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- 剣道を初歩から考える。 - 西村雅興 [2008年1月20日(日)]
剣道を初歩から考える。-1 - 西村雅興 [2008年1月20日(日)]
剣道を初歩から考える。-2 - 西村雅興 [2008年1月20日(日)]
右手の働き - 西村雅興 [2008年2月3日(日)]
右手の押し手についてご教授ください - sonoda [2008年1月20日(日)]
Re:右手の押し手についてご教授ください - 西村雅興 [2008年1月21日(月)]
試行錯誤しています - sonoda [2008年1月23日(水)]
説明補充 - 西村雅興 [2008年1月24日(木)]
Re:説明補充 - sonoda [2008年1月24日(木)]



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剣道を初歩から考える。
西村雅興
2008年1月20日(日)
剣道の身体操作の復習

あるレベルの基本稽古をしてきた人は、一刀を両手で操作する迷路を越えて来ている。
それは非力な子供の頃から剣道を始めた人や、徹底的に打ち込み稽古で竹刀身体操作を身に付けてきた人達である。
この人達はその気になれば簡単に六段までは行くことが出来る。
しかし、大人になって剣道を始めた人、身体がそれを悟レベルまで稽古をしていない。
そもそも、一刀を両手で持って闘う戦闘方法は日本の剣道くらいで、他にはほとんど見当たらない。
最高の戦闘集団であるローマー軍は左に盾、右手に刀の出立ちである。
それ故、日本剣道は特殊なものであることを理解しておいてほしい。
リバイバル組、成人から剣道を始めた人、下手の横好きの人が迷路から脱却する手助けとして、本当の基本から紐解きたいと思う。

名著 森田文十郎著  『腰と丹田で行う剣道』をベースに紐解きたいと思う。

剣道で難しいのは一刀を両手で持つことから始まる。
『両手で一刀を持つ日本の剣道には迷路があって、誰しも苦労をしているが、左手に押し手のあることを気付かない人が多く、押し手といえば右手のそれであると誤解している。』・・・序文
・・・実にこの文章に剣道の難しさは要約されている。

しかし、森田先生の竹刀の操作の難しさの要約であって、真剣ではこの迷路はないのである。
何故か、刀の重さは腕だけでは操作が困難であるから、誰がやっても『腰と丹田で行う刀剣操作』を実行しているからだ。
刀の重さ、一刀を両手で持つこと、斬る目的・・・これらは無意識的に合目的に身体が自然にやってのけるのである。
実際に非力な女性に、刀を持たせて物を斬らせてみると、少し教えただけで見事に刀を操作して、見事に斬ってしまう。
今度は腕っ節の強い剣道家に軽い刀を持たせてやらせると、見事に失敗して頭を掻くのがオチダ。
しかし、この男性に振るのがやっとの重さの刀を持たせると、見事に斬ってしまう。
剣道は竹刀を刀に見立てて、竹刀の先を素早く面(小手、胴はこの際省く)に当てる競技である。
競技である以上、当てる素早さが優先され、打つ強さの基準はそれほど優先されない。
しかも、竹刀で打つと云う言葉で表現されるように、斬るという概念はほとんど無い。
しかも、面打ち部位は面蒲団と規定されていた時期が長く、ここにさらなる誤解が重複されてきた。
これでは面ではなくて、頭頂打ちになる。
西村の考えでは・・・面を打つとは額越しに咽まで斬り落とす過程で面の比較的上部にに竹刀が当たることである。
最終目標を喉元(本当はみぞ落ち)にすることで、面に当たっ時は最速になる。

全日本選手権で決まった面を見ても、そのほとんどが面蒲団を竹刀で触りに行く競技になってしまっている。
西村のいう面を打てば審査員は「今のは面金」といって一本にしないからだ。
だから一本の旗がほしいから頭頂打ちをめざす。
その結果左腰が流れ、左手元が上がってしまう・・・それでも優勝する。
手元が斬り手になっていない。
(岩立範士の面打ちを初めて京都で見た時、左腰がしっかり入り、両手とも手はしっかり斬り手になっていた。
打たれた人が言った「真っ二つにされた!」)

何が問題か?
軽いことが問題
竹刀は腰と丹田で操作しなくても軽いから早く動かすことが出来る。
腕っ節で打ててしまうことが問題なのだ。
早さを争う試合で勝つ、稽古で勝つには竹刀をどうすれば早く動かせるかは無意識に身体は知っていて、その合目的な身体操作をしてしまう。
斬るという意識の欠如
軽いもので当てに行く、触りに行くことが目的であるから、手首ではたくののが一番早いと無意識が理解しそのように身体を操作する。
その為に早さを競う瞬発力、タイミング、技に重点が移行する。

基本打ち込みを十二分にやっていない人は、必然的に竹刀を右手の三角筋と上腕二頭筋をつかって引き上げて振りかぶることになる。
しかし、同じ人に前に物を置いて真剣で斬らせると、しっかりと腰を入れ、左拳で刀の柄を押し上げながら体を真剣の下に入れ込み振りかぶる。
即ち腰と左手で刀を押し上げながら振りかぶる。
この時刀の重さは全く感じない。
両手で中指と親指で軽く輪を作り簡単に動かすことが出来る。
(刀の重みは三角筋と上腕二頭筋での引き上げは困難である)

ここで、振りかぶりの早さを要求すると、三角筋と上腕二頭筋を使おうとするので刀は物凄く重く感じる。
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剣道を初歩から考える。-1
西村雅興
2008年1月20日(日)
さて、重い刀で行う斬るという行為に、早さを競う競技に軽い竹刀を使うことから大きな矛盾を含んでくる。
真剣を持って斬るという動作を【歩み足】で書いてみよう。

1-先ず真剣をもって中段に構える。
2-右足を1歩出す。
3-次に左足を一歩出すときに刀を振りかぶる。
 (実際は左腰の前進と左手が刀の柄を押しあげ、右手は上に上がり、その下に身体 が前進するから、刀の重さは全く感じられない)
 【二足歩行の原則では左足前進は左手は後方へ引くのが自然であるが、この時の左 腰の前進の力を左手に伝え左手を前に出し刀を押す、この時右手は本来前に出る 手であるから自然に上に向く】
 (左手の腰からの押手になる)
4-その次に、右足が出て行くと右手は自然に下がる。
 (これが右手の押し手になる)
5-その次の瞬間、左足が前に出てくるから左手は自然に下がる。
 (これが引き手になる)この引き手が強く腰が入る為に・・・左足の引きつけが  大切。・・・・逆に身体を前に大きく蹴らなければ、この引きつけを意識するほ どの必要性はない。
6-4,5の一瞬の動きが茶巾絞りの手の内になる。
7-足腰が勝手に手元の絞まりを決めてくれる。
【茶巾絞りは手でやるものばかり思うので、有るか無いかと問題が起きるのである。身体の完全操作をし解し得れば、それは身体で自然に行えるものであり、何等不思議なことではない。】・・・ページ37

実際は二足歩行の腰の高さよりやや低く、腰を上下に重心を動かさない程度の居合腰の雰囲気にすると滑るように前進が出来る。
その前進の力は重力を使い、滑落の原理を使えば蹴り足【押しだし足】の筋肉は最小の力ですむ。

さて、実際に重い刀、模擬刀でこの動作をやってみると、二足歩行で歩けば
重い刀を持った手は、全くその重さを感じることなく、振りかぶり振り下ろすことが出来る。
人さし指と親指の二本で刀を摘んでも簡単に出来るほど力はいらない
これは素人程、初心者であればあるほど上手くいく。
刀を持って歩み足で行えば、勝手に身体が刀の自然な操作をする。
この刀の動きを【太刀筋】と言う。
力が入らない自然な太刀の動く道筋。

武蔵が太刀は振りよいように振ると言っている。
【太刀の道と言う事、太刀の道を知ると云う事は、常に我さす刀を指ふたつにて振るときも道筋能く知りては、自由に振れるもの也、太刀をはやく振らんとするによって、太刀の道ちがひて、振り難し、太刀は振りよきほどに静かに振るべし。
或は扇、小刀など遣う様に、速く振らんと思うによって、太刀の道ちがいて振り難し。・・・・】五輪の書から
では!何故竹刀で出来ないのか?
簡単である・・・軽いもので速く動かそうとするから、太刀筋を誤るのだ。
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剣道を初歩から考える。-2
西村雅興
2008年1月20日(日)
さてさて、現行の剣道を見ると歩み足ではない。
(西村は歩けないほどひどい座骨神経痛で二年ほど杖をついていた時期がある。
この二年間は歩み足で剣道をしていた。
一瞬に遠くに斬り込むという身体操作は難しかったが、通常時に負けない先生にはやはり負けない。通常では難しい先生との稽古でも相手が西村の拍子を読み間違い手元をあげるのでよく小手、胴が入った)

現行の剣道での竹刀操作を二足歩行の原理、丹田を基点とした対角線の法則
の二つで説明をしてみる。

1-お部屋でゆっくりと大股で歩いてみましょう。
2-つぎに中指を足につけて、肩を動かさない様に大股で歩いてみましょう。
3-では、普通に大股で歩いてみましょう。
4-手は足と連動し右足が前に出たときは左手が前に、左足が前に出たときは右手が 前に動きます。
5-重力場では身体の平衡・バランスをとるのには自然は調和動作です。
【余談・・外国のビデオでチンポの長い外人さんがベットからベットへと飛んで移るシーンがあった。
何とその人の長いチンポさえ、空間バランスの一助になっている事実を発見した。
チーターが得物を走って捕まえる際に、長いしっぽ(尾)を身体のバランスをとるのに遣い、急速なターンにおいてはさらなる重要性を示すシーンに出くわす。
人間も柔軟な機能的寄せ具細工であるから身体全体でバランスをとる。】
6-例え、竹刀を持ったとしても人間の二足歩行の原理、対角線の法則を無視しては 合理的・生理的な動きにはならない。
7-ここで、両足を付けて、竹刀を振りかぶって見よう。
8-ほとんどの人は右手を上に挙げるようにして、竹刀を振りかぶると思う。
 この時、身体より遠いものを身近に引き寄せるために上腕二頭筋を遣う。
 ヒジを上に挙げるために三角筋を遣う(本来の三角筋は横に腕を上げるのに遣う 筋肉である。)
 この動作は良く見るとヒジを外に出しながら(三角筋の力を発揮しやすい様に)  拳を手前に引いている。
9-誰もが知っている・・・大人になって剣道を始めた人の振りかぶり動作の典型だ
10-この振りかぶりは相手に小手を打てと合図をしているので、試合では全く勝てな  い人なのだ。
11-剣道の下手の横好きに多いタイプの振りかぶりだ。
12-屈筋は脳の指令に敏感に反応するので遣い易い筋肉なのだ。
13-今度は7と逆に、右足を大きく踏み出して、大きく振りかぶってみよう。
14-左手が大きく前に出て、竹刀を押し上げ、さらに竹刀の下に身体が潜り込むのが 解ると思う。
15-今度は同じ動作を右手が竹刀を持たない状態でやってみよう。
16-右手を遣わなくても竹刀は勝手に押し上げられ、竹刀の重心辺りで支点となり、 勝手に竹刀が振りかぶることが判ると思う。
 (これは模擬刀かそれとも新聞紙を丸めた超軽い物出やっても結果は同じと判る)
17-ここで、身体を一歩前に出す・・・
 右足が前に出れば左手は前に出る→この左手が竹刀を押し上げて振りかぶりにな ると同時に、体の前進は竹刀の回転支点へ体を入れることになるから、横から見 れば竹刀の先は上に上がるだけで後方へは向いて動かない。
 次は、上に上がった竹刀の先を相手の面に落とすだけである。
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右手の働き
西村雅興
2008年2月3日(日)
掌中の作用

右手の中の引き斬り

剣の基本動作である『斬る』という単一動作のなかには、右手が「押し斬り」、左手が「引き斬り」という異なる二要素が既に働いているが、その右手だけを取り出してみると、その掌の上半分は「押し斬り」、下半分は「引き斬り」をしている。
わたしはそこまでしか見切れないが、その「先」ももっとあるに違いない。
【私の身体は頭がいい。  内田樹著  ページ44】

この先生は柔術家である。
右手(腕)の押しの中に上筋の親指が目指す強力な前への押し出しの力、
その動きの掌中の作用に手首を下に食込ます小指、薬指、中指の締まりが存在することを看破している。
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右手の押し手についてご教授ください
sonoda [Mail]
2008年1月20日(日)
 昨年、先生にご指導頂いた大分の園田でございます。今年も先生が掲示板に書かれた竹刀操作のお話など大変興味深く拝読させて頂いています。ありがとうございます。
 さて、私も現在、先生のように身体と左手の押しで竹刀を振りかぶり、面を斬るような稽古を心掛けています。先生のご指導通りに左手で押しますと、確かに竹刀を軽くその重心を支点としたように振り上げあげることができます。しかし、その竹刀を振り下ろす際には、右腕でなるべく速く、しかも強く押さえ込むようにしないと相手の喉元まで斬り下ろすことができません。そうしないと相手の面打ち(たとえ軽く、刺し面であっても)に先に打たれてしまいます。左手で強く早く押せば押すほど、竹刀は上方へ勢いよく振り上がるため、その分、右腕で急ブレーキをかけると同時に前下方に向けて強く速く押し下げる力が必要になるのです。今回の先生の記事を読みながらいろいろやってみましたがうまくいきません。つきましては、腕っ節だけに頼らず振り下ろす際のコツを、もう少し分かりやすくご説明戴ければ幸いです。
いつも質問ばかりで恐縮ですがよろしくお願いします。
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Re:右手の押し手についてご教授ください
西村雅興
2008年1月21日(月)
左手の押し出しが理解できたことは非常によかったです。

【左手で強く早く押せば押すほど、竹刀は上方へ勢いよく振り上がるため、その分、右腕で急ブレーキをかけると同時に前下方に向けて強く速く押し下げる力が必要になるのです。】

左手の押しが強過ぎるのは飛ぶ距離が大きいせいだと思います。
右手の急ブレーキは基本的に必要が有りません。
左手の押し出しと同時に体が前に出ると、竹刀の回転の支点は前方に動き、竹刀の先は上にいっただけです。
この右手は本来は緩め手で急ブレーキにならない程度に振りかぶります。
基本動作と違い相手が居る場合、スピードを遣った面の打ち合いになると竹刀の先が早く当たった方が勝ちになります。
振り下ろしのコツは余り振り上げず、余り距離を飛ばないことです。
そうすると左足が勝手に引きつけられて、それと同時に左が引き手になり、脇を締めると左拳が鳩尾に入ってきます。
この動きは竹刀の振り下ろしに強い力を発揮します。
右拳の親指は相手の目を突くように内筋を強め押し出します。
気分的には鍔が相手の額を割って斬り込んでいく。
分解するとこうですがこれはゆっくりとした動作で、打ち込み稽古で身体的確認をしてください。
稽古においては左拳が竹刀を押した瞬間・・・ただ斬る(打つではないです)と念仏を唱えて下さい。
両拳は相手の顔面を突き抜けるように進み、その延長上の竹刀に先は凄いスピードで相手の面を割って入ります。
右手に意識が行きますと体が開き結果がよくありません。

コツ一つ・・・心が打てと命じたら、打ちに行かないで『斬りに行く』
これを念仏の様に唱えることです。
イメージは相手の頭から咽へと真っ二つに斬り落し、頭がぱっくり割れるイメージを描きます。
この凄まじいイメージが無意識にそれに叶った身体動作を致します。
斬りに行くと、竹刀は間合いに応じた振りかぶりとなり、左足の引きつけがよくなり、竹刀は両拳は前下方へ下がり脇が絞まり、斬り落としの様な感じで、相手の竹刀を跳ねのけて入っていきます。
さらのこの時のコツは息を吐ききり、胸を小さくして肩を前下方へ絞り込みます。
この勢いは胸が絞られる筋肉の作用、脇が絞まる作用が竹刀に伝わり強力な打撃になります。
この方法を『肋骨つぶし』胸を遣った打ち方といいます。

尚、相手の竹刀を押さえ込もうとすると、打つべき本体を見失い竹刀を押し込む動作になり、竹刀同士の打ち合いレベルになり、両方の竹刀が弾け飛ぶだけです。
斬り込めば相手の竹刀は勝手に弾き飛びます。
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試行錯誤しています
sonoda [Mail]
2008年1月23日(水)
西村先生

 何とか(まだ不完全ですが)左手で竹刀を押し出し、しかも右腕に強い力を加えず竹刀を振り下ろすことができるようになりました。
 結局、右腕が振り上げの段階で邪魔をしていたことがわかりました。
左手で押し出す際、竹刀の重心ではなく、右手の手関節を支点として「押し出し」ではなく、
「押し上げ」ていました。よって、左手は自分の口の高さまで、右手も額の高さまで上がっており、竹刀の先も後方に向いていました。
 今は、左手で臍の位置から竹刀の重心に任せて押し出し(この時左手は鳩尾の高さ、右手は胸骨の高さになっており、竹刀の先は自分の頭頂部の10cm位の高さで前上方を向いています)、左手をその位置から手関節を押し下げるようにして振り下ろしています。
このようにすると先生のおっしゃる通り、右腕にブレーキをかけることも、強く押し下げることもなく竹刀は振り下ろすことができます。
 しかし、何故でしょうか?威力とスピードに欠けるのです。先生のおっしゃるような「頭から咽へと真っ二つに斬り落とす」イメージにならないのです。そこで威力を出そうとすると、どうしても相手の面に当たる直前に、右腕で柄を強く握って押さえ込もうとしてしまいます。先生のおっしゃる「右拳の親指は相手の目を突くように内筋を強め押し出す」と言うのは、相手の面を斬る瞬間に「内筋を強め=右の第4・5指で柄を締め=尺側手根屈筋を働かせ」、「押し出す=上から下に落とすのではなく、前方に伸ばす=空手の正面突きのようにする」、すなわち「振り上げから振り下ろしまで右腕に強い力を必要とはしない」と理解してよろしいのでしょうか?
 また、先生の面打ちを左踵で床を強く蹴って行おうとすると、どうしても体がやや右に流れるようになります。先生は「両拳は相手の顔面を突き抜けるように進み」と書かれていますが、先生は重力を利用して右ひざを抜いた後、左足で床を強く蹴って体もろとも突き抜けるように面を斬るのでしょうか?それとも左足を引きつけ面をしっかり斬り落とせば、体は相手の正面で止まっても構わないのでしょうか?
 一つ解決したと思えばまた一つ疑問が出てくる毎日ですが、先生に御指導いただいた内容を自分の身体で一つ一つ確かめながら、試行錯誤を繰り返しています。今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。
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説明補充
西村雅興
2008年1月24日(木)
前回、右手のことを書きながら十分説明が出来ていないことに気がつき、寝ても覚めても右手の運用を考えていました。

先ず、多くの人は右手の運用で、打ちを早く意識すると誰でも同じように右手が竹刀を握ってしまう傾向があります。
これは感心しない方法ですが、竹刀の先を相手の面に放り込んで当てようとします(打たずに)、全日本選手権の面の決まり技の多くはこれです。
岩立先生の斬る面の秘訣を松風館へ稽古に行き、そこで先生の横に座った時見ました。
柄がかなり短いのです。
この場合は手元は斬り手を崩しません。
しかし、柄が長いとどうしても最後に右手が邪魔をします。
柄が長いと器用に竹刀の先を早く動かせるし、竹刀の重さを感じ難い長所があり、なかなか短くするのが難しいです。
三九の竹刀の長さの場合、この手元から遠い部分を動かすには(右手の引き手を遣いやすい)打ち下ろしに際しては右手の前方への力が伝えやすい長所が有ります。
しかし、面に当たる瞬間の少し前から、この柄の長さが邪魔になってきます。
どちらかと云うと、当たる前に減速の力になってしまいます。
これは一般的に面打ちは左手も絞り込んで目一杯延ばします。
これは長い竹刀をより遠くの面を打とうとするからです。
しかし、左手が強く伸びると長い柄の場合は右手がついていけません。
同じ位置を握っていたとすれば身体をかなり開いて打たないと面を打つことは難しいです。
(竹刀が打つ程度にとどまる理由がここに有ります。
竹刀を刀の想定では真剣刀法では、本来打つではなく斬るです)

さて、西村は抜刀術も稽古をしました。
指導者はスポーツ・チャンバラの会長 田辺哲人先生です。
この時、長い柄の刀を目一杯手元を広く持つと、多くは斬れないか、刀を曲げてしまいます。
いわゆる刃筋が通らないのです。
しかし、右手を鍔にあて、両拳を着けて切らすと間違いなく斬れます。
刃筋が通るのです。

斬り手を大切にするには柄は短い方が良い。
岩立範士八段、椎名教士八段、真砂範士八段はどちらかというとかなり柄は短いです。
さらに、竹刀が短いと剣先の重みが消えていくので、右手の力がぬけて回転力の早い打ちが出来ます。
西村は身長は177センチ、体重105キロの巨漢です、腕プシもかなりなものです。それでも、竹刀は三八と三九の中間の長さにしています。
竹刀当てゲームを主眼とすれば長い竹刀の差し面が有利です。
この場合、遠い相手の面まで打とうと云う意識が強いからです。

本来面は自分から打って行くものでは有りません。
相手が責めに我慢が出来ずに、頭を出して打ってくださいと差し出したと頃を打つものです。
一足一刀から打ちが出るのではなく、斬り間に入って初めて竹刀が動くのです。
ヤッタ!と思った時は何時も深過ぎた思いをしていることでしょう。
西村は5センチ体を出せば竹刀は5センチ短くても良いと思っています。
相手を10センチ引き出せば、10センチ短くても良いでしょう。
幕末までは竹刀はもっと短いものでした。
長い物を上手く扱えば短いものはもっと良く扱える(刀)と考えMえから竹刀が長くなったと聞いています。

ここまでのまとめ
竹刀の長さ
柄の長さ
間合いの作り方(自分の体を進めるか相手を引き出すか)

しかし、今流の試合での旗揚げでは、竹刀の長さはそれだけで有利です。柄が長ければ竹刀を容易に動かすことが出来ます。
しかし、斬ろうとするとその分だけ無理がきます。
間合いを詰める所を打たれてしまう。
引き出す程の腕がない・・・・そうすると竹刀の長さを補えない。

剣道の面打ちの本当に大切だが、物凄く難しいところ。
元警視庁副主席師範、範士八段 古城先生(九段候補にもあがった)
この先生の柄は普通の長さで、短くはなかった。
しかし、ての内の効いた見事な斬り手の面を打たれていた。
誰しもが「何で!あんなに奇麗に面が打てるのか?」と不思議に思っていた。
あるとき、西村は稽古をしないでビデオを稽古場に持っていった。
たまたま、古城先生が面打ちの基本を教えていた。
やはり見事に奇麗な面を打たれる…凄く自然な打ちなのだ。

自宅に帰り何度も真似をした。
しかし、上手く出来ない。
先生の左拳が鳩尾の方向へ入っていくにつれ、右手拳が相手の咽まで落ちているのだ。
何度やってもこの手の内は出来なかった。
左拳を鳩尾に引き右手を前に出し、いわゆる『茶巾絞り』を試みるが出来ないのだ。
約一ヶ月間工夫をしたがダメだった。
あるとき、先生の左拳を鳩尾に引いている左ヒジに注目をした。
判った!!!!!!!
先生は左拳を鳩尾に引いているのではなかった。
蹴り足(本当は押しだし足)の左足が前に出てくるとき。
いわゆる左足の引きつける時、左手は前に伸びた位置から後下方へ向かう。
(二足歩行ではこの時、前に出ていた左手が下に下がり後方へ向かおうとする)
竹刀を持っている関係上これは実際には出来ないが、この方向への力が働いている。
先生はこの時、急速に左ヒジを脇に絞り込む(だから左手は伸びた位置からヒジで曲がることになる)、この時に自然に左拳は鳩尾方向へ引きつけられる。柄頭(左手)は手前に来るので、右手は体を開かなくても十分に下に落とすことが出来る。
実際は右手親指を前に絞り込む様に強く出す。
左手は柄を後方へ引く。
柄の中ほどで支点となり、剣先は急激に下方へ向かう。
紙に横長の楕円を書いて見よう。
楕円の端は急に円に近い角度に曲がる。
竹刀の先が前方へ向かった力が急に下方へと向く。
要するに左拳は二足歩行の原理により下方へ向かうが、竹刀を持っている関係でこれを手放せないから、脇を絞りヒジを引いてこれに対応する。
これをやればしっかりと斬り落としも出来る。
ただ・・・これはかなり難しい!!!!!!!!!
この左脇の締めとヒジの絞りが上手く出来れば範士なのだ!
これを書かれると、頭を抱え込んでしまうのが通常だ。

ここで、右手の拳の握りの意識を捨てる。
右手はあくまで握らず、中指と親指で作った輪で竹刀を前に押す。
この押す力はヒジを伸ばすと念仏を唱える。
中筋を延ばすのはこれが一番です。
右手はスーッと前に延びます。
(本当は面を打ったときは両肘は軽く曲がりやや内側に入る)
(余裕があれば親指で突きに行く・・・内筋が締まる
さらに余裕が出来れば小指を締める)
竹刀でやらないで、新聞を長尺で巻きお部屋で鏡をおいて研究をしてみてください。

鏡の前で、左脇が絞まり結果としてヒジが内側に入り、その結果左拳が鳩尾の前に入ってくる。
これが面を打った時の左手の納まりです。
実際こんな納まりの良い面打ちを見たのは、今まで古城先生ただ一人です。
ほとんどが竹刀を身体から離してしまっています。
もし見本が見たければ、林範士八段が見本を示したビデオ五巻の中に入っています・・少しお高いですが。
ここで、『竹刀は身の内で振る』と教えています。
島亮さんのホームページ剣道ラボ内
http://www.st.rim.or.jp/~shimano/doujo/kendolab/nishino_slow_2004.html
西野悟郎先生の面打ちを見てください。
『私の尊敬する西野先生の一拍子打ちです。初めて見た時の驚きは、右足が前に出て行くのに手元が上がらないことです。』
これも木刀で柄が短く、木刀の長さが短いからより奇麗に打てています。
さしあっては、この動画を夢にまで出てくるほど見てください。

手は足の3倍速く動く。
西野先生の動画を目に焼き付ければ、右手の問題は理屈を越えて解決するかもしれません。

あなたの悩みは本格的な剣道への悩みです。
竹刀当てゲームを主眼に置けばこの悩みは起きてきません。
多くは悩むことない剣道のレベルを足踏みをしています。
文章で説明するのは非常に難しいですが、森田文十郎先生の本を読まれることを勧めます。
さて、漫画ですが、この漫画の描き方は見事で、腰の据わり、一瞬の動き、ての内を見事に描いています。」参考になるかと思います。

最後に、右手に触れなかったのは、これを意識したとたんに右手主導の動きになり身体のバランスが崩れるからです。

西村も速く面を取ろうと右手拳に力が入ると、相手の右耳辺りを打ってしまいます。
しかし、ただ斬りに行くと真っすぐ入ります。
未だに、あなたと同じ悩みの世界を抜けきってはいません。
速く打ちたい心が動きを惑わします。

長々描きましたが・・・実践をして報告をお願いします。
レスをつける


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Re:説明補充
sonoda [Mail]
2008年1月24日(木)
西村先生

右手運用について大変わかりやすく御説明いただき、ありがとうございました。
今回の先生の説明を拝読し、竹刀剣道において、真剣刀法に従った斬り方で見事な面を打つ事がいかに難しかを改めて感じました。
特に以下の内容は私にとって大変興味深く、早速試して報告したいと思います。

1)「竹刀当てゲームを主眼とすれば竹刀も柄も長いほうが有利だが、斬り手を大切にするには竹刀も柄も短い方が良い」
2)「三九の竹刀の場合、面に当たる瞬間の少し前から、柄の長さが邪魔になる。当たる前に減速の力になってしまう。」
3)「本来面は自分から打って行くものではなく、相手が頭を差し出したところを打つものである。
一足一刀からではなく、斬り間に入って初めて竹刀が動くのである」
4)「古城先生の見事で奇麗で凄く自然な面打ちでは、左足を引きつける際、急速に左ヒジを脇に絞り込み、左拳は自然に鳩尾方向へ引きつけられ、右手は体を開かずとも十分に下に落とすことが出来ており、柄の中ほどが支点となり、剣先は急激に下方へ向かう。」
5)「右手の拳の握りの意識を捨て、中指と親指で作った輪で竹刀を前に押す。」

私にとって西村先生の面打ち(一度も拝見したことがないのが残念です)を修得することは大変重要なのです。何故なら、私の今までの竹刀操作と身体の運用(遠間から左足を思いっきり蹴って、右腕で押さえ込む刺し面)では、昇段はおろか剣道を続けることすらできないことがわかったからです。昨年の夏、福岡での六段審査は不合格で判定も「C」だったのに、たまたま先生の掲示板に出会い半信半疑でその内容を試しながら稽古したら、その秋の名古屋の審査では不合格でしたが、判定は「A」となりました。たった2ヶ月の間先生の掲示板を読みながら稽古しただけで、自分の剣道が変化したことに驚きました。しかし、そのたった2分間の審査の後、再び右肘が激しく痛むようになったのです。友人に撮ってもらったビデオをみると、明らかに右腕に力が入っているのがわかりました。その後も稽古を始めしばらくすると右肘(上腕三頭筋付着部と上腕骨の内果部)が痛みはじめ、やがてしびれてきて稽古が続けられなくなるのです。
そこで改めて、自分の竹刀操作と身体の運用方法をすべて見直す必要性を確信しました。特に竹刀操作における右手の運用は大変重要であり、まずこれを変えないとおそらく剣道を続けられないか、続けても右肘を痛めないように恐る恐る竹刀を操作することになるでしょう。

次の課題は、斬る面を何とか修得したとして、それをいかにして相手よりも先に決めるかです。
たとえ刺し面でも竹刀の先が面に当たれば一本と認められることが多いのです。たとえ一本とならなくても刺し面が自分に当たるということは、「切り裂かれてはいないが、大きな傷を受けた」ことに違いありません。よって相手に刺し面の余裕すら与えず、相手の面に斬り込めるようにならなければ気がすまないのです。

右手の運用とは関係ないことまで書いてしまい申し訳ありません。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
レスをつける



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