先日長く手入れを怠っていた刀の手入れをいたしました。 8本以上ある刀が錆びていないかい心配でした。 試し斬りに使用した刀には錆びが出ていました。 一応油は引いたが、錆びを落とす程度には研ぎに出す必要を感じました。
今日は愛用の刀をとり出しました。 竹刀競技の竹刀の操法と刀の操法は基本的には同じなのですが、95%以上の人は竹刀操法に終始しています。 そう云う西村も時に竹刀操法、時に真剣操法の間を行ったりきたりしています。
さて、刀で物を斬ってみると良くわかるのですが、上腕二頭筋、三角筋は全く役に立ちません。 刀は柄を前に出すことで振りかぶれるのです。 一番簡単なのは刀の下に身をもぐらす様にすると勝手に刀は上がります。 今日は実際刀を振って確かめました。 愛用の刀に錆びが出ているので(抜刀術用、試し斬り用)ガッカリしました。 それなりに油を引いておいたのですが残念でした。 家族にはそれぞれ一振りずつ有りますが、仕上げが観賞用になっていて物を斬っていませんから無事でした。 刀の研師に出すか、自分で錆びを取るか悩んだ末、明日仕事が終わってから診療室で錆びを取ることにした。 何でも自分でやりたい、オキちゃんです。 幸い歯科医ですから金属の研磨道具は全て揃っています。 昔は自分で寝刃を合わせて試し斬りをしていたなあ!と思い出しました。 素人でも出来る研ぎの道具が有るのですが、・・・砥石がどこかに行ってしまった! 観賞用に研いだものは幸い無事だったのでホッと胸をなで下ろしています。 そこで、研ぎ代が気になってサイトを調べていました。 結構高いので、人に見せる物でもないので、明日研磨をしてみよう・・・と思った。
そしたら、自分のサイトに出くわして、『刀の持ち方』を書いた自分の記事を読んで感じた。 合戦での刀の持ち方では、『くそ握り』でないと手首が壊れてしまう様な気がする。 剣術としての持ち方は『斬り手』が刀の作用を有効にするかと思った。 何事も一つで片づけられないと言うことがわかる。
過去記事から 剣道家の皆様、貴方は真剣で物を斬ったことが有りますか? 竹刀を刀のように遣うと聞きますが、竹刀の重さと刀は全く違います。 以前、軽井沢の別荘で参加者に試しきりの機会を与えてあげたことが有ります。 竹刀と手応えの違いに皆様驚かれました。
西村はかって居合をやっていたとき(二段)に、有る先生が「刀はそうではなく、こう振る。こう振らないと斬れない。」と言って、天井を引っかくようにと振るのだと教えてくれました。 どう見ても不自然でした。 まあ、相手は六段位だたので反論はしませんでした。
それから、戸山流抜刀術を教わり二段を取りました。 その時の先生が、スポーツチャンバラの創始者・田辺哲人先生でした。 当時、試し切りの指導者としては日本一だったと思います。 毎週横浜まで抜刀の稽古に行ったものです。 前に言った居合の先生の話は全くデタラメで、頭で考え空気を切っていたようです。 そこに集まる人達は見事に斬って見せるのです。
田辺先生も居合の六段のとき居合の試合に出てそれなりの成績をおさめていたようです。 当時の試合に行く仲間は石堂先生(現八段)だと思います。 田辺先生が結婚式で居合を披露する事になっていて、その場に行くと試し斬りの竹が用意してあり、ビックリ仰天したそうです。 その頃、菊を一輪さして抜きツケで斬って満足していたのに、目の前に太い竹が用意されていた。 切れませんとは言えず、試しに斬ってみると、見事に失敗。 刀は曲がり、鞘に納まらない無様な失態を演じてしまったのです。 それで、刀の踊りは止めにして、抜刀術に精を出し、第一人者になったと言うわけです。 田辺先生はその後スポーツチャンバラの方面で忙しくなり、旗屋嘉辰先生が引きつがれた様です。 旗屋さんは刀の研師で、西村も町田まで数回行った事があり、西村の愛刀の鍔も旗屋さんところで手に入れた物です。
そこで、どうやれば上手く斬れるかを皆様工夫をされていました。
いつもの長い前置きでしたが・・・・
最近、本屋さんで『日本真剣斬り』の本を買いました。 それは旗屋さんがメインに談話方式で書いているからです。 彼は刀の研師で、刀のプロですから、その蘊蓄は一度読んでおきたいものです。 ここで書くのは、彼は刀の柄の握り方について写真を載せこう書いています。 「十本の指ぜんぶに力を入れた『くそ握り』、両手刀術の場合これでなくてはおかしい。」 と言っています。 稲妻斬り等はこれでなくてはできない・・と言っています。 ちなみに彼は剣道はやっていないようです。
西村が田辺先生(剣道六段)の手の内は知っていますが、いわゆる『切り手』だったと思います。 西村の場合も同じです。
さらに、凄いビデオが有ります。 『国際抜刀道試斬連盟』の出している、『抜刀道龍星剣』
何と!1時間36分36秒で千回、ただの一度も失敗することなく見事に斬って見せるビデオです。 この先生の手の内はいわゆる斬り手です。 西村も少しは斬れるだけに、このビデオを見て驚嘆致しました。
殺陣師・林邦史郎 先生は昔、西村と小太刀護身道の東京都の副会長をしていた関係で知っています。 彼も見事な試し斬りのビデオを出しています。 殺陣通りに動き、そこにワラを置いて見事に何本も斬って見せます。 彼の手も切り手になっています。
剣道風の握りと、合戦用の握りは違うのではないかと思ったりします・・・西村
さて、刀の御持ちの方は実際に試し斬りをして、どちらが具合や良いか試してみて下さい。 西村はワラ斬り用、竹斬り用、どたん斬り用と刃の重ね、身幅、大きさ(重量)、研ぎを変えて持っています。 調理師が包丁を数本持っている様なものです。
用心のため 足を斬らない様に! 刀を手から飛び出さないように! 目釘をしっかり確認してからするように! くれぐれも、試し斬りの作法を守って下さい。 日本刀の鋭さとか弱さを身をもって体験してください。
この本や、ビデオ等は手に入ると思います。 是非検索をしてみて下さい。
剣道は剣道であって、剣術ではないということも認識できます。 竹刀と刀は似て非なる物であると認識出来ます。 剣道五段以上、叉は居合をされる先生は是非ともこの方面も一度興味を持たれて味見をすると、改めて目が開く物が有るかもしれません。
私の知り合いの先生は天然理心流の形を披露した後、その位置にワラを置いてこともなく斬ってしまいます。 なるほど、この先生の居合の形はそのまま斬れる刀の操作だと理解しました。
斬るには斬るコツが有る・・・何においても同じです。 似ているということは・・・・違うと事です。
機会が有りましたら、剣道・居合の理解を深めるためにも是非一度首をつこんでみましょう。
刀は焼きを入れぱなし、刃をつけただけでは観賞用です。 刃物も刀も斬るに耐える刃にするのには、120℃〜150℃位の油につけて少し焼きなましをしないと、はこぼれのひどい刀になること、しかし一歩間違うと鈍刀になってしまうこと。・・・・・等々をしっかり勉強自分の刀を使用可能にすること。 キチッと「あいを取っていること」が必要です。 刀を振っていても斬るに耐える刀の使い方を知っているかどうか・・・どうですか。 一度しかるべき人の指導を仰ぐのも良いかと思います。
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