千代田での稽古
Hさん(七段教士)、瞬発力、感性、切れ味どれをとっても抜群の剣士だ。 西村も彼と打ち合いをすると面に入らない。 お互い竹刀が上で交叉し入らない。 いわゆる感性が同じレベルだと面の打ち合いはこうなってしまう。 六段審査では稽古量、感性の差で勝った方が合格する。 七段審査では相打ちで両者良いとこ無し、差がないので両分け、不合格。 相手を起こし、攻め勝必要がある。 これが出来れば合格だ、
さて、Hさんとの稽古で面の当て合いに終始するといつまでも両者当たらない。 西村が攻めて緩めて起こすと、小手や胴が入る。 しかし、彼の感性はこれも打たさないと頑張る。 彼の面打ちの特徴は前傾で倒れながら、両拳を前に突き出す形で面を打つ。 生来の運動神経の良さが勝てるから、打てるからここで成長が止まってしまう。
彼は前から西村のスムーズな動きに注目していた。 教えると、頭ではわかっても体がそのように動かないと嘆いていた。 先日、左手の位置を修正し、足でせめて、その一瞬(相手の色を感じた瞬間)に打つ様にリードした。 すると、待ち望んでいた面が打てた。 打てた本人が感激していた。 今までは打ち勝っていいた剣道だった。 この面は勝って打つの面だ。 外から見ると単なる面打なのだが、心の状態は全く逆だ。 彼はやっと本格的な剣道の扉を開いた。 ここからは心の修行の剣道の道に入る。
西村が指導をしたいのは、原田先生に教わったこのレベルの剣道だ。 手は勝手に動くはなあ!足はそうはいかない! 打つ前に死ぬ、死ぬ気で打つ、打った後は見事に死んでみせる。
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