『蛇と蛙 蛇の前に蛙が一匹いる。 蛇は蛙が動く瞬間に、その動きを見定めて飛びかかる。 蛙が動かない前に飛びかかると、蛙はその攻撃を避けて逃げてしまう。 蛙は動かなければ蛇は飛びかからない。』
蛙と蛇の関係はお解りになったと思います。 蛇が蛙に勝つパターンです。 それではマングースと蛇のパターンに入ります。 これは武術的秘伝パターンを超えた『心法』『覚醒催眠』『錯覚』『手品』『読み』の世界に入ります。 マングースと蛇は命を賭けて闘います。 蛇は蛙の飛び出した方向性を読み、そこを飛びついて捕まえます。 蛇はマングースの動きと間合いをはかっています。 蛙を捕まえるパターンに入っています。 そこで、マングースは自ら間合いに入っていきます。 蛇はしてやったりと思い飛びつきます。 しかし、マングースは引きの見切を考えて間合いに入ります。 蛇が噛んだと確信を持った距離を間一髪間合いを見切、伸びきった蛇の頭を噛みます。 これで勝負有りです。 (時に失敗をし、命を落とすこともあるそうです。) これは蛇の勝ちパターンの習性を良く知った上での読み勝ちです。
相手が我慢できずに打ってくる所を取る方法。 さらに、相手が勝ったと錯覚させて取る方法があることが解ります。 相手を錯覚する方向へ誘導していく作業があります。 一種の覚醒催眠です。 相手の得手(得意の所・技)に乗せられた振りをしてやることです。 相手は勝ったと確信をして打ってきます。 通常は相手の攻めに(打たれる前に打つ)無意識が反応し、そこを観られて取られます。 しかし、これでは身体が無意識に出たと同じ動きをして見せて、実は有意識がその動きを演じているのです。 相手の攻めパターンに嵌まってあげる(あげる:これが読みと余裕です)ことです。 相手の心を手のひらに乗せる。 後は相手の心をお手玉をする方法です。
西村と稽古をした人がよく言います。 階段を踏み外したような感覚で打たれる。 当然あると無意識に予測してる段が突如消えていて『はっと!』する感覚です。 少し腕の覚えのある人が西村と稽古をしたがらないのはここにあります。 西村先生は打ち合ってくれない・・・・・ 原田源次先生と稽古をした人は解ると思います・・・あの抜き胴。 確かに面を打った・・・しかし、竹刀は空をきっている。 返されたのなら解るが・・・抜かれると・・・読まれた。 あの椎名先生が・・・参った!と感じた瞬間です。 彼が言った「身体が参ったと言ったよ。あの瞬間観ていただろう。」・・わざわざ西村に言いに来た。
(椎名先生との稽古では、西村はほんの少しの間合いを間違い面を取られました。 確かに先生は乗ったと感じた瞬間でしたが、体を右に抜く面返し右胴を打ったが間に合わなかった。 一番得意の左に体を捌いて胴を打つべきだった・・・と今も悔やんでいる。 結局・・・読みは当たったが、(間合いの)読みが『浅かった』 しかし、これは次に繋がる一歩となる。)
西村が名前をあげれば誰でも知っている、高名な老範士八段達が時々西村にとられます。 このような先生方は巧妙に面を打つように誘い込みます。 懸かり手はそれに乗せられワナに嵌まり面を打とうとした瞬間小手を取られます。 私の前に並んだ六七段がすべて術中に嵌まり小手を取られていました。 その先生方には、相手がこれに嵌まれば小手が取れると無意識レベルにまで確信があります。 さて、西村は先生の面のお誘いに思わず体を出します(実は乗ってあげたとのです)。 先生の無意識は「はまった!」思いゆっくりと確信をもって小手を打ってきます。 西村は相手の次の一手を読んでいるわけですから、しっかりと小手を摺り上げ、ゆっくりとしっかりと面を打ちます。 見事に決まります。 これは通常の剣道のレベルではなく、碁・将棋のような読み勝ちの世界です。 筋力も勘もスピードも必要がありません。 『ただ読み勝ちの世界』です。 大先生だけに骨の髄まで勝ちパターンはしみ込んでいます。 その裏をかくだけです。 読みが当たれば剣道でもないのです。 しかし、この先生方に西村が剣道で挑み、打って行くと、ものの見事に捌かれ斬って取られます。
『蛙と蛇』→『蛇とマングース』・・・この関係はよくよく吟味の必要があります。
さて、最後にこの「読みを間違い』で命を落とした武士がいます。 山本勘助でした。 これを『山勘がハズレル』と言います。
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