最初に担ぎ面を書いたのは大きく動き、相手の意表をつく方法でした。 これは大きさが、相手が竹刀を受けるタイミングを外せば見事に決まります。 小柄な松原先生のとくに大きな面打の一つです。
同じ先生が全く別の理合の攻め口で面を打つ方法が顕著に出ていますので書きます。 スッと竹刀を平行に降ろしながら打ち間に入る。 相手が下攻めと取って竹刀を下げれば浮木の原理で、相手の竹刀の下がり鼻を面を打つ。 松原先生の下攻めは、下攻めではなく竹刀を平行に下げて、一瞬竹刀を相手の目から隠す。 次の瞬間、体を進めながら竹刀を平行にあげ、相手の竹刀の上に持って来て胸を攻める。 攻めると言うか、竹刀を見せると言うか微妙な所です。 相手は無意識に竹刀に意識が止まる。 その瞬間は相手は一瞬 、木偶の坊(でくのぼう)状態になります。 そのまま振り上げずに竹刀を前に出して面を打つ。 見事に入る。 審判から見れば先を取って仕掛け、相手がそれに乗ってしまった。 旗はしっかり上がります。 これは先を仕掛けて、竹刀の先を一瞬見せる攻め口です。
剣道は面を狙って面を打つぞ!と言って面は打てません。 相手が面を打ってくださいと言わんばかりの状態を作り面を打つのです。 相手の無意識を一瞬、どこかに居着かせる作業が大切です。
乳井先生のビデオを見ました。 何で!あんなに見事に入るのか・・・?? 判りました 竹刀を下から払っても、上から押さえても、裏から払っても、表から払っても ・・・・・・次の瞬間、乳井先生の竹刀の先は一瞬正中に止まります。 相手の無意識は、一瞬この止まった竹刀の先を見てしまうのです。 その瞬間は面はガラ空きの状態です。 要は【猫じゃらし】の要領です。 その為には、心が相手より静かでかつ、上位である必要が有ります。
剣攻め口とは相手の心の奥・無意識が『エエ!』と混乱を起こさせることなのである。 目の前に竹刀の先が急に見えると、つい無意識が見てしまう。 これは相手の竹刀に打たれたくないとの意識が有れば、つい見てしまいます。 しかし、この時打ってもいいよ!との状態ならば、居着かずに見れるのです。 そうすれば面を返して胴に斬れます。 闘うべき本体、相手の意識を見失ない、竹刀の先を見てしまう。 一種の手品であり、覚醒催眠誘導です。 要は陰を操る・・・につきます。
ここまで分ってこの攻め口を二段程下の相手に試して下さい。 面白い様に面が打てると思います。
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