"これは欧州歯科研修旅行の報告書の一部である。 税務署は最近うるさく、旅行の詳細な内容を聞いてくるので、その都度報告書を作成する事にした。 歯科医周辺、患者様の意識、世界の事情など読まれた方は参考になるかもしれない。 ここに書かれた内容は西村の偏見と独断に満ちた内容と解釈されれば、気安く読めると思う。 追って、骸骨からの西村的考察等も付け加えたい!
欧州歯科研修旅行 目的 1・欧州、特に旧共産圏のハンガリーと資本主義圏のオーストリアとの歯科医療の差 2・チェコスロバキアにおける歯科大学の見学 3・骸骨で内装したお墓から親知らずの状態を観察し考察をする 4・イギリスにおける予防と美容を兼ねたデンタルスパの現状を視察する
1・・・・・・・・・・ 日本の歯科事情の変化を推測するために、世界歯科事情を研究しているうちに、ハンガリーのオーストリアとの国境の町ショプロンに出会った。 この町は人口5万人に対し歯科医が200 人以上いる。 国の経済格差が歯科の治療費の格差になっていて、治療費の安いハンガリーに患者が流れるのだ。 ・かって、スイスに行った時、スイスは物価が高く、特に歯科の治療費は特別に高額で「小型車一台分」が通り相場と聞いたことがある。 そのため、スイスのフランス語圏の人は車でフランスへ日帰りの治療に行くとの話を聞いたことがある。 ・今回の両国は資本主義の国と旧共産圏との国でその経済格差は特に大きい。 ハンガリーは外貨獲得の一つに歯科医療に力を入れ、その技術向上に力を入れていると聞く。 この国は評判を落とさないように、知識と技術水準を維持するために厳しい課題を課していると聞いた 外国からの患者には空港へリムジンカーやホテルのサービスもあると聞く。 本国で高額の治療の場合飛行機で来てハンガリーで治す人もあるらしい。 ・今回、西村はオーストリアとの国境の町ショプロンの町に直接行って歯科医の開業状況、特に看板の出し方、開業医間の距離について考察したかった。 ・・・・・ビデオ・写真参考 通訳の人がショプロン(Sopron)の町で開業歯科医を検索した書類を見せてくれた。 なんとA4二枚にぎしりと書き込まれていた。 その数はおそらく60件を下らないと思った。 ・町並みのメインストリートにある開業歯科医に通訳と共に飛び込み、パンフレットをもらい、他の歯科の開業医はどこにあるかを聞いたところ「町を歩いてみれば歯科医の開業のプレートがいたる所にある。」との返事だった。 【DENTAL PANNONIA FOGA`SZATI KFT. Sopron-Ungarn im Med-Hotel Pannnonia H-9400 Sopron,Va`rkerulet 75 . Tel.:36/99/312-181】 {インプラントはリンコウ、ブウアー、ツービンゲン、ブローネマルク、レンターケルなどを施術しているが、世界的なスタンダードのITI(ストローマン)、カルシテック等はやっていないようである。 デンタルユニットはSIEMENSを使っている。 ・通訳の持つ住所を頼りに探し始めたが、その必要がなくいたるところに歯科医院があった。 月曜日が一般的に休診日なのか、このホテルの歯科医院のみ例外であった様である。 国境を越えて来院する患者を当て込んで、土曜日曜は診療をしているらしい。 通りにそって数件の歯科医のプレートが真鍮色で出ている。 大きさは皆同じ大きさであった。 意外に少ないと思ったが、一歩路地を入ると奥まった中庭風の周りにずらりと歯科医の看板プレートがあった。 いずれも休診日であった。 入り口はどこも質素で白いドアがあるだけだった。 少し歯科医の入り口らしい雰囲気の歯科を見つけたが、やはり休診日であった。 ガラス越に中を覗くと、昔の足踏みドリルの展示がしてあった。 どうやら、ホテルの歯科医と、ここが中核の歯科医院のようだ。 質素な雰囲気の歯科医が中心なのはオーストリアへ行ってわかった。 オーストリアの歯科医療保険がハンガリーで行った治療でも有効だと聞いた。 ショプロンでは保険中心の歯科医療を行っているらしい。 しかし、ハンガリーの歯科医が手に入れる金額は莫大なものであり、オーストリア側が支払う金額は通常となる。 西村が行ったところは高度な治療をしている方であろう。 本当の高額の治療を望む人は遠く外国から飛行機で来るらしい。 今回はそこまで踏み込むことはできなかった。 さらに顕著な町、モションマジョローヴ人口1万5千人に300人以上の歯科医がいると聞いたが今回は国境の町の歯科医療事情をメインにした。 追記 【マントンヴァーシャール】 ここはブダペストに近接し、南西30キロの小さな町である。 自国では町自体はべートーベンゆかりの地として有名である。 しかし隣接、またはヨーロッパ諸国では別の意味で有名である。 人口1万5千人に300人もの歯科医がいるときいた。 以下は現地通訳とカタログの説明がメインとなる。 ・ホリデーをとって歯科治療を受けよう ・空港(bratislava)から車で案内(シャトルサービス)をし、希望により朝食付き ホテル、全食つきホテル、またはゴルフホテル付き個室ホテル等を選択できる。 ・英語の通訳をつけ、スタッフは英語。ドイツ語を母国語とする人が付いてくれる。 ・5年間の品質保証を書面で出す、材料証明書も出す、初診の審査コンサルテーショ ンは無料、 ・西欧諸国と同等の品質保証 ・安全な材料と短期間の治療仕上げ ※デンマーク人(john coneley)のKGDental体験は驚くべき信じられない体験であ り、品質と価格の面でもたいへん満足できるものとの評価を示している。
葛西駅前の西村歯科医院の周りにはショプロンに負けないほどの歯科医院の乱立である。 多くの歯科医院は保険が中心で経営に四苦八苦しているのが現状だ。 しかし、西村歯科医院は売り上げの9割が自費治療なのだ。 患者数は少ないが大きな売り上げをあげている。 人は自分の体が可愛いのだ。 ショプロンの歯科医は保険であっても、実質は自費に等しい価格の金額を得るので懇切丁寧に治療をし、その評判をあげているのだろう。 出す金額が同じならば、親切で腕の良い歯科医にかかりたいのは人情である。 少しぐらいの距離はいとわないのが人間の本性だ。 本当に丁寧に腕が良い歯科医であるならば、患者様も距離も出す金額をいとわないのも歯科医療の本質的なところがある。 その意味では、必ずしも金額のみが絶対的要素ではないような気がする。
西村歯科医院には日本中から多くの患者様が来院されている。 そして、紹介で遠く新幹線で来られる人も多い。 実は娘婿が歯科医です、親戚に歯科医が四人います、九州中の有名な歯科医にかかりました、先生で10軒目です・・・・と言われる。 最近、香港から来院されたご夫婦は1回の治療で頭痛とひどい肩凝りから開放され、付添のご主人も西村の1回の治療で長年苦しんでいた腰痛から開放され、その場でコルセットの必要がなくなった。 毎年1回、噛み合わせの治療に来院されると誓われたそうだ。 人間は誰しも自分の健康と命が愛おしい。 健康に関してはその人の価値観で決まる。 ハンガリーの国策・歯科医の努力と経済格差の利用は今は特別な効果を示している様だ。 歯科医療はその成果を微妙な感覚器官を通して感じることができる。 その意味で、ハンガリー歯科医の技術水準の高さを感じざるを得ない。 さて、金額の面での評価をしてみよう。 インプラントを多用した外科処置と補綴の場合は日本でも通常は数百万円を超える。 上下をすべてインプラントで処置すると、700万円を超えるだろう。 それと同じ処置が約1/5の100万円前後でできるとすれば、飛行機、ホテル代も安いものだし、医院側もリムジン、ホテルサービスをいとわないのもうなずける。 実質5〜10倍の治療格差は近隣諸国の歯科医の驚異になっているのが現状らしい。 マントンヴァーシャールのKGDental等は西欧での高額治療を安価で高品質を施すことで評価を受けている様だ。
西村は9月にポルトガルにインプラントの研修に行く。 最近開発された特殊な方法で、難症例の上下総義歯を一日でインプラントを植え、その日にしっかりインプラントで噛める固定義歯が入る方法だ。 長年苦しんでいた総入れ歯の悩みが、滞在期間約三日でその処置が終わるとなると、驚異的は施術としか言い様が無い。 今は世界中からわんさと患者が押し寄せていると聞く。 ポルトガルの物価からみて割安の治療費もそれに拍車をかけていると考えられる。 日本ではまだ数件しかやっていない。 そのうち西村歯科医院の目玉商品になるだろう。 (顔貌の修復面ではいささか西村は意見を異にするところがあるが。) 価値ある仕事・内容・経済の原則これらの相対的なところに物事が落ち着くのが理の当然だ。 どうやら、ハンガリーの歯科医の評価は国境の町ショプロンでの問題を超えて、高額なインプラント治療に対応する全欧州的な歯科医療事情に発展していきそうな気がする。 日本の女性に「タイへ旅行してついでに二重マブタを手に入れよう!」の誘いがある。 タイの安くて上手な美容外科医の評価の定着がこれを後押ししているのだ。
結論 これらの検証から次の様に結論する。 結局は相対的に高い評価を維持するしか、歯科医師個人の未来は無いとの結論になる。 しかし、高額な治療に於ては日本でもその内容の評価が大切である。
インプラントその物は現状ではよほどの無理をしない限り安全であるとされている。 問題はその上部構造物・補綴処置の顎関節、筋肉等の人体との生理的許容範囲に十分配慮されたかどうかにつきる様だ。 西村歯科医院は生体に快適なものを入れることにより評価を得ている。 ハンガリーの歯科医もこのあたりの配慮が十分なのであろうと推測できる。
尚、記録は別に写真・ビデオにて収録済・収集パンフレットあり
2006年6月29日記す 西村歯科医院 院長 西村雅興
2・・・・・・・ ・チェコに於ては現地の方と連絡が不十分であり大学を訪れるにとどまった。 内部に入る許可も得られなかった。 大学のインプラントセンターの小さな看板を見る限りに於ては途上国の域を出ていな い様である。
イギリス歯科事情視察 ・今回はイギリスにおける、新しい発想の呼び方DENTAL SPAに大変興味を持った。 先日の坑老化学会でもアメリカ人の女史がエステ→スキンケア→皮膚科→美容外科と の流れがあり、やはりスパ感覚での入り口を用意しているとのことだった。
・イギリスに着くとホテルまでの案内の女性からイギリス歯科事情を聞いた。 彼女はナショナルヘルスの歯科治療を受けたことがあった。 父親の関係で日本と同じ感覚で保険証を使ったらしい。 日本に帰って歯科医に行った時に言われたそうだ。 「あなたはどこの国に行っていたのですか?かなり低開発国のようですね!」 彼女はその時に始めてイギリスのナショナルヘルスのレベルを知ったのだ。 そういえば、先日のテレビで失業者が歯科治療を受けるのに200メートル並ぶ映像を 放映していた。 最近では保険証を使える歯科医を探すのに苦労をするとのことで、普通に職業を持っ ている人はプライベート・デンティストにかかるのが普通の様になっていると聞いた。
さて、日本でも九州のある公立病院は二ヶ所とも歯科部門を閉鎖したと聞く。 一つは厚生省管轄?の病院らしいが、経営的に保険では成り立たないのだ。 4〜5年後以降はほとんどの国公立の病院は閉鎖に追い込まれるらしいと聞いた。 医学の社会的適応が医療で、歯科医学が国の管轄では医療として成り立たないことを 証明している。 痛い歯を抜くだけが歯科医療である時代はとっくに過ぎ、その質を問い始めると保険 で成り立つ道理が無い。 産科医がお産から撤退し、婦人科のみの治療に移っている。 昔は年に3000人ぐらいはお産で無くなっていたのだ。 今は妊婦はお産は病気でない100%安全なものだと勘違いをしている。 そこから、医療訴訟がおき医療訴訟の30%が産科医に起きている。 昔は100人の医学部の卒業生に15人ぐらいは産婦人科の希望があった。 その多くは父親が産婦人科であるとの理由がであったらしい。 ある先生が医局に15人入ったが、数年経てば3人になってしまったと嘆いている。 医局制度が変わり、大学にも残る人がいなくなり大学が派遣をしていた公立系の病院 は相次いでお産の扱いを取りやめている。 先生がいてもお産は扱わずに婦人科の診察のみとなっているところが多い。 人口10万の花巻市では公立系の産科が二つ、開業産科医が二つあった。 つい最近、岩手医科大学は産科の先生を引き上げたので、二つの病院のお産は閉鎖に なった。 そのうち、開業の先生も一人やめたので、今は人口10万に一人の産科医しか居ない が現状だ。 『お産難民!』と云う言葉が流行っている。 なんのことはない、戦前の医療レベルに意識が戻れば問題は解決なのだ。 しかし、いったん振ったさいころの目は戻らない! 問題解決の道は簡単なのだ、お産が社会的に適応し医療として成り立たせれば良い。 つまり、産科医とスタッフに今の収入の3〜4倍の金額を支給すれば、医者もスタッ フも増えるのだ。 要求だけして対価を支払う気持ちがないことに原因がある。 それを国に何とかしろと言ってもそれは無理なのだ。 すでに日本の国民健康皆保険は崩壊してしまっているのだから。 誰もが知っている年金が崩壊をしている様に、国民が役人にだまされているのに気が つかなかった愚かさが原因としか言い様がない。
さて、歯科医療に戻ってみよう。 イギリスのプライべーと歯科医にかかると」 ・初診が約15000円〜から始まる ・一番簡単な一根管の切歯で約40000〜70000円 ・臼歯根の治療は50000〜100000円以上かかる ・簡単な抜歯は15000円からで複雑になると数万円になる ・上に被せるもの(冠、セラミック)も15万円〜と云うことになっている。 ・プライベート歯科医にも腕の差、レベルがありこれが最低ラインの費用と考えよう 上記の基本的な歯科治療を日本で保険で行えば、歯科医にはこの金額の 1/10〜1/15相当しか保険の金額が支払われないのだ。 歯科医が一日60〜80人診ていた粗雑な治療の時期ならいざ知らず、良心的な歯科 医ならば一日10〜15人診るのがやっとだろう。 日本の歯科医療は自費との混合診療が認められているので何とかやりくりできてい るのだ。 それでも、最近は夜逃げをする歯科医がいる。 最近のトレンディードラマでもそのようなシーンがあった。 歯科医になるには6年間で(私立大学)約5000〜6000万円かかる。 そのため、歯科大学入学希望者が減って経営困難な状況に陥ってる。 様な構造的な不採算部門に成り下がっているのだ。 産科はきつい、危険、不採算の典型で社会問題になっているが歯科もすぐそうなる だろう。 人間の命は尊いものだ、健康は大切なものだと誰しもが知っている。 その人間の体の取り扱い方はどうだろう! 甘い物を沢山とれば虫歯になることは誰もが知っている。 歯の手入れを怠れば歯周病になることも知っている。 年齢を重ねれば『齢に歯があるがごとく』誰しも喪失していく。 それをほっておいて金は出さぬが治せとはこれいかに! それを保険!保険!と言って死んでいく! つい最近の保険の改正で、歯科医は保険医療では食べていけないところに追い込まれ た。 そのため、猫も杓子もインプラント!インプラント!と大騒ぎをし、セミナーは押す な押すな大繁盛だ! しかし、その後の悲劇が心配だ。 歯が無いことの影響も大きいが、骨に固着したインプラントの上の被せものは慎重に も慎重にも"
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