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- 明治村八段戦 から西村流の見所解説 - 西村雅興 [2012年6月15日(金)]
その2 - 西村雅興 [2012年6月22日(金)]
Re:その3 - 西村雅興 [2012年7月2日(月)]



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明治村八段戦 から西村流の見所解説
西村雅興
2012年6月15日(金)
最近は剣道から疎遠になり、時々竹刀を持つ程度で、剣道雑誌も取っておりません。
先日、原田先生から全剣連の稽古の欠席のハガキを頂気、そこに明治村のDVDが付録についていることを知りました。
このビデオは昔何度も見たことがあり、原田先生が唯一自分でない剣道をされた動きが有ったことを覚えていました。
ここに【心】明治村戦、旗の上がった一瞬は、その技前の確かさ、剣理が絶妙に表現されています。
これを西村流の解説をして、皆様のお役に立てればと思います。
西村流の勝手な解釈であって、敗者や他を非難する意図が無いことを重々に理解して頂きたいと思います。
尚、一本が決まった瞬間は少し前からスロー再生で何度も見て下さい。
説明の意味が良く分かります。


松原先生の担ぎ面
ここから剣道の妙技に入って行きます。

担ぎ面は相手が居着くと効果的に入ります。

これが効果を発揮するのは一瞬の体の前進と、一瞬その前進が止まることにより、反作用で竹刀のスピードと威力が増します。
しかし、相手が居着かないと簡単に返し胴を打たれます。
タイミングが良ければ見事な大きな面が決まります。
近間だと相手の面を受けるタイミングが合ってしまい簡単に返される場合が多いです。
しかし、遠間からの担ぎ面の場合、相手は面を受けるタイミングが狂います。
担ぎ面の得意なそれも大きな面を打たれる先生に堀田先生がおられます。
この先生の動きが凄く大きいので相手は面を受けるタイミングを逸して打たれる。
担ぎ面の変形の達人は佐藤博信先生で、担いだ竹刀の先を後方で一瞬くるりと回す、
その分だけ相手の面に竹刀が届くのが遅れる。
相手は担いだ瞬間に面を受けようと竹刀をあげ、その時に相手の竹刀が来ずに、竹刀を下げようとした瞬間に面を打たれることになる。
この面は明治村の闘いで実際に見られる。

担ぎ面のコツは強い攻め、一瞬雄の体の停止、相手の受けのタイミングをずらすことにある。
剣道の本質的な上達からは勧められない。
担がないと面が打てない人になってしまい、これが癖になると上達が止まってしまう。
逆に、竹刀の先を一度下に振ってから面を打つ人も同じ。
竹刀の先を下げ下を攻めて、相手の無意識の防御を引き出し、相手の竹刀が下がりつつの所を《浮木》の原理で、相手の竹刀を行き違いに誘い面を打つ。
打つ前に拍子を取る為に軽く担ぐ癖がつくと、相手に打つと合図を合図をした、予備雑作を見せてしまったことになります。
同じくいつも竹刀の先を少し下げて拍子を取るのも宜しくない。
同じく相手に合図をしたことになります。
しかし、下から小手を攻め上げる要領で竹刀の先を下げるのは有効な方法です。
ここで、小手を庇おうと無意識が竹刀を下げると面。
ここで、相手が面を意識し、面に打って出る所を小手。
こちらは 面も小手も胴も決めずに、相手の動きに反射的に適切な打ちを無意識が選択するのがコツですが・・・かなり難しい。
剣道の基本は一拍子で打ち切ることです。
二拍子はその節目を押さられてしまいます。
原田先生がこの一瞬を捉え名人です。
この担いだ瞬間の小手を押さえるのは西村の得意です。
大きな試合では一瞬の出来事なので、ほとんどの審判は軽いと判断をして旗を揚げません。
しかし、相手の起こりを一瞬捉えるこの打ちは剣道の妙です。
この技が出るには居着かずに、相手の起こりに合わせて腰が出る攻めの強さと、動じない強い心です。
これは石原対原田戦で詳しく説明します。
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その2
西村雅興
2012年6月22日(金)
最初に担ぎ面を書いたのは大きく動き、相手の意表をつく方法でした。
これは大きさが、相手が竹刀を受けるタイミングを外せば見事に決まります。
小柄な松原先生のとくに大きな面打の一つです。

同じ先生が全く別の理合の攻め口で面を打つ方法が顕著に出ていますので書きます。
スッと竹刀を平行に降ろしながら打ち間に入る。
相手が下攻めと取って竹刀を下げれば浮木の原理で、相手の竹刀の下がり鼻を面を打つ。
松原先生の下攻めは、下攻めではなく竹刀を平行に下げて、一瞬竹刀を相手の目から隠す。
次の瞬間、体を進めながら竹刀を平行にあげ、相手の竹刀の上に持って来て胸を攻める。
攻めると言うか、竹刀を見せると言うか微妙な所です。
相手は無意識に竹刀に意識が止まる。
その瞬間は相手は一瞬 、木偶の坊(でくのぼう)状態になります。
そのまま振り上げずに竹刀を前に出して面を打つ。
見事に入る。
審判から見れば先を取って仕掛け、相手がそれに乗ってしまった。
旗はしっかり上がります。
これは先を仕掛けて、竹刀の先を一瞬見せる攻め口です。

剣道は面を狙って面を打つぞ!と言って面は打てません。
相手が面を打ってくださいと言わんばかりの状態を作り面を打つのです。
相手の無意識を一瞬、どこかに居着かせる作業が大切です。

乳井先生のビデオを見ました。
何で!あんなに見事に入るのか・・・??
判りました
竹刀を下から払っても、上から押さえても、裏から払っても、表から払っても
・・・・・・次の瞬間、乳井先生の竹刀の先は一瞬正中に止まります。
相手の無意識は、一瞬この止まった竹刀の先を見てしまうのです。
その瞬間は面はガラ空きの状態です。
要は【猫じゃらし】の要領です。
その為には、心が相手より静かでかつ、上位である必要が有ります。

剣攻め口とは相手の心の奥・無意識が『エエ!』と混乱を起こさせることなのである。
目の前に竹刀の先が急に見えると、つい無意識が見てしまう。
これは相手の竹刀に打たれたくないとの意識が有れば、つい見てしまいます。
しかし、この時打ってもいいよ!との状態ならば、居着かずに見れるのです。
そうすれば面を返して胴に斬れます。
闘うべき本体、相手の意識を見失ない、竹刀の先を見てしまう。
一種の手品であり、覚醒催眠誘導です。
要は陰を操る・・・につきます。

ここまで分ってこの攻め口を二段程下の相手に試して下さい。
面白い様に面が打てると思います。
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Re:その3
西村雅興
2012年7月2日(月)
大久保先生は小手打ちの名手です。
スッと下から攻め腰を前進させます。
その瞬間、この腰の前進のエネルギーを竹刀の先に送り込むのです。
腕で打つ小手では有りません。
戦艦のカタパルトから飛行機が発射される様な勢いで、両拳が飛び出します。
この勢いが小手を打つ原動力です。

小手を打つとき
腰を引いてその反作用で竹刀を伸ばし小手を打つ方法があります。
相手の手元が上がった瞬間、腰を引いたその反動で手が前に出る、作用反作用の原理の打ちです。
しかし、小手の名手は体で先を掛け、相手を引き出し小手を切る。
出来ればこのような小手を打ちたいものです。
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