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- 船は水に浮かんでいる。 - 西村雅興 [2004年12月24日(金)]



船は水に浮かんでいる。
西村雅興 [HomePage] [Mail]
2004年12月24日(金)
歯を治し体調を良くするには、通常の3倍手間がかかる。
ずいぶん昔の話だが、ある先生がある女性の司会者を歯の治療をするときに言った言葉がある。
「私の言う取りに治療をさせると、あなたに子宝を授けるよ!」
その女性司会者が言った。
「え!本当ですか。子供が出来たら先生に差し上げますわよ!」
先生は本気だったのだが、この女性には冗談に聞こえたのだろう。
その結果子供を授かったのだ。
この女性は子供を大切に育てたのは言うまでもない。

この先生が西村の前で言った。
「俺はこの手の治療はやめるよ!
手間ばかりかかり、儲からない!
3倍手間がかかって、治療費が同じではやってられないからだ。
誰か代わりにやってくれよ。」
西村が言った。
「ハイ!先生、私がやりますよ!」
約30年間このような仕事をやってきた。

形あるものは何とか治せる様になった。
しかし、形あるもの奥には必ず形のないものが潜んでいる。
言い換えれば、形あるものは形ない物の水の上に浮かぶ小舟の様な物だ。
船の修理は出来るが、小舟で嵐の海を乗りきることは出来ない。
静かな水面か嵐の海かはその人の心のありようなのだ。

最近つくづく思うのだ。
歯の噛みあわせ、顎の状態、筋肉を見るに連れその人の人生までも感じ取れるのだ。
本人が気がつかない生き様まで分かるのだ。
本人が口で何と言おうと、顎口腔系の状態が西村に語りかけるのだ。
三枝先生が背中を一度触れば、その人の人生が分かるのと同じだ。

このことから、最近特に感じることがある。
入歯の検診に来られる人を診・観・見ていると分かる。
「穏やかな良い人生をされているなあ!」
入歯は入れた時と全く変化がない。
私の入れた入れ歯は、その人の命を立派に命を支えながら身体の一部になっている。
そして、その入れ歯はその人から感謝され愛され使われていると言う事実だ。
このような皆様は物腰も穏やかで、話し方もゆっくりとし、人間としての生き方と動物としての生き方の調和が取れている様に思う。
このような患者様はすでに患者様出はなく、友人だ!人生の先輩だ!
彼らは身をもって教えてくれる。
「西村さん、人生はこう生きなさい!」
本当に良い手本を見せていただいている。
しかし、丁度その逆を見せて頂く機会も多い。
この逆の見本はうんざりするほど見・診たので、最近はお会いするのを遠慮している。
西村の寿命が縮んでしまうからだ。

西村の限りあるエネルギーを、いかに有効に使おうかと毎日思いながら仕事をしている。

良い仕事が出来たときはその日の剣道は快調だ。
しかし、変な人にエネルギーを使うと、剣道にならないのだ。
良い人に出会うと、エネルギーはお互いが高めあいより楽しく健康になり。
その逆になると不幸の底に道連れにされてしまう。

西村は良い人との出会いを選択する日々なのだ。



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