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- 永松範士の小手、面の秘密 - 西村雅興 [2016年12月5日(月)]
打つ機会、手の内 - 西村雅興 [2016年12月6日(火)]
永松範士流の足を真似る! - 西村雅興 [2016年12月7日(水)]
西村、新境地の面に!! - 西村雅興 [2016年12月9日(金)]



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永松範士の小手、面の秘密
西村雅興
2016年12月5日(月)
私の好きな人の剣道動画

原田源次先生も、佐藤博信先生もすでに旅立たれた。
永松先生は87才で今も健在である。
日本一綺麗な面を打たれる先生と評価されている・・・ウワサ。
三人とも西村が歯を義歯を丁寧に作り上げ、剣道人生を長らえるようにした。
今まで原田先生、佐藤先生のことは散々書いて来た。
今回は範士八段永松先生について書いてみよう。

動画で永松先生を検索して下さい。

ある日、稽古会で素晴らしい剣道をされる先生を見つけた。
さて、前に並ぶも、その列の長さが長いので稽古会の時間では回って来なかった。
あるときは、何とかやっと順番が回って来た。
稽古をお願いするにも難しい状態だった。
この先生と十分稽古をして、指導を頂きたいと思ったものだた。
ある時、永松先生がJR東海の師範をされていて、週に一回東京駅の道場に来られていると聞いた。
教えてくれた人が、西村先生が参加したければ連れて行ってあげるよと言ってくれた。
勇んでその道場へ行った。
参加人数はそれほど多くないので、行けば必ず稽古が出来た。
天にも昇るここちで幸せだった。
参加者の中では西村が最上位の様であった。
先生に面を打つと、必ず小手を打たれるのだ。
スパット斬って落とされる様な小手だった。
まぐれで面でも小手でも入ると「参った!」と気持ちよく言って下さる。
それに元気をもらって稽古に励んだ。

ある人は先生の足の入り身を真似をして、コツを掴んだらたちまち七段になった。
 当時、最長老の幹事の小泉先生が西村に言った。
「永松先生の剣道は品があるだろう!
警視庁の警察官のマッポ剣道と違う!
それで、この先生に師範をお願いしたのだ!」
西村も良い線まで押し込むのだが、後一歩で取られた。
周りの人が、西村先生は永松先生との稽古は目を見張る物があると言った。
完全に八段候補の剣道だよと言ってくれた。
ずーっと先生のビデオを撮り足の捌き、手の内の作用を研究した。
ある日、先生に覇気が無いときがあった。
何と!小手も面も面白い様に入った。
先生も参った!と言われた。
小躍りして喜んだが、先生にはそれなりの理由があったのだ。
 先生の下顎に一本の残っていた歯が歯周囲炎で腫れていたのだ。
前から良くなかったのに加え、雨の日葬儀に長い時間参加され、体力が落ち痛みがひどくなっていたのだ。
それとは知らない西村、何本も入ったので喜んだ!
名人も体力、気力が無いと、西村が上をいく。

その後、西村が頼み込んで治療をさせていただいて先生の入歯を完璧に作り上げた。
以後、先生の気力、体力は順調だ。
その後、先生の師範をされている間は、ずーっと稽古をお願いした。
87歳になっても東京剣道祭りで範士八段の部で見事に冴えた面を打たれる!
老いて益々盛んな剣道ぶりだ!
この剣道は西村の入れた総義歯が支えている。(何と楽しいことか)
その後、先生の師範をされている間は、ずーっと稽古をお願いした。

当時、原田流の攻め入り、足腰の捌きを熱心に習得していたので、今思えば永松先生の足の動き、攻めは入りにそれほど注意をはらっていなかったのは残念だった。
目にはしっかりと印象に残っている。
原田流はやや遠間から、体を立てたまま足からスーッと打ち間に入って行きます。
竹刀はやや低めから相手の小手を伺うようにスーッと相手の竹刀の下に入れます。
この時、打気は消して、打つならどうぞ打って下さいと捧身で入ります。
この時、遠間からのスタートのため、足はやや床から10〜15センチ程の高さで進みます。
西村はこれを攻め入りの足の動きにしていました。
相手はこの体の前進に何となく前進は感じていますが、圧力を感じ始めますが、初動がゆっくりなので反応が出来ません。
相手はこの圧力に耐えていますが、目は竹刀の下に潜り込んだ小手を伺う竹刀を見ています。
有在意識は前進して来る圧力に耐えて相手をしっかりと見据えています。
自分が対応する瞬間を狙っています。
打ち間に入る、過ぎると、打出した方が負けは古来より剣道の定説。
要は左拳を動かした方が負け・・・心が動いた方が負けなのだ。
この瞬間相手に読まれ、対応されるからだ。
無意識は小手を攻め入って来る(伺がって入る)竹刀の先を嫌がり、これを裏から押さえに懸かる。
この瞬間に、浮木の原理で面を打つ。
相手の竹刀の先は中心からやや下に動いて行く。
そこを抜いて面を打つ。
原田先生はその前に相手の竹刀の先を裏から強く2回くらい払う作業をする。
相手の無為意識を自分の竹刀の先に注意を払わせる誘導なのだ。
これは今まで何度も書いていた内様だ。
この実際例は京都の小西先生の対合が典型例だ。

さて、原田流の足と西村流の面も足は同じだ。
遠間合いの場合はかなり有効だ。
感じとしてはすーっと入り込み、相手が動いた瞬間ズシンと面を打つ。
前足が上がっていた分(約15センチくらい)、腰から体を乗せ面に斬り込む分だけ面が強く当たる。
武徳殿の観客がワートと沸き上る瞬間になる。

ここまで書いて
佐藤博信先生と静岡の井上先生との立ち合いを思い出した。
前足が床を滑って体がやや前進した。
井上先生、来た!とばかりに面を打とうと手元が上がりかけた。
その瞬間、佐藤先生見事に小手を斬った。
その鮮やかさは今にも脳裏にはっきりと映像が残っている。

永松先生の場合、前足が床を滑って出て来る。
いわゆる摺り足の状態で前進される。
後ろ足は体を軽く押し、体がやや落ちながら、ハの時に足が開く様に前進する。
いわゆる、滑落の原理に沿った体の前進だ!
かって、西村が打てる、ここだ!と思ったときは、先生の術中に嵌まっていたのだ。
先生が先を取って、打ち間に(斬り間)に入って来たことすら気がつかなかったのだ。

さて、何故切れ味が鋭いか・・・足が床からほとんど離れていないので、後は軽くトンと床を蹴りながら竹刀で小手を斬って来るから早いのだ。

原田流では足は15〜20センチ床から離れ、右膝が前に出て来ている。
足が床に着くのに時間がかかる。

要は右足は床を滑って、体の滑落を応用して攻め入れば切れ味の良い小手が打てる。
面の場合は後ろ足を強く押し出すだけだ。
永松先生が【日本一綺麗な面を打つ先生!!】と呼ばれている秘訣がここにある。

西村は永松先生の背筋から腰にかけての素晴らしい筋肉を知っている。
尚、歩くときは軽く地面を蹴るように軽快で、すばらしい歩みをされる。
さらに週に5〜6日は現役で剣道をされている。
あの見事な面はこのような裏付けがあるから打てるのだ。

追伸:国体で大将同士で賀来先生と当たった。
   試合では永松先生が勝ったらしい。
   後で、稽古をしたら何と賀来先生は強いんだろうと思った。
   良く勝てたもんだと思った。
   西村に話された言葉です。
  
次は手の内に着いて書きます。
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打つ機会、手の内
西村雅興
2016年12月6日(火)
永松先生の手の内について書いてみます。

手の内そのもの解説は難しいので、手元と竹刀の関係を解説いたします。

多くの剣道家、特に初心者、高段者以外の有段者。
竹刀を当て合いゲームと無意識が思っている人は、竹刀の先を出来るだけ早く面に届かせようとします。
その為、手元が早く前に出て竹刀の先を面に近づけようとし、いわゆる刺し面のようになり、腰が残りへっぴり腰で面を打つ形になります。
そこで昔から【愁猴の身 (しゅうこうのみ)】を教えられます。
手の短い猿は得物に十分近づいてから手を出す。
剣道では体を相手に十分近づけてから手元を動かし面を打つ。
相手に体をぶつけるようにして太刀を振るう。

【溜は】体幹の力を十分太刀に伝えるために、かつその瞬間を待つ為に言われます。

原田先生の教えに【剣道は一瞬の我慢比べだ!】があります。
古来より撃尺(げきしゃく)、斬間、、切間に入ったら、先に手を出した方が負けとの教えがある。
先に反応すると相手に読まれ、それに反射的に反応され後の先を取られるからです。
原田先生との稽古では、どんなに我慢をしても先生の我慢に負けて打たれていました。
打とうと無意識が思うと、有意識が命令するまでにタイムラグがあり、そこをつかれるのです。
反射的動きは【石火の機】火打石が打ったとたんに火花が出る様な反応です。
西村はこの修行と思い稽古に励んで来ました。
しかし、目が相手を捉えて打とうとすると同じようにタイムラグができます。
要は何も考えていないで、とっさに打てば良いのです。
無にも考えていないでいる、無心でいることが難しいのです。
目で捉えないで、勘で捉えることが大切なのです。

剣道の難しいところはこの勘、感性の鋭敏さに左右されるところです。
これは遺伝的な要素が強いので遺憾ともし難いのです。
理合が判ればかなり補えますがなかなか難しいところです。

しかし、相手が打って来るという危機に関しては、自ずから敏感に反応します。
打たれにって反射的に相手を捉える、打った意識は全く無いのに良いうちが出た!
とっさの反応です、反射です。
原田先生は竹刀を持っている意識も無い。
ただ手が勝手に動くと言われていました。
【手は勝手に動くわなあ!足はそうは行かない!】

原田流も西村流も同じ溜で、手元をギリギリまで動かさない。
相手のは反応を捕まえるまで動かさない。

ところが永松先生の左手の動き始めがこれよりやや早い!
ここに切れ味の良さがあるのではないかと思います。
こちらが十分でも、え!と思うところで面を打たれるときがあります。
原田先生では絶対にない機会です。
先生が言うには俺はそんなに我慢が出来ない、打ってしまう!
と聞いた事があります。
結構手数も多い方です。

相手の反応を待って打つのではなく、相手が反応するであろうとの判断で、打って行くのではないでしょうか。
だから、間髪を入れずに入ります。・・・おそらく外れる事もあるかと思いますが。

その為、万を持して左手元を動かさないのではなく、打つべき方向に手元が攻め動いていて、へそから手元が早めに前進している様な気がします。
相手の手元が浮こうとしたとき竹刀の先はほとんどそこにある。
切れ味の良さはここに尽きると思います。

西村もこれを参考に、剣風を変えてみようかと思います。
体力、筋力、瞬発力が衰えると、これも有りかな!と思います。

体と手元と竹刀の動きは以上を参考に 【永松範士】を検索して吟味して下さい。
原田流は京都での小西先生の立ち合いで先生が面を打った動画を見て下さい。
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永松範士流の足を真似る!
西村雅興
2016年12月7日(水)
永松範士の事を書いて永松範士流の足さばきをやってみました。
前足を床に滑らせ体を前進させる。
後ろ足の支点はしっかりとしているまま前足を滑らせて、足を広げるだけです。

なるほど今まで無かった程の切れ味鋭い小手が打てました。
しかし、相手が全く反応しなくて困りました。
これでは相手の立っている面の位置まで打つ必要がありました。
この足捌きでは面に届きませんでした。
相手を引き出す事をするか、最後に体の押し出しを強く蹴るかこの二つが必要な気がしました、
往年の西村の足では十分に面が打てますが、70才を過ぎた足では難しかったです。

判った事は・・・この攻めは入りには全く色が無いので、相手が全く反応できない
        ことが判明しました。
いわゆる、風がさーと吹いたように相手に忍び寄れるのです。
原田流、西村流では前足を浮かせる弱いアクションがあるが、永松範士流では前足を浮かせないでスルリと滑らす為に、アクションはほとんどゼロです。
今回、相手の反応がゼロであった事判ったのは大きな収穫でした。
後は最後の瞬間にわざと色を見せて反応させれば良いだけです。
今度の稽古ではこれを試してみます。
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西村、新境地の面に!!
西村雅興
2016年12月9日(金)
昨日、永松範士流の足を真似てみた!
原田流では最近少し遅いと感じていた竹刀の面の捉えが有った。
往年の頃はズバット入っていたのが、やや最近(70才)になるとそうではなくなった。
体重に増加、足の衰え、加齢のせいかと残念も思っていた。
しかし、永松範士流の足にすると、小手は鋭い切れ味を示した。
それだけではなかった・・・・。

前回は、相手が全く反応して前に出ないので、その分竹刀の先が面に届かなかった。
それで、今回は相手が反応しないから、相手のそのままの頭の位置を打つことにした。面打の想定位置を変えることにしたので、体の前進をその分大きくする必要がある。
この想定の元で、右足をスーッと床を滑らせ打ち間からやや深く体を入れた。
相手の反応が無い、ただボーッと私を見ているだけだ。
最後の瞬間に竹刀で相手の面をパシリと打った。
打たれた方は何事が起きたのかという風な表情だった。
気がついたときは西村は相手を通り過ぎている。
スーッと一瞬、風が通り過ぎた様な感じで面を打たれているのだ。
打つ方に打気が無い、捧身の位で(相手に身をささげる気持ち)、風のように前に進む。
自分が消えて、風そのものになった心境だ。
無想の位の剣道になった。
ただそれだけだ!!!!!!
西村の剣道は新境地に達した。
西村に色は出ない。
相手も色を出さない。
無想の位で(自分が消えた位)ただ、スーッと相手に身を寄せて行くだけ。
すると竹刀の先に面が見えるので、面の上に乗っている蠅をピシリと叩くだけ。
そんな感じの面打になった。
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