得物の長短から無刀、男女まで。
ナイフと小太刀の場合 小太刀護身道で異種競技を致します。 刃物(ナイフ・包丁)の相手に小太刀(棒切れ、警棒相当の棒切れ)で身を守る演舞を致します。 この演舞は試合形式でします。 棒切れでナイフから身を守る見本を見せようとしますが、主催者の意に反してナイフが勝ってしまいます。 田辺哲人先生が「困ったもんだ!ナイフが勝つと小太刀護身道の手本にならない。」と嘆きます。 ナイフは間合いの不利を潜在意識が心底理解しています。 一方小太刀は間合いの有利におごります。 小太刀が振りかぶろうと意識が働いた瞬間に、ナイフ側は吸い込まれる様に体が滑り込みます。 ナイフが腹を刺しても、拳の中指を少し立てて鳩尾を突いても、素手で喉元を突いても、これがペンシルであっても勝負は同じです。 必死の覚悟の無意識の反射レベルが効を奏するのです。 これは普通の刀と小太刀においても原理は同じです。 『待中懸』が反射レベルで体の入り身となって勝ちを制します。 短い物に長い物が勝つ方法は相手の必死覚悟と反射を逆に利用して、フェイント、緩める、先を懸ける振りをする等と『懸中待』で対応します。 要するに『陰の動き(意識)を悟られたら、必死の反射で入られる。』 『相手の陰(意識)を動かす余裕が有れば長い物は有利です。」 しかし小太刀は相手の陰を読み、相手に陰を操られないように修業するでしょう。 古来より『先に打って出た方が負け』なのが鉄則です。
まだ、中倉清先生が若く合気道の創始者・植芝盛平の養子だったころ、勇猛で通した羽賀準一先生が中倉先生の話を聞いて、「木刀を持った自分が素手の相手に負けるわけがない。」と意気込んで対戦したが、無刀の境地に見事に負けたとのことです。 後に中倉先生も植芝先生の神懸かりな境地を知り、養子を辞めたそうです。
竹刀や刀を持つと筋力の差が男女で出ます。 しかし、入り身の妙を身に付ければ筋力ではなく、術と感性と覚悟で決まります。 その意味で、女性の短刀道はそれなりに工夫をされた、一般剣道家でには理解していない意識の修練の分野があると思います。 松風館道場に七段教士『能さん』という女性がいます。 この人との稽古は厄介です。 押しても引いても色を見せません・・・肚が出来ています。 竹刀を持った女性です。 一般の男性の教士七段よりも上を行きます。 結局は肚なのです。
女性の場合は竹刀の重さ・長さ・柄の長さ等、筋肉を意識しないで動かせる得物に改良する事も大切かと思います。
西村は一ヶ月ぶりに剣道を一時間しても、翌日どこの筋肉の張りもありません。 通販で売っているサイドステッパーを5分踏むと、翌日は太股が張ってしまいます。 腹筋10回をしたら翌日はお腹筋が痛いです。 剣道では術と技と感性と意識の総合で筋力はほとんど使っていないことになります。 剣道的身体動作が歩くのと同じになっています。 女性も筋肉的な動きを出来るだけ避けて、歩行の原理を剣道に応用すれば、女性の壁を案外容易に越えれるかもしれません。
『なにしろ剣道は究極的には男性の領分です。産む性の私たちには入れない 世界が厳然としてあります。』 女性は男性の心を包み込む大きな心が有ります。 戦わずに、包み込んで引き出して男を制する・・・工夫をしてみて下さい。
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