昨日は岩手県の強豪高男女16チームを選抜して 行われる岩手医大主催の選抜高校選手権。 (西村先生の母校が主催です) 男子は福岡高校が優勝、女子は原田先生の娘さんが 監督を務める盛岡南高校が優勝。福岡高校が準優勝。 二戸に帰ってから祝勝会並びに反省会。 生徒20名。後援会25名の夕食会を開催。 原田先生はお酒を召し上がらないが 沸き返る父兄にいちいち笑顔を向ける。 ひとしきり飲み食いが続いたあと岩崎にぼそりと言う。
「あのなぁ、打つ稽古ばかりしているから今回のように 苦戦をする。」 「お前はなぁ、早く打つ。数多く打つ。そういう稽古だけ 生徒にさせる。肝心な間合い・打つ機会を教えていない。 だから生徒がこんなに苦労して試合をしなければならない。 本日の試合の苦戦の最大の原因はお前の指導方法にある。」 「打たない勇気を持たせる稽古をすること。」
「指導者は自分ができないことは指導できない。 だから、お前は八段が受からない。」
『「打たない勇気を持たせる稽古をすること。』
ある稽古会で終了後、梯・範士八段の談。 『打って反省、打たれて感謝』と云う事を言われました。 梯先生の評価が高いのはこの心がけからでしょう。 原田源次先生いわく「あいつは強い!人間も立派だ!」 剣道の上級者を目指す人には誠に意味深い言葉だと思います。
原田源次先生が試合の度に「打たせろ!打たせれば良いんだ!」といつも言っておられた。 何を言っているのか全く判らなかった。 何時のころからだろう、西村はその意味が判った。 その頃から、剣道の表面上の『動き』から、その動きの背後にある『心』の存在に気がついてきた。 同そして、頃を同じくして、相手の心が西村の左胸の鏡に感じる(移る・うつる)様になった。 相手が打ち気(無意識レベル)を起すと西村の左胸それを察知し、無意識レベルで反射の準備をしている様です。 この反射・叡知を妨げるものが有ります。 自分が打ち気(無意識レベル)になった時、相手は全く見(観)えない。 ただ、自分の正体をさらしただけだ。 一対一の競技で、武術で、自分の動きを起す前の心を読まれればその時点で勝負は終わりだ。
以前、古いトランシーバーの話をしました。 自分が話す時はボタンを押して話せば相手に通じる。 相手がボタンを離しておれば通じる。 それ故、自分がはなし終えると「どうぞ!」と相手に話す機会を与える。 そうすると、相手はボタンを押して話はじめる。 双方向の無線機がある現在では考えられない旧式です。 自分がボタンを押して話しているあいだは、相手のメッセージを聞く事が出来ない。 自分がボタンを押していない時は、いつでも相手のメッセージを聞く事が出来る。 剣道は相手との情報のやり取りでなりたっている。
双方が、ただ打たんと思い剣道をしていると、双方ともボタンを押した状態だ。 双方が、相手の情報を得ようとしない、双方明き盲の状態の剣道をしている。 当たるも八卦、当たらぬも八卦と・・・勝負は運が決める、運動神経、身体能力が決める。 ・・・これでは武術・武道にならない。 多くの中級者がこの場面で足踏みをしている。 感性の高い人はこれに頼って勝ちを得るので、前に進めない。 武術・武道になるには相手との心理的かけひきと(読み)、反射(叡知・不動智)の十分な運用こそが肝心なのだ。 そこの高めあいが武道に昇華出来る。
トランシーバーのボタンを押して、短いメッセージを送る。・・・・先 すぐさまボタンを手放し、相手からのメッセージに耳をそばだてる。・・・読み 相手がボタンを押して、『打つ!』と無意識レベルのメッセージを送ってくる。 その瞬間、体を進める。 相手の有意識レベルが筋肉に打てと命じる。 準備万端の所に飛び込んで来る相手を捕まえる。 『飛んで火にいる夏の虫!』なのだ。
ボタンを押しあって、情報を発信している時はお互いに『明き盲』だ。 しかし、ボタンを手放した時、相手の情報は入ってくる。 相手は自分の正体をバラシた情報を、相手が手に入れているとは、全く知らないのだ。 これでは勝つわけがない。 自分から負けに入っていっているのだから。
この一瞬のメッセージの体現化したのが、月影の右足なのだ。 スッと体を進めて『棒身』の状態、これも先を懸けるメッセージなのだ。 左踵を少緩め、攻めを緩めて相手を引き出す・・・緩める先なのだ。 竹刀を相手の下に進め鍔元を攻める(実は面を見せて相手をおびき出す)攻めの定法もまたしかり。 しかし、対応策として、次に打つところを心が決めていると「反射・智」が働かない。
剣道時代7月号に書いてある。・・・剣道とビジネス 『敵をただ打つと思うな身を守れ おのずから漏る賎が家の月』
西村に治療をしてほしいとの依頼がある。 西村は多くの本を出している(先)、これを読まれて来院される(反応)。 過去に多くの患者様の信頼を得ている(先)、紹介されて来院される(反応)。 ただ看板(先)を見て来院される。
西村と患者様が対面した時、患者様は本に書かれていたこを、西村が自分に実現可能かどうかを西村の一挙手一言を通して、自分の長い豊富な人生経験を通して勘にまで高めたレベルで観察している。 同じく、紹介者の弁が正しいかどうか値踏みをされる。
数百万円の治療の依頼をする人は、それなりに今までに治療を受けて苦労をされている。 さらに、大金を出すだけのお金があると云う事は、死に金を使って来なかった感性の高い賢い人だ。 それだけに手間と時間を懸ける必要がある人の治療なのだ。 歯科医にとって究極ハイレベルの対応を迫られる状況なのだ。 ある意味、真剣勝負なのだ。 西村はここで『勝負・勝ちと負けがあるゲーム』をしない。 『勝ち・勝ち・・・両者勝ち』のゲームをする。 その極意は『策を弄しない!』の一語に尽きる。 相手の事を自分の身内と思い、経営的感覚は一切捨て切っている。 『虚心坦懐』 相手に何が親切であるかを思う。 そして、自分の出来ることを『マインド』レベルでお話をする。 理解しやすいように、映像等で説明をするがそれも親切のいっかんだ。
後は、相手・患者様が同反応されるかは相手の問題なのだ。 相手がお金が無い時は、最初からミスマッチなのだ。 しかし、お金があるからといって、お金を出して治療を依頼するとは限らない。 お金が無くても、息子様から一時立て替えてもらって治療依頼をする方もある。 お金が有ればその場で依頼を受ける。 数年後、お金が出来たからと言って来院されたご婦人をいる。
数日後、数百万円の振り込みがある。 服の様に試着をしたわけではない。 現物を手に取って見ただけではない。 本を読んだ時、西村の腕を見込まれて信用された。 後は、西村を確認するだけなのだ。
ほとんどの場合は西村は合格を頂いている。 (時に不合格を頂くが、多くは相手がひやかしだった様だのだ。 患者様が依頼を断っても顔も思い出せない。 西村の金銭的欲がないから、その場を精一杯表現して終わりで、結論は相手に任せて忘れている。) 数日後の銀行振込がその合格通知書だ。
約半年一年後、心からの感謝の笑顔を頂いて終了する。 患者様の思い入れもしっかりと受け止めて終了をする。 そして、これからがメインテナンスの長い一生のお付合いになっていく。 両者両得・勝ち勝ちゲームなのだ。
『数年後、お金が出来たからと言って来院されたご婦人をいる。』 約数週間前の話!・・・妻からの話。 妻が言った。 「医院前の銀行のカウンターにいた時、隣のお婆さんが数百万円札束をバッグから出してカウンターに置いたのを見て、『お婆ちゃんこんな大金の現金を持ち歩いて危ないわ!』と思ったの。 隣だったので送付先が見えた。 何と西村歯科医院宛だった! 本当に驚いたわ!」 西村が妻に言った。 「それが、俺の信用なのだ!」 今は順調に治療は進んでいる。
ある時は125人もの従業員がいた。 その時は、得意の絶頂だった。 思う事があり(原田源次先生からの手紙)自分が少し見えてきた。 それで、経営の縮小をしてきた。 長い年月がかかったが、今月の末に優秀な歯科医だが退職が決まった。 6月からは歯科医は西村一人になる。 歯科医、西村、受け付け1人、衛生士3人。 いわゆる、最小単位の歯科医院経営になる。 これは治療した患者様の予後をサポートする為に、西村自身が健康で長生きする必要があるからだ。 今は治療が工芸品作りの様な楽しい時間を過ごしている 『欲を手放し、患者様と手をつなぎ一緒に年を経ていく。』
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