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- 『智』の活用こそが肝要 - 西村雅興 [2009年8月15日(土)]
覚り(さとり) - 西村雅興 [2009年8月23日(日)]
奥川金十郎 剣道・居合道八段範師 先生追悼集より - 西村雅興 [2009年8月23日(日)]



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『智』の活用こそが肝要
西村雅興
2009年8月15日(土)
最近、剣道の研究も一通り終わった様な気がする。
行き着くところは『智』に行き着く。
しかし、本当はこれの人生の活用にあるのだ。

さて、剣道を振り返ってみると不思議な事が多かった。

・高校時代世田谷区の国士舘高校との大将戦で胴を打って勝っていた。
旗が上がって勝ったが、当人は相手に何を打って勝ったか全くわからなかった。

・賀来先生との名古屋での稽古で不思議な体験をした。
前に出ようと思った瞬間に内小手を打たれていた。
手元は全く動かさないのに、見事に小手を打たれるのだ。
手元は腰に付けていて全く動いていないのにだ。
これには頭を抱えてしまった。

・原田先生にはズーッとであったが、ここ!と思って打ったら胴に抜かれていた。

・北海道の古川先生が微動だにする事なく、賀来先生に大きな面を三本打たれていた。
ただ案山子の様に打たれていたのだ。
賀来先生が「西村は二本くらい面をとっても納得しないから、三本打ってみた。」と云われた。

・あるとき七段の先生に面を打っていた。
通り抜けた後、面を打ったらしいと気がついた。
相手は全く動かなかった。
この光景を頭上右上2メートルぐらい上からビデオを撮っている様に鮮明な映像が出てくるのだ。
その光景は意識をすれば何度でも見れるのだ。

・原田先生と稽古をして、時に見事に面が入る事がある。
この時は後で判るのだが、先生の心がそこになかった時、特に体調が優れなかったとき、逆に西村の意識が非常に高まっていた時だ。
先生の心、体調はは帰りの車中で先生から聞いて判ったのだ。
西村の感性がそれをしっかり受け止めている事になる。

・高校時代までは本当に試合は強かった。
今、思い出そうと思うが試合に臨んで何も考えずにただ打っていた様な気がする。
何も思い出せないのだ。
稽古量、身体能力、感性だけで竹刀を振っていた様な気がする。

・剣道の奥の深さを初めて感じたとき。
28歳のとき、歯科大学の四年生(六年遅れで大学に入学)で主将をしていた時だった。
昇段試験の前日の講習会で原田先生を見た。
剣道具の用意をしていなかったが、後輩の剣道着、防具、竹刀を借りて即席で格好を付け先生に稽古をお願いした。
名声はかねがね聞いていたが初めて稽古をお願いする。
最初の内は先生の大きさは普通、少し経つと仁王様の様に3メートルくらいの大きさに感じ始めた。
しばらくすると目の前が真っ暗になりふらっとした。
そのとき、先生がそれまでと声をかけてくれて、視界が開けた。
その日の夕方6時に寝て、翌日12時まで目が開かなかった。
18時間寝続けたのだ。
目が開いても一時間は体が動かず、やっと気を取り直して五段の昇段審査へ向かった。(本来の受付は午前9時だったが、何とか受け付けてもらった)
こんな先生と稽古をすれば強くなる訳だとつくづく思った。

あんな事、こんな事いろいろ体験して行くと、自分の体験の奥にある心理、真理、理合、極意を知りたくなった。
歯科医としては噛み合わせからの人間の探求をし、重心と姿勢、噛み合わせ症状と身体の相関関係、ストレスと心の重要性などを深く探求し、学会、論文などを数多く発表していた。
この分析能力を剣道に向けたのだ。
何と面白い事か!今まで不可解な事が極意書には書いてあるし、体の生理的機能的関係は剣道の動きの基本であったりする。
それに二足歩行の原則がそのまま剣道に当てはまる。
さらに、西村の深層心理学と行動療法の研究はそのまま当てはまる。
ここからは一般的でないが、意識波動で相手の身体に入って行ける世界、見えないが感じる世界、超能力的世界、奇跡の世界等を数多く体験している西村には剣道で起きている次元はそれほど高い次元の現象ではない事に気がついた。
剣道では『不動智』の『智』に相当する世界が究極のところである。

しかし、他のある種の世界では『智』は常識で、そのものを治療に使ったり、人生を生きる指針・展開にしているのが現状なのだ。

剣道に話を戻すと・・・
・賀来先生は西村が前に出ると無意識が決めた瞬間、それを察知している。
重心が体内で少しでも前に動いた瞬間、そこを捉えるのだ。
・賀来先生は相手の反撃に対して全く思慮に入れていない。
 葛藤なく打ちたい様に打つから、相手も先生に付いて行けない。

・原田先生は西村が前に出ると無意識が決めた瞬間、それを察知している。
そして、後戻りが出来なくなる動きに入った瞬間、先生の感性が勝手に相手に対応しているのだ。
原田先生の場合は右足から静かに大きくゆったりと右胸を見せポッカリ空間が空いた所に吸い込む様に相手を引き出し、誘導する。

日本の最上位にある八十歳を超える名範師九段、八段と稽古をするとはっきり判る事がある。
『思った時点で、思いを捕まえられている。
そこで、西村の得意技・・・思わない!である。』
これは『覚り(さとり)(さとりという獣の話がある)』に尽きるにだ。
思ってない事は読みようがない世界に入って行く。
後は『智に任せる』なのだ。
これならば最高位の先生に互角以上に対応が出来る。
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覚り(さとり)
西村雅興
2009年8月23日(日)
 剣術に置いて「無我」で戦えば相手に次手をサトラれない、という逸話として使われている。これは『竜馬が行く』(司馬遼太郎)や『北斗の人』(池波正太郎)に見られる。


 あるとき樵が森の中で木を切っていると、不意に異獣が現れ、ぞっとして、(怖いな)と思った。すると異獣はゲラゲラと笑い「今お前は怖いなと思ったな」と言う。樵は真っ青になって、(ぐずぐずしていると捕って喰われる)と震えていると、「今お前は、ぐずぐずしていると捕って喰われると思ったな」と言う。
 いよいよこれは危ないと思い、(逃げられるところまで逃げてやろう)と思うと、「今度は、逃げられるところまで逃げてやろうと思ったな」と言う。樵は肩を落とし、(これはどうにもならない。諦めよう)と思うと、またしても「今お前は、これはどうにもならない。諦めようと思ったな」と言い放った。
 樵はもうどうすることも出來ず、只仕方なくその木を割っていると、異獣がどんどんと近づいてくる。隙あらば捕って喰おうという算段らしい。
 そのとき――
 樵が打ち下ろした斧は、木の大きな節に当たり、不意に砕け散った。木の破片は方々に飛び散り、ひとつが異獣の目を潰したのだ! 異獣は「思うことより思わぬことの方が怖い」と言い言い、山の奥深くへ逃げ去り、樵は命拾いをしたと言う。
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奥川金十郎 剣道・居合道八段範師 先生追悼集より
西村雅興
2009年8月23日(日)
奥川金十郎 剣道・居合道八段範師 先生追悼集より

「無念無想という事は、真理を追究する事だと思います。新陰流上泉伊勢守が柳生石船斉に稽古の極意を説いた。

うつるとも月は思わずうつすとも
水も思わぬ猿沢の池

私はこの意味を安易に考えていました。
それが70歳になってようやくわかりました。
「以来、わたしは剣道をやるのに意識を用いません。
体だけで剣道をやります。
体だけで剣道をやって知能的な指令を一切排除する、これが剣道の真実です。
勝ってどこを打ったかわからない。
負けてどこを打たれたのかわからない。
これが剣の大成の絶対条件だろうと思っています。
わかりにくいと思いますが、これがどうして真理の追究につながるのか。
邪念を打ち払い狭い主観にとらわれない境地を自分でつくっていくということは極めてむずかしいことです。
何物にもとらわれない眼でものを見る境地ですねえ」

『それ、剣法正伝真の極意は別に法なし、
敵の好む処に随ひて勝ちを得るにあり。
敵の好む所とは何ぞや。・・・・
我が体を総て敵に任せ、敵の好む処に随ひ・・・』
剣道をやるのに意識を用いない、という話を聞いてふと思い起こした山岡鉄舟の言葉であった。

これだけの名剣士ですら、70歳にして初めてわかったのだ!!

森田文十郎先生『腰と丹田で行う剣道』
剣道の専門家が二足歩行対角線運動の交叉点を丹田と悟った。
茶巾絞りも同様であった。
しかし、剣道の専門家が58歳にしてやっと気づいたとは、恐れ入るほど遅すぎると思う。

剣道が如何に『百連自得』の世界に終始し、そこに行われている多くの要素を如何に科学的検証をして来なかったかがわかる。

切り割り『七分三分』は念流の極意、柳生流の切り落としの極意も、西村では左足のひどい座骨神経痛で一歩すら前に足が出ない時の、京都の朝稽古で悟った。
そして、その効果が何故なのか、足が治るに従い切り落としの冴えが無くなってくる理由を検証した。

西村に教わった人が直ぐに昇段するのは、その人の欠点と足りない所の勘所をしっかり押さえているからだ。
それは剣道を科学的に検証して来たから直ぐにわかるのだ!
形あるのもの検証は意外に易しい。
しかし、形がない世界の追求は意外に難しい。
ここを教えるにはその人の人柄に尽きるからだ。
私の問題ではない、教わる人の心の感性によるからだ。
私の師匠もそこを大きく感じているものと思う。

どの本を読んでも、相手の心が映るまでである。
武蔵の『放心作用』に至っては満足なる解答がない。
西村の意識エネルギーが相手の身体に入って行く体験をすれば簡単な事なのだが。
かって、軽井沢の別荘で2日間のこの手のセミナーをした事がある。
程度の差こそあれ、全員が理解をし、実践できる様になった。

西村の過去の親記事一覧表を回顧して噛み締めて欲しい。
あなたが欲しいものを発見できるかもしれない。

目から鱗が落ちた!!!!
『月影』を読まれた多くの剣道家からの反応であった!
他にもお宝が埋もれている。
この掲示板がある間のチャンスです!
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