全剣連合同稽古会9/13
今日の午後の仕事は原田先生の義歯の調整のみ。 少し時間がかかったがほぼ満足がいく仕上がりになった。 今年、5月京都で会った時の先生のお口の中の状況は、左に強烈な肩凝りが起きる噛み合せだった。 ホテルまで出向き義歯の調整をしてホッとしたが、それでも心配だった。 師匠への恩返しは師の剣道を受け継ぐ事、歯科医の仕事でお返しをする事。 歯科医としての本分で恩返しが出来た喜びで一杯だ。 先生が上京出来なくなっても、盛岡に後輩の歯科医がしっかりと面倒を見てくれる手はずになっている。 先生が体調を壊すと、岩手医科大学の剣道部卒業生が全力をあげて支援をしてくれる。これも先生の人柄だ。
武道館に着くと先生が「今日はチョットの稽古にする。10分遅れで始めると言われた。」 10月は東北地区の合同稽古と重なるので武道館へは来れないとの事だった。
最近、先生の前の稽古に並ぶ人の交通整理で稽古を頂いていない。 西村の課題は『剣道への興味、執着が消えた自分がどう変わったかを検証する為に先生と竹刀を交える。』事だった。 10分遅れ出始める先生を10分前から待った。 当然一番前だ。 先生と対峙したとき、頭の中が透明なゼリーの様なすっきりとした状態だった。先生の前にただ立っている。しかし、構えはしっとりとやや沈なる状態。予備動作は既に準備すみ。 心のままに反応する状態だ。 先生のすべてが見える、すべてが見えるのだ。 先生が攻め入ろうとするがそれを静かに対応する自分がいる。 まるで竹刀を持って構えている自分が人ごとの様に感じるのだ。 先生は数回攻めあぐねる。 少し強引に攻められるが西村の心は静かなままだ。 西村が足から静かに大きく体を進め、先生に問う。 先生が反応された瞬間に身体が勝手に面を打っていた。 もう一本との合図があったが、先生すぐにこれまでと言われた。 心臓の負担が少し強くなって来た様だ。 今日の稽古は西村のみ。 後方で並ばれてた先生方も、原田先生の様から納得された。 この稽古の状況を観覧席から見ていた剣士がいる。 彼曰く「原田先生が参ったと言われた時の立ち会いより、今日の立ち会いの方が素晴らしかった。先生の心の静かさがはっきり分かった。 原田先生が攻めた後、初めて右足をトンと着かれましたね!あんなのは始め見ました。」 (それでも西村の心はそれを静かに眺めていた。ヒタイの第三の目で眺めている様な感じだ。) 最高の賛辞を頂いた。 先生との稽古で過去最高の静かな心で稽古が出来た。 剣道そのものに無になれば更に相手が見えるのだろう。
ここまでは良かった・・・・. 先生、教職員の大会に行ってホテルで風邪を引いてそれが長引き体調不良だったのだ。 車中で「身体は行こうとするが気が付いて行かなかった。」と言われた。 西村が先生との稽古で「ヤッター!」叫べるほどの稽古が出来た時、いつも先生の気が落ちている時だった。
それにしても、剣道で恩返しをしている実感がある稽古だった。 頭の中が透明感でいっぱいになるのは、原田先生との稽古の時だけだ。 剣道そのものに無になると、竹刀の存在すら感じない。 後は相手の心に沿った、自分の智に任せるだけだった。 今日は、西村的には人生で最高の剣道だった様な気がする。
今日、野正先生が言った。 「青木君は良い剣道をする。師匠が良い。その上に原田先生がいる。 剣道はこのように繋がるんだ!」
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