このたびは、早々にお返事を頂きありがとうございます。 しかもその内容が質量ともに私の予想を大きく超えていたので、恐縮のあまりしばらくお礼の言葉さえお返しすることができませんでした。 一読では十分に理解できない部分も多く、何回も読ませていただきました。
【そこで、ビデオを撮って自分の剣道の恥ずかしい姿を見て反省しました。】 私も、秋の名古屋での6段審査の立合をビデオに撮ってもらいました。 自分では攻めていたつもりが、逆に打たされていたり、稽古ではいつも「左手、左手」と意識していたのに、審査では右腕を使い、しかも刺し面になっている場面もありました。その他にも「こっ これが自分の剣道なのか」と恥ずかしくなる場面も見られました。せっかく撮ってもらったビデオですので、多くの先生方に見て頂きました。しかし残念ながら、貴重な意見を沢山頂いたにも関わらず、今後の稽古に取り組むべき具体的な課題や方法までは・・・・今なお、わからない状況です。
【西村も七段を受けようと、それも今度は一発で受かってやろうと思って、警視庁の朝稽古にも行ったことが有ります。その頃は、左の踵のアキレス腱の付け根が痛くて、朝起きると20分ぐらい歩けない日々が続きました。】 私も、しばらく大分県警の稽古に参加させて頂き、ここで右肘を痛めてしまいました。どんなに速く、しかも遠間から、面を打っても先に面に乗られてしまうのです。悔しいからまた同じことを意固地になって繰り返す。今思えば、打つたびに自分の体は右に回転させられ、右肘が伸展しきっていました。約2ヶ月かけてやっと肘を治したのに、久しぶりの初稽古で再び同じ面を打ち、最初の一振りで右肘に激痛が走り稽古が終わってしまいました。もぅ 馬鹿としか言いようがありません。 西村先生のおっしゃる【それで判ったのです・・・・体の能力を意識が越えていたことが】ことが、私にはわからなかったのです。私は審査を諦める勇気がなく、稽古をするたび右肘をアイシングし、2〜3日して痛みがなくなったら稽古するということを繰り返してしまいました。
【西村の体は100キロを越えますが、今は風のように滑るように体が動きます。武術的身体動作をして、重力を使えば体は軽々と動くのです。竹刀は左拳で押し出せば勝手に必要分だけ振りかぶる、武術的刀の操法です。 要は屈筋を使わずに伸筋を使う技です。打ちに走ると意識に強く反応する屈筋が一瞬に働きます。 斬りに行くと体を使った体幹の動きのエネルギーの伝達法として、伸筋が働きます。竹刀は軽いので、屈筋を使った竹刀を早く動かす方法を選びます。】 西村先生、ここっ この部分なのです。私が先生の掲示板の中で、そして今回のお返事の中で大変衝撃を受け、深い興味を抱いているにも関わらず、具体的にはさっぱりわからないのは。 「凡人が日常的に使う屈筋(上腕二頭筋、三角筋)を使うのではなく、武術的身体動作(?)、重力を利用して竹刀の操りなさい」 「伸筋(上腕三頭筋?)と重力を利用する武術的身体動作を身につければ、今までより少ないエネルギーで竹刀を操ることができる」というように理解してよろしいのでしょうか? このようなことが本当にできるようになれば、私の右肘はおそらく二度と故障しないでしょうし、もっと年をとっても剣道が続けられる気がします。ところでこの武術的身体動作を身につけるには、どのような本を読み、どのような稽古を使いすればよろしいのでしょうか?現在、右肘を完全に直すため、筋力アップを目的に右肘のウェイトトレーニングや、全身のストレッチングのみを続けているのですが・・・・
【1枚上手だと、無意識の反応にで止め、・・・・・・ 2枚上手の西村だと有意識で反応をして見せます。】 ここも、先生の「月影」の説明にも出てきますが、大変難しいです。 同じ動作にも、「癖」のように無意識でしてしまう動作と、わざと(有意識)する動作があることぐらいは私にもわかります。そして自分の意のままに相手の無意識の動作を起こさせそこを狙い打ちにする、あるいは相手に勝てると錯覚するような有意識の動作を引き出し、そこを打つことができれば確かに力は必要なく、無駄打ちも少なくなる。これも理論的にはわかるのですが、これも私のような凡人が少しでも身につける、あるいは身に付かなくとも理解できるようになるには、何を勉強すればよいのでしょうか?このような理合が本当にあるなら、これだけでも研究する価値が十分にあると思います。
【西村と稽古をした人が言います。気がつくと先生が目の前にいる! 横から見ている人には西村の動きははっきりと判るのですが、正面に立つとさっぱり判らない、幽霊か風と稽古をしているみたいと言います。西村の初動が掴めないのです。】 私は、残念ながらこのような動きをされる先生と稽古した経験がありません。打たれるときは、相手のスピードが非常に速くて打たれるか、フェイントをかけられ打たれるかです。ただ一度だけ世界選手権で個人優勝されたある先生に稽古をお願いしたとき、最後にその先生が「では、一本勝負しましょう」と言われた直後、臍から胸にかけて磁石のN極とN極が押し合うような不思議な感覚を覚え(もちろん私が押されていました)、それでも「絶対、下がるものか」と足だけは動かさなかったところ、突然のどか胸当たりに衝撃を受け5〜6歩も後ろに飛ばされたことがあります。何が起きたかさっぱりわからず、後でこれを横で見ていた人に聞くと「先生が完全に近間までゆっくりと入って行くのに、園田は上体だけが後ろにのけぞった状態で全く気づいていない様子で止まっていて、そのまま突き飛ばされた」ようです。先生との稽古はこれと似た稽古なのでしょうか? 私はあれ以来、あの不思議な空気の圧力の正体が気になって仕方がないのです。
【あなたの今すべき事は・・・・ 足腰の備えと重心の滑落、面打ち矯正法だと思います。】 ありがとうございます。研究しながら稽古に励みます。
【この様に質問が有ればいくらでも書きますが、西村は剣道の研究と感動が薄れつつある現在です】 私も研究と感動が薄れるほど、剣道をこれから研究し(まず研究資料を集めなくてはなりませんが)、力ではなく理合に基づいた稽古を心掛けたいと思います。 肘が治って、心が落ち着いてきたら、是非先生に稽古、いやその前に私の面打ちを見ていただく機会を得たいと願っています。 西村先生、本当にご指導ありがとうございました。
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