千代田の稽古で!武運
見たことの無い人だった。 年齢はわからないが老人ぽい、上席の七段元立ちが上手いところを見事にやられていた! かなり剣道勘の良い人で、相手の心の変化を読み、ヒョイット仕掛け乗って来たところを、パッと打っていた。 かなり剣道には自信がある様だ。 しばらくして西村と稽古をした。 彼はヒョイット仕掛けてくる。 西村が動かないと見ると面に出てくる。 その瞬間、西村の諸手突きが決まる・・四回ぐらい。 同じ様に仕掛け手来るから、胴に返す・・・数回。 西村が足から体を入れ攻め込む。 相手はそれに耐える。 その瞬間に西村の面が決まる・・・五回くらい。
彼の欠点はヒョイット仕掛けて相手の心を動かし、相手の手元が上がった瞬間に見事に取るパターンだが、体が出ていないから西村には通用しない。 西村にはこの『ヒョイット仕掛けて相手の心を動かし』を第三の目で見ている。 彼が手詰まりで出てくるところを取ってしまう。 彼が西村の体の攻めで進めると、グット耐えているが、そこで精一杯になったところ(居着き)をゆっくりと面を打つと見事に入る。 西村には全く歯が立たないのだ。 剣風、位の違いなのだ。
稽古の後の挨拶で何段かと聞くと「この間七段に受かりました!」と言った。 本来はズーッと前に受かる力がある人なのに、七段昇段には苦労をされたと思う。 西村は言った。 「勘の良さ、相手が見えすぎるのが災いしています。 剣道は体の前進する力を竹刀に伝えて打つのです。 そこがなくて、手だけで打っている。 そこが残念な所です。」 本人もうすうす気がついているのだろうが、剣風、位は一朝一夕では変わらない。 お手本になる師匠を持つことが一番の近道なのだ! 彼は今まで良い武運に恵まれなかった様だ。
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