剣道指導 道場で西村と稽古をする人は少ない。 西村も30分程で引き上げる。 昇段を真剣に考えている人への指導は楽しい。 今日はいつも指導をしている人であるが、この人は西村が言った様に身体を動かせる。 通常の面打はかなり良くなった。 七段に受かるの面のレベルになった。 さて、基本的には十分な面を打てても、相手がある事だ。 どうして打つ機会を作るか。 どうして攻めて相手が打たれる様にしむけるかが課題だ。 一足一刀の間合いから、体を進め打ち間に入る事が大切だ。 静かに相手の竹刀の下に竹刀を入れ込み、小手を伺う。 相手がこれに反応した瞬間に面を打つ。 次に、相手の竹刀を表からすーっと中心を取りながら攻め入る。 相手が強く反応した場合はそれを逆手に取って小手を斬る。 相手が軽く反応した場合は面を打つ。 要は面を打つ前の算段が必要なのだ。 これは武道館での合同稽古で岡先生(範士八段)に、西村も言われたことだ。 稽古の後、挨拶に行くと、「ここまで剣道が出来るなら打つ前の算段をしっかりする様に。」と言われた。
彼はこれを腕と竹刀を前に出して打って来た。 もちろん、私が良いところを打たせるのだが、身体が開いて面に来る。 竹刀がしっかりと腰に乗っていないのだ。 そこで、この攻めは入りの際は左拳は体から離さないで、構えのまま出るようにと 指示した。 彼は見事にやってのけた! 腰と手元が崩れなく体を進め、そこから打った面は竹刀が腰に乗った見事な面だった。 彼の過去最高の面打だった! これを見ていた人が「素晴らしい面を打っていましね!」と感激していた。 ほんの!チョッと!の指導で別人の様な面が打てる様になる。 ただし身体能力が優秀である必要であるが。 このような人を指導をするのは楽しい。 もうすぐ七段に受かるだろう。 面が入って○、このような面が入ると◎である。 ○の場合は受かる確立は50%。 ◎の場合は確実に受かる。 ほとんど人の稽古は△がつく打の応酬で、剣道を楽しんでいる。 七段位の昇段を望むならば◎を貰える様な打が出来る様に稽古をしたいものだ。
さて、稽古の後いつも指導しているが、今少し進歩が遅い人がいる。 剣道のスピードは申し分が無い。 六段も楽々と受かった人だ。 さて、七段には相手を引き出して打ち取る技術が要求される。
前述で、下に攻めて面を打つ、表を攻めて小手、面を打つ話を書いた。 人間は視覚で物を捉え、脳がそれを筋肉に指令をして実現するにはどんなに速くても0,2秒かかる。 先を懸けそれに対応するには1/1000秒の速さで対応出来る。 要は脊髄反射の世界で対応出来るからだ。
相手は竹刀を構え自分を守りながら攻めようとしている。 相手の意識は竹刀で面を守る十分な意識がある。 この相手に自分の都合、勝手で面を打っても全く入らない。 竹刀の先で相手の意識を自分竹刀に引きつける。 攻めで小手を庇おうと意識を止めさせる。 この時、相手は竹刀で自分の面を守っている意識が消える。 この瞬間に面を打つのだ! 頑丈な閂(かんぬき)をかけた丈夫な門を太い大きな木で壊そうとしてもなかなか出来ない。 こんな時、コンコンとノックをしたら、相手は閂をはずしそーっと外を伺う。 閂で門を守っていた事忘れる。 この瞬間がチャンスなのだ。 先を懸け0,2秒の世界を1/1000秒の世界へ引き込む。 相手の面を忘れさせる・・・・これが技前なのだ。 剣道は意識レベルの押し合い、相手の意識をコントロールする覚醒催眠と心得ると相手の心は手の平に乗る。 このよう話をしたら十分納得出来たようである。 西村に勝てない人は100%勝てないのだ。 心が読まれているからだ。 相手の意識(陰)を操る流派を『陰流』という。 陰流は愛洲から始まり、上泉伊勢守信綱に伝わり新陰流になる。 柳生に伝わり柳生新陰流となる。 この辺りの流れを十分に知るとひと味違った剣道が出来る。
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