居合をしていた時だった。 「西村君刀はこのように天井を引っかくように振り下ろすんだよ。」と言いながら見本を見せてくれた。 どう考えても不自然だった。 それは斬れる、それでは斬れない・・・と居合仲間で論議している。 斬った事のない先生方の論議だ。 西村は実証主義です。 あるとき、抜刀術の大会を見に行った。 そして、田辺哲人先生に手ほどきをしていただいた。 斬る!とはこうすれば斬れると判った。 切り口を見れば一目瞭然だ! 実際の斬り方を教われば斬れるのだ。 論議の必要はないのだ。
初老の剣士がいた。 彼は目の前で形を披露し、その位置に物を立て型通りに動き見事に斬ってしまう。 どうも一般的に言われている居合と動きが違う。
林邦史郎先生(若駒会会長・殺陣師・NHK大河ドラマの殺陣指導者) 一時期、東京の小太刀護身道の副会長を一緒にしたことがあった。 彼の出したビデオを見た。 彼は人を置いて芝居の殺陣を演じる。 そして、その位置に物を置いて、同じ殺陣で全部見事に斬ってしまう。 そこには引き斬りだけでなく、押し斬りも披露されていた。
両者とも、刀の操法が斬る動きをしているのだ。
あるビデを見た。 その先生は千回見事に斬った。 一度もミスをしないのだ。 凄まじい!の一語に尽きる。 お弟子さん達はそれなりに立派に斬っていたが、失敗も多かった。
現代の居合の試合にも、引き分けならばその前の試斬の評価をもって白黒つける。 空手の試合ではそのような競技がある。
斬れる居合!と言うが、斬ってみないと話にならない。 居合修業の精神は違うところにあることは西村は知っている。 当時、居合の高段者が田辺先生から、通信教育を受けていた。 剣道の高段者はおおむね初めての場合は切れないで、頭を掻く。 全くの初心者の女性に刀を持たせ斬り方を教えると、スパッと斬る例が多い。
今思えば、あの先生には居合を教わらない方が良かった! 西村の感性は正しかった!
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