今日は着替えを済ませて道場へ入るとHさんが「よろしくお願いします。」と挨拶に来られた。 通常はかかって来る人は六段位だが、この人の構えを見ると左手の納まりが非常に良く脇もしまっていた。 あれ!六段の構えではないな!少し心して対峙した。 構えただけで腕前が判るのが剣道なのだ! 少し打気が強いのが気になる。 スッと誘うと凄い勢いで面に打って出て来た。 捌いて胴に打つのは簡単だが、敬意を表して西村も面を打つことにした。 西村の面が入ってしまう。 二三同じ動作の後・・・・。 そこで指導を一つ。耳元で囁く。 「真っ正面に相手を突き切ってしまう様に打ましょう。 貴方がもし真っ正面に打っていたら、二人の竹刀は真正面で当たり、貴方は打たれる事がなかった。 貴方の剣道には相手に対し遠慮がある。 スタートした時点でやや斜めに進み、相手にぶつからない様に打っている。 相手からすればぶつかって来ないのだから、圧迫感は受けない。 西村はただ真っ直ぐ打っただけで貴方に面が入ってしまう。 面を打つ覚悟が出来ていない。 本気で面を打っていない。 面を打つと云う事は・・・・・ 次の瞬間、相手が死ぬか、自分か死ぬかという事だ。 死んだ後の事を考えて、ぶつかる事を遠慮して打っているという事は、本気で覚悟をして打っていない事になる。 ただ単に面を打ってみているだけだ。 真っ正面に突進されると、相手からすれば恐怖や、ぶつかったら嫌だなあ!と無意識に感じる。・・・これが攻めに通じる。 ただし指導者になると相手の腕前に応じて加減する必要はある。」 頭が良くて勘の良い人だ・・・・理解したとたんに見事な面になった。 仲良し稽古では知らないうちに面を斜交いに(斜めに)打つ傾向が出て来るから、要注意だ。 これは無意識にしている事なので注意を受けないと直せない。 次ぎの稽古では又一つ役に立つ指導をしたいと思います。
いつも稽古に来る女性、西村との稽古を楽しみにされている。 今日は驚いた!前に注意をしたことが見事に直っていた。 もう女子の打つ面の次元を超えて来た。 今度の稽古では攻め入りの、右足の使い方を教えます。
久しぶりのKさん、相変わらず切れ味の良い剣道をしていた。 打った方も打たれた方も納得の稽古だった。 相手の七段にことごとく入っていた。 だが少し気になったとこがあった。 左拳の位置がやや高いのだ。 竹刀を扱うのには楽だが、左肘の位置がやや外に来る。 このとき左拳を肩から押す力が1/3程抜けてしまう。 身体の胴体力の伝達は内側中央へ収束してこそ発揮出来る。 竹刀操作が楽になった分、伝達力が損なわれてしまう。 その為、竹刀は上から面を叩きに行っていた。 竹刀の先が前方へ走って面を打てば、もっと楽にもっと早く竹刀の先が面に行き着く。 左拳の位置は大切で親指の付け根が臍の前、一握り前である。 すると左手は納まる。 この位置で斬り手で真上から竹刀を持ち、脇を心持ち締めれば、いつでも発射オーライだ。 ただし、近い、深い間合いでは返しが技が難しい。 ここに拳を納めると、足で間合いを計って打ち込む事になる。 小賢しい事はする気が失せる。 いわゆる、大きな剣道が出来る様になる。 いつの間にかできた構えが癖になるから要注意だ。 自分では気がつかないのだ。
Sさん、メキメキ腕を上げて来た。 香田先生のDVDを買って研究している様だ。 香田先生の見事な打を繰り返し見て行けば、自然に似て来るのだ。 他の七段との稽古でも見事な腰の入った面を打っていた。 この人は教えていても楽しい! 言った事をその場で再現してくれるからだ。 七段まで未だ年数があるとの事だ、一発合格もあり得る。
H君だんだん良くなって来ている。 性格が素直なせいで、心が見えてしまう。 スピード、打は申し分ない。 しかし、彼が打ち始めるが結局は西村の竹刀が先に面を斬る。 どこか無駄な動きがあるのだ。 もう一息というところだ!
西村は剣道の稽古の様子を文章にして表現している。 人様に注意をしている様だが、自分を戒めているのだ。 これが無いと直ぐに崩れ、癖の強い剣道になってしまう。 剣道は上に引き上げてもらい、指導する相手に押し上げてもらって上達をする。 西村の書き込みはすなわち襟を正した稽古なのだ。
上達する人は剣道日記を書いている。 島野君の稽古日誌は秀逸だ!
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