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- 超難症例総義歯完成 - 西村雅興 [2012年9月19日(水)]
義歯治療の進行過程 - 西村雅興 [2012年9月20日(木)]
入れ歯と人間模様 - 西村雅興 [2012年9月20日(木)]
お歳暮、お年始 - 西村雅興 [2013年1月5日(土)]



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超難症例総義歯完成
西村雅興
2012年9月19日(水)
上下総義歯完成

下顎の骨が極端に無くなり、顎の関節もあまり動かない顎関節症だった。
入れ歯をどんなに工夫しても超難症例で不可能な顎だった。
顔はぺしゃんこ、入れ歯は上下とも前に突き出した顔で本人の顔はどこかに喪失してしまった。
下顎犬歯部に2本のインプラントを植え、3ヶ月間インプラントの骨統合を待つ。
その間、色んな工夫をして何とか入れ歯の痛みを和らげ、何とか落ち着かせて行くが、どんなにやっても合格点以下だ。
患者さまは来院じに比べ入れ歯の安定を喜ばれているが、西村としては何とも不本意な状態だ。
途中、顎関節に針、寫血、プラセンタ等をして、動かない顎関節の可動域を広げ、口も何とか開く様にして行く。
身体全体を緩め顎を治して行く。
手間がかかる作業が続くのだ。
約3ヶ月間だましだまし何とかしのぐ。
3ヶ月間の後、インプラントの二次オペをして、オーリングアバットメント(インプラントプランとからゴムリングを止める支台)を着ける。
頭出しの部分に0−リングゴムを着け、それを中にして入れ歯の裏打ちをする。
レジンが固まる直前に義歯を外すと、ゴムは義歯の中に留まる。
これでホックの出来上がりとなる。
顎の骨から金属の棒が2本出ていて、それとゴムとがホックで繋がる。
患者さまに下顎の入れ歯を外して下さいと言うと、患者さまはいつもの様にベロでペッと入れ歯を外そうとするが全く動かない。
手を使ってやっと外せる状態になっている入れ歯に驚かれる。
下顎の前方で強力な支えが出来ると、顎関節は治って行く。
診断用義歯で数ヶ月間かけ、顎の改善、姿勢の改善、顔貌の改善をして行く。
そして、ほぼ満足のいく状態になると、この使用中の義歯から、コピーデンチャー
(そっくり同じ義歯)を型取りをして、最終印象と噛み合わせを採る。
次に前歯を並べ口唇、顔貌等を十分考慮して完成に出す。
このとき、下顎は補強フレームを入れておかないと義歯は破折する。
完成義歯が出来上がって来ると、ここから最終行程に入る。
アバットメントにゴムを被せ、義歯の適合をみる。
良ければ、入れ歯の中にこのゴムを取り込む作業をする。
うっかり!時間をかけすぎてレジンがしっかり固まってしまうと、全く外すことが出来ない。
しかし、レジンの硬さが弱いと義歯からゴムが外れてしまう。
絶妙なタイミングが必要だ・・・多くの先生はこれが怖くて西村と同じ様な処置が出来ない。
特別な工夫をされた物を使用しているか磁石にしている。

ゴムをくわえた義歯のレジンは未だ十分固まっていないので、熱と圧を加え完全に重合させる。
バリを外し研磨をしてメスの状態の内部の可動を必要十分に調整する。
下の義歯がビクともしなくなると、今度は上顎の義歯の内面の調整に入る。
下顎の前歯の部分で強く噛めるようになっているので、入れ歯の後方の部分の支えが幾分弱くなっている。
これを口腔内で直接裏打ちをして、ピッタリに仕上げる。
これで上下ともビクともしない義歯の出来上がりだ。
特別なガムを噛んでもらい、下顎の義歯のアバットとの当たりを調整する。
本義歯セットにかかる時間は1,5〜2時間だ。
翌日使った後での調整をする。
その後、1週間後の調整をする。

初診からここまで、簡単な処置も含めて34回になる。
初診は4月終了は10月になる。
患者様も歯科医も本気にならないと出来ない作業だ。
日本中どこに行っても不可能な患者様も、西村がこのくらいエネルギーをかけると見事に仕上がる。
さらに終了までに後、数回かかる。
頂く費用は270万円だが、ここまで難しい人だと完全に赤字だ。
ただ涙を流して喜ばれた顔が最大の報酬になる。
入れ歯が高いか、安いかと単純に判断出来ないのが医療なのだ。
この女性は命と人生と、失った顔を取り戻した。
西村の頂いた金額とは比べ物にならない価値を手に入れたのだ。
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義歯治療の進行過程
西村雅興
2012年9月20日(木)
◎◎様進行状況
1-4-/2  初診/お話 (顎とお口と入れ歯の関係を話す)パノラマ撮影    2-4/3  舌小帯処置(顎の開閉改善の為)
3-4/4  消毒
4-4/10  抜糸
5-4/13  計画 断層撮影→CT撮影予約
6-4/16  コピーデンチャー作成
7-4/18  上下印象 
8-4/19  BT(咬合採得) 仮前歯排列
9-4/26  CT、シンプランと説明
10-5/9  前歯排列試適
11-5/16 下顎2本インプラント埋入
12-5/17  消毒
13-5/22  抜糸   仮義歯セット
14-5/26  義歯調整
15-5/30  義歯調整 痛みあり(下顎右)
16-6/9   歯調整 痛みあり(下顎右)/顎関節部に針、整体
17-6/13  義歯調整 痛みあり(上顎口蓋部)
18-4/15  義歯調整 軟質粘膜調整剤使用/顎関節針、首、背中を緩める
19-6/22  義歯調整 左下
20-6/29  義歯調整 左下
21-7/6   義歯調整 右下
22-7/11  義歯調整 上左  顎のツボに針、
23-7/20  義歯調整 左下
24-7/24  歯槽骨整形(骨鋭縁)
25-7/25  消毒
26-8/6   抜糸
27-8/13  二次オペアバット頭出し 義歯にオーリング埋設
28-8/14  消毒 義歯の痛みは全く無く、入れ歯は凄く安定していると感謝される
29-8/20  抜糸   義歯リベース
30-8/24  コピーデンチャー作成   頬小帯手術
31-8/25  消毒
32-8/27  本義歯上下印象 咬合採得 前歯仮排列
33-9/7   排列試適
34-9/19  本義歯セット 2時間かけて精密に粘膜面調整、オーリング適合
35-9/20  義歯・調整すべき箇所無し、痛みも全くなし、入れ歯はピクトもしない
 二次オペ後は義歯の痛みは全く無く、入れ歯はぴくりとも動かない
 インプラント2本埋入後3ヶ月間のみ入れ歯の痛みと動きは続く、だんだん良く なって来るが40点くらいの義歯、本義歯は100点の義歯になる。
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入れ歯と人間模様
西村雅興
2012年9月20日(木)
インプラント2本無しには、どんなに頑張っても、やっと噛める入れ歯で西村的には40点の入れ歯にしか完成しない。
患者様は入れて来た入れ歯に比べると、西村が仮に入れた診断用義歯でも喜んでくださるが、いずれ動く、痛いの連続を死ぬまで続けることになる。
多くの老人は人生を歩むに靴を履かずに、スリッパで歩んでいる。
少し歩けばスリッパは壊れ、穴があき、履けなくなってしまう。
そのなれの果ての姿は老人病院、老人施設にみる。
食事風景を見ると、入れ歯をはずして食事をされている場面が多く見られる。
咀嚼してないで食事をしている。
流動食にすれば食べれると思い、極端に柔らかいか、ドロドロにして流し込んでいる。
現場の誰も気がついていない大問題が見落とされている。
嚥下するには上下の顎が一定の高さで固定され、舌骨が固定されないと嚥下が出来ないのだ。
呑み込み時に時間が懸かり過ぎると肺への誤飲をし、いわゆる「誤嚥性肺炎」を引き起こす。
老人施設の死亡は肺炎が多いが、その前段階の誤嚥に有り、低すぎる入れ歯か、入れ歯無しでも食事に尽きる。
合わない入れ歯で首が凝りボケている。
適切な入れ歯でなくて誤飲して、肺炎になっている。
歯を入れ歯をおろそかにしたことが、死因に繋がっているとは夢にも思っていない。
西村から言えば、咬合、入れ歯をおろそかにしている人は自殺志願者に見える。
この死因から脱出するには本人の自覚と腕の良い歯科医でしか出来ない。
ここで問題になるのはお金の問題だ。
先ず腕の良い歯科医を探す努力がない。
入れ歯にお金を懸けるなんて思ってもいない。
それは歯の持つ意味、入れ歯の持つ意味を知らないからだ。
知ったとしても、金を出す気がない・・・・保険でやってくれ!
保険証に命を預け自殺している。
西村歯科医院には何とか命を救ってくれとの悲壮な願いをもって、表現はしっかりした入れ歯を作ってほしいと日本中から来られる。

今回の入れ歯の患者様
西村にとっては三組での完成義歯で350万円が標準だが、予算の関係でインプラント併用二組の義歯で完成させた。
計画と金額を聞かれたとき、主人に相談しますと言って帰られた。
その返事は金額的に無理が有り見合わせたいとの電話での返事だった。
しばらくして、再度電話があり、主人がOKしてくれたからお願いしますと連絡が入った。
入金時は御主人と一緒に来られた。
その時の御主人の言葉。
「長いことよく働いてくれた!そのお礼に多少お金が懸かってもしっかりと治してやりたいと思った。先生よろしくお願いします。」
この御主人の奥さんへの思い、愛こそが・・・これが成功の秘訣なのだ。
この奥さんは配偶者を選ぶ人生の選択は間違っていなかったのだ。
西村はこの御夫婦の思いに最大限こたえる様にすることである。

今日聞いた話。
娘が言った・・友人でインプラントをして痛い目に合った人が多い、大丈夫?
お母さん・・私は先生を信じているので、西村先生にしてもらうことにする。
先生を信じて本当に良かったわ!
でも!ずいぶん悩んだんですよ!
インプラントが使える様になってから、全く痛みも動きも無くなった。
こんなに違うのですね。
西村・・・インプラント無しでは難しすぎて、お断りしていた超難症例です。
   しかし、たった2本のインプラントが使えると、最高の入れ歯が出来るお口   に変わるのです。
   本当に良い仕事をさせて頂きました・・・有り難うございます。

入れ歯の中に人生模様が如実に表現されているお話です。
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お歳暮、お年始
西村雅興
2013年1月5日(土)
暮れのある日
毛糸で編んだ座布団を頂いた。
感謝の気持ちを込めて編まれた座布団・・大切に使っています。

お年始にこられ、院長と従業員へと虎屋の羊羹を頂いた。

生まれ変わった様な人生を取り戻したお礼・・・と言うことだ。
歯科医冥利に尽きる!
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