入れ歯の超難症例 【神わざ】
下顎の骨が強度に吸収し、入れ歯が痛くて何も食べれない状態だった。 それに加え左の顎関節症でアゴが動かない。 それでも、インプラントを前歯のところに2本植えて、インプラント・オーバーデンチャー(インプラント半固定式総義歯)にすれば十分に治療が可能である。 本人は怖くてインプラントはしないと言った。
この症例の難しいところは、左の顎のロックされて脱臼した関節を治すことである。年齢も75才の女性で弱々しい雰囲気の女性なのだ。 最初に「インプラントを使わない場合は成功の確率は50%くらい、それでもやってほしければやります。ただし、20回やってメドが立たなければお金を返して中止いたします。」本人の了承のもと治療は始まった。 さて、入れ歯は理想的な形に近く出来たが、左の方が痛い、削っても何をしても痛いのだ。左の関節が脱臼しているため、咬筋の力を入れ歯のみで受けてしまい、その結果義歯の下の歯槽骨の粘膜に強い力がかかり痛いのだ。 当然、舌の処置をしたが改善度は20%くらいにしかならない。 そこで、顆頭域最大化療法の逆バージョンを試みた。 すると、左アゴの動きが良くなり痛みが消えてきた。 約18回で今日終了した。
「お陰さまで、物が食べられる様になると元気になりました。」と、お礼を言われた。 西村にとって非常にストレスのある仕事だった。 途中に何度も放り出してしまいたい衝動に駆られたが、それを思いとどまりやり遂げた。 何と難しい症例だろう、数年に一度の難症例だった。 最近は初診の時に「貴女のアゴの関節が壊れているので、西村には難しくて手が出ません。大学病院に行って相談をして下さい。」と言ってお断りをする様にしている。 今回、スナップ印象が凄く良い形に採れたのでチャレンジした。 しかし、何度も挫折しかける程難しかった。 【顆頭域最大化療法の逆バージョン】の発想が効をそうして治療が上手く行った。 この発想に出会わなければ治療は不可能だった。 苦しみ悩む西村に神が天啓を授けたのだ。 いわば【神業】と言っても良いだろう。
一人の老女を救ったのは西村ではなくて神なのだ。
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