今年の2月のことになります。 15年間お付き合いしている女性の患者さんが、いつものように定期検診に来院されました。予約時間より少し早くお越しになった以外は普段と変わったことはありませんでした。
しかし、「右の耳鳴りが2ヶ月間四六時中続き、仕事も休んでいる」とのことで2ヶ月間耳鼻科に通院中とのことでした。 下の知歯を義歯の固定に使用していましたが、「この歯を抜けば耳鳴りは治るかもよ」とその日はお話しだけしました。少しでも歯を残したいという患者さんの気持ちと一般的な治療の流れというものから、抜歯という選択が推奨されない現実があります。
次週、突如その歯を抜いて欲しいと来院されました。抜歯しました。義歯の固定は他の方法で補うことにして、右奥の歯を使うことを止めました。そして、2ヶ月間何をやっても治らなかった耳鳴りが完全に消失しました。耳鼻科でも耳鳴りの治癒を確認し、仕事も復帰という運びとなりました。
何故、抜歯が良いと思ったのかと申しますと、自分がその時そうひらめいただけであります。耳鼻科という他科の治療中の部分に耳鳴りはなかなか治せないという現実にふと踏み込める瞬間を見つけたようにその時に感じました。しかし、治るかも…と、かも?を付けたお話しか患者さんに出来ないのは私の実力と自信の欠如の表れです。結果オーライですが、一度報告しようと前々から思っておりましたので、この場をお借りして書き込みしました。 熊先生と歯科医師達の抜歯のやりとりが頭にずっと残っておりました。おかげさまでひとりの患者さんを救うことができました。お礼申し上げます。ありがとうございました。
|
|