息を一瞬に吐ききり、胸を降ろし、肩が前下内方へ落ちる力と脇の締まりで、体全ての力が竹刀に凝縮する。
この様な体の使い方を知らないと、本格的な切り落しにならない。
負けずに打ちに行くと、先に前進の動きを起した相手に面を打たれる。
身をさらし、手を呼び込んでから打つから難しい。
技術だけではなかなか出来ない。
西村に切り落し、斬り落し、斬りの言葉の方がしっくりくる打ちなのだが、これをやられると相当こたえるらしい。
取ったと思って打った面を、後から動かれて、竹刀を弾き飛ばされ斬り落されると、「ぎゃふん!」となるのだ。

背筋が働き、上体を上方に引き上げる力が働くと、竹刀の下方への力とスピードは尚増すことになる。
摺り足で前進して、先に足を付け右足を急に伸ばし、体を押し上げると、その反作用で竹刀の下方への力は強力になり、切り落しの威力が増す。
一刀流の切り落しの極意、右足の強い板の踏み込み、それは体の押し上げを意味し、そこからの反作用の利用を教えている。

先ず面を打つとき、『頚反射』を使う。
竹刀が面を打つ瞬間に頭を強く後方に引くと、その質量相当分のの力が前に行く。
頭を後ろに引けば竹刀は前に伸びる。
高校生の試合の面での写真などでよく見受けられる。

相手の伸び切った所を下に切り落す場合は、頭を上に突き上げる。その分だけ竹刀を下方へ向ける力が増す。
一刀流の極意切り落しは、前足を床を破らんばかりに下に踏むという。
床を下に強く踏む意味は、体を急激に上方へ向ける力が発生する原理だ。
そうすると、自然に手は下に強い力が働く。

西村の場合は相手の動きの数倍速い入り身、重心の滑落、手の内、腰の冴え、切り落し、身体の緩み等を確認しながら緩やかにダンスの様に動いている。
十二分に勝てる相手を遣って、身体運用、技と冴えと呼吸の稽古をしている。
相手がい打ちあう前に、既に終わっているから、楽な稽古だ、それだけに自分を統合した動きの稽古の専念できる。
これをしないと、ただの運動に終わってしまう。

最近の心境。
竹刀を手に持っているが、心境は徒手空拳。
相手の間合も竹刀も攻めも何もない。
身体は自在に動く。
相手の心と、自分が同調しているだけだ。
そうすると、相手の心を包み込んでしまえる。

遠くに跳んで打とうとすると、遠くから打つことが出来ます。
その分何処かに負担がかかります。
目の前の物を軽く一歩出て、刀で据え物を斬る時は、下向きの力は強く作用します。
剣自分は少し前進し、相手を大きく引き出し切り落します。
自分もかなり前進する必要が有るとき、『斬り込む』・『込む』の意識を強く持つと、適度な前進と斬りの力が発生します。
この時は、足に意識が一切なくとも、目的に適った身体動作をしてくれます。

切り落しは心身ともに覚醒し、相手を気力で圧倒し、スッと捨て入り相手を起こし打たせた時しか上手く行きません。
それに、竹刀の重さも必要です。
さらに自分の正中を切り下ろす竹刀を信じた時だけ上手くいきます。
柳生流の『合撃(がっし)打ち(相打ち)』
相手に先に打ち出させ、その動きをみたうえで、打ってくる竹刀の上にわが竹刀を打ち被せる。
心身が覚醒していないと出来ない技です。
かなりの緊張感と緩みの存在が必要なのだと、最近判って来ました。

前回、桑田の重力を応用した古武術的な動きを考えてみよう。
重力の重みを使う方法である。
フッと膝を抜くと七十キロ位の体重が一瞬に落ちる。
この仕事量を腕に一瞬に伝えればかなりなエネルギーを得られる。

切り落しの場合、
相手が前に伸び切った所を、自分は前進を弱め上体を上に引き上げてその落ちる力を胸に伝えて切り落とす。
相手の距離の移動は前に七分、自分は三分。
相手は体を沈み込んで伸び切っている。
自分は相手の受けから体を乗せる。

身体・竹刀が動く力学的考察

前から纏めたいと思っていたことです。
先日、軽井沢でHideさんが何気なく話した、頚反射と小沼先生の京都大会の右足をくの字から真っ直ぐのばす力を利用した、一刀流の切り落しの秘伝がきっかけです。
今回これが書けたとはHideさんのお陰と感謝しています。
さらに、相手の構えから相手の得意技を推察する話し、この構えからはこれしか出来ないと話した内容は正に適切なる推察はには恐れ入った。
無意識が次の運動のために備えた身体の準備姿勢が構えに現れていることの話しです。
さすがは体育を専攻しただけのことはあると舌を巻きました。

西村の切り落としは上に伸びた体が、沈む力に胸を下ろす力を加速して打っていた。
そのちょうど逆の作用で切り落としがあるのを聞いて、それは理に適っていると思った。
秘伝の中に自然の法則が隠されている。
結局のところ、秘伝はこの法則を身体意識を通じて発揮される。

土曜日久しぶりの千代田の土曜稽古に行った。
川瀬先生八段に足の不調でご無沙汰した事を告げる。
京都で杖をついて歩くのがやっとで、一歩が出ない状態で剣道をしたことを言った。
そこで、相手が打ってきた面(ほとんど引き出したのだが)をほとんどすべて切り落としたことを話した。
川瀬先生が言った。
「みんな面の切り落としをしたくて必死になっている。
しかし、ほとんど出来ない。
試験でやって見せれば八段は受かるよ。
先生方がしたくて出来ない事をやって見せれば、三重◎だ。
先生方だって驚くよ!」

前にも書いた事が有るが、竹刀に刀の反り、鎬が無い所が刀の技が出ないところだと言われている。
その延長線上でそのために、竹刀では切り落としが難しいと言われていた。
西村は京都ではほとんど相手の面打ちを切り落として、そして見事に決まる所を披露してきた。

竹刀には刀と違い、刀に比べ物にならないぐらいに厚みがある。
自分の刀を正中に上から切り落とせば相手の竹刀は弾け飛ぶのは必定だ。
よって前述の理論は通らない。
自分が出来ない立派な理由を付けているに過ぎない。
その証拠に西村に切り落とされた竹刀は弾け飛んでいた。

これは前にも書いたが、体の運用、相手と自分の力のベクトルを考えれば簡単に解決する問題だ。

身を上に延ばすように胸を出す。
そうすると、相手は面に来ると思い面に打ってくる(相手を引き出す)。
このとき、1/4位しか体を進めず、両拳を真上に押し上げ相手が見える位にする。
このとき、決して竹刀の先を後方に持っていかない。
相手から見ればこちらが余り前進しないから、身体を伸ばし手を伸ばして面に届かそうとして伸び切っている。
拳が身の内から離れ脇が開いてしまっては間が延びた一本の長い棒の様な物だ。
しかも、竹刀の力の方向は前進の直線的な動きだ。
この伸び切った状態の竹刀を気にせずに、真上から真下に喉元まで胸を下ろして切り込む。
左腋はしっかり締まり、肘は内筋を活かし力が外に逃げないようにしている。
手首は中筋が通ることにより、固定されている。
(ゴルフスイングの左手首固定、ボーリングの手首固定と同じ)
そうすると、竹刀の下に落ちる力は胸を下げる胴体力が直接懸かることになる。
しかも、その時竹刀の物打ちで打とうとはしない。
相手の竹刀を鍔で叩き落とす感じで、切り落とす。
このとき、竹刀の先を早くしょうとして手首に力を入れてこねると力が抜けてしまう。
これは右手の押しと、左腋の絞めに寄る左拳の引きの手に打ちとする。
打っていった時の拳の高さを目標としないで、このときばかりは胸まで切り落とす感じで竹刀を切り下ろす。
そうすると、最速の時に相手の竹刀、面を打つことになる。

相手の左拳が動く前に自分の手元をあげると、小手を打たれる。
相手の左手が動いた瞬間に自分の手元を上に押し上げ、ギリギリまで引きつけ相手が伸び切った時に切り落とす。
相手に体を進め前進すると、相手の竹刀に威力が有るので切り落としは出来ない。
相手の竹刀が六分、自分の竹刀が四分(3:7でも切り落しにならない)【今は3:7が良いと思っている】
面返し胴をギリギリまで引きつけて胴に切るに似る。
そうしないと、京都で西村が切り落とした様には出来ない。

技術的な事はいつでも教えます。
そして、直に習得することは出来ます。

難しいのは内面の問題です。
十分に攻めた後、相手に我が身をさらし、面に行くと見せる。
そこで、相手の手元の上がる反応を見る余裕がないと小手を取られる。
この一瞬を自分の手元を動かさずに、相手を見ている心の余裕が有るか?
ここが一番習得の難し所です。
打たれたくないと思えば使える技では無い。
打ちたい気が消え、我慢比べで相手を許す気持ちが無いと出来ない。
十分な攻め合い、相手がもう我慢できない状態に追い込んでから
自分が我慢できない振りをして打ち気を見せる。
気の実のぶつかりに虚を見せ、そこに相手が実で打ち込んでくる。
相手の実が既に消えようとする瞬間、真上から実の気と竹刀が真下に落ちてくる。
自分が相手に合わせて打ちに行くと、相手の実に自分の実がぶつかり切り落としは成功しない。
相手の気の実も体から発した竹刀の実も既に消えようとする瞬間を、
「そこが貴方の甘いところです。」と心で囁きながら教育的打突をもって、
指導してあげる。
此の様な気分でないと成功しない。



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