一年位前に彼が悩んでいる時、足で先を懸け、相手を引き出して取る練習をした。 それまでは肩に打気がみなぎり、足と手が同時に打っていた。 これでは相打ちになってしまう。 先ず足が先を取って間には入り、相手が動いた瞬間に面を斬る。 相手は「飛んで火にいる夏の虫」状態だ。 剣道は相手を動かす事が肝腎なのだ。 だから彼が面を打とうとすると西村は面を見せ、打って来るところを胴に斬る。 百発百通で胴が入る。 だから彼は西村との稽古を嫌がっていた。 その彼が審査で西村と同じ様な胴を斬っていた。
入り身の鋭さで相手を居着かせ、そこを面に取る方法が有る。 八段審査に来る相手はかなり肚もできているので、なかなか居着かない。 来たか!と観られてしまう場合が多い。 この攻めは入り、では八段合格は難しい。
相手はシメタと思って面を打って来ても、こちらはその前に足から体が前進している状況になっている。 すると、後は竹刀で面を斬るだけなのだ。
先日N君は見事にこの動きを手に入れた。 基本的に剣道はこのようにして面を打つものなのだ。 相手をスピードで脅し、居着かせて打つ面は二流の面なのだ。 スッと足を出し、スッと体を入れると、相手は来た!と思い打とうとする。 こちらは慣性の法則を破り前進しつつ有る。 相手はそこから慣性の法則に逆らって前に出ようとする。 こちらが動いているところに打とうとモーションをおこす。 これではとても間に合わな訳なのだ。
相手の勘が悪い人には、こちらの首の後ろを緩め面を見せると反応する。 八段の二次くらいになると、この足をスッとの一瞬に反応する。
佐藤博信先生が言った。 「西村君が教えてくれた足の責め口は重宝しているよ! この反応が早い奴は直ぐに八段に登って来るよ!」 佐藤先生でも西村に言われて気がついたのだ。 何時もは無意識で身につけて実戦しているのだが、言われてみてやってみるとなるほど感じ入った様です。
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