先日、菅先生から原田先生は武道館へは行くが稽古はしないとの連絡があった。 西村としては月に一回、親父に会いに行く様な、先生の笑顔に会いに行く楽しみだ。 武道館の控え室に行くとスーツ姿の先生がいた。 話によると、定期的なCT,MRI,胃カメラと検査をする為に前日は激しい運動を控える様にと言われたらしい。 それで、稽古はしない予定だった様だ。 でも、どうも様子がおかしい。 やはり稽古をしたくて、急遽防具を武道館宛に送った様だ。 先生は心待ちにしておられたが時間内には到着しなかった。 今日の稽古の無しは、不本意であった様だ。 稽古をしたくても防具が無くて稽古が出来ない心境! 先生のあらゆる動きが子供の様で見ていて楽しかった! 先生曰く「見ているだけではウズウズするなあ!」
原田先生が珍しく「見取り稽古」に相成った。 帰りに、今日は良い勉強になったと言っておられた。
さて、新しい発見! 田原範士のヒョイット体を左右に捌く動きが絶妙なのだ。 それが、面を打つ前にも同じ様な動作をされる。 それを西村が原田先生に言うと、「彼は左足で間合いを盗むのが上手い」 と言われた。 なるほど!それほど広くない前後の足幅に、ある瞬間モゾッと左足が前にでて右足に引きつける。 腰を前にやや進め前傾になる時にこの動作がある。 なるほど次ぎに強い体の蹴り出しが出来る訳だ。 体をやや前傾にし、腰を少し前に張り出し攻める。 この時左足の引きつけが次の蹴り出しの準備になっている。 この攻めは西村的には失念をしていた攻めだ。 原田先生が西村にぼそっと言った。 左足が動くとき『死ぬとき!』だ! 原田流の攻め口を研究して来たが、これはやや大柄な人に向いた攻め口だ。 小柄な人の大きな面を打つ責め口、身体動作に失念していた事に気が付いた。 そう言えば忍足範士も小柄ながら大きく前に出て打つ。 どうやらこの足捌きに秘訣がある様だ。
そのとき、ふーっと頭に関根さんのシャープな攻め口を思い出した。 それで関根さんの八段との稽古を見に行った。 何と!モゾッと左足を右足に寄せる瞬間、八段が動いていた。 関根さんが先を取った形が随所に出ていた。 八段も動かされてアタフタしていた。 福岡高校での立ち会いで田邊先生に見せた、シャープな攻めを思い出した。 なるほど関根先生の攻め口は田原範士と同じだった。 その後、関根さんが他の八段と稽古をされていた。 その一部始終を見ていた。 同じ攻め口を展開していた。 間合いが深かったので、せっかく先を取りながら相手の反応の良さに打たれてしまっていた。 しかし、左足の寄せで終始先を取っていたのは見事だった。 もう少し間合いに余裕があれば、相手の打を余し色んな対応が出来たと思う。そこが残念だった。
やや小柄な先生の大きな面を打つ攻め口を発見したのは今日の収穫だった。
原田先生が言った。 岩崎の長男が全日本の予選で優勝した。 西村、それは岩崎先生嬉しいでしょうね。 その様子は記帳から拝借。 『えー、9月3日(土)は岩手県の 全日本選手権大会の予選会です。 ガンチャンも今を去ることウン十年前に 勝って日本武道館で試合をさせていただきました。 さぁ、今年は誰が勝つんだろう? ガンチャンは審判なので原田先生を迎えて会場まで向かいます。
「親父、先に出るから。」 おっと、我が家の長男も今年の春大学を ようよう卒業し予選会に出るのでした。
会場までの車では、原田先生と剣道談義。 今回のテーマは「乗る」とのことでした。 話しの中身は個人的に聞きたい人だけに教えます。
試合が始まり我が家の長男坊。 2回戦から登場。 見事な「切り落とし」で勝利。
「フーン」あんな技も出来るようになったんだ。 親ばか振りを発揮。 そうこうしている内に、あれよあれよと勝ち上がり 決勝戦に進んじゃった。 決勝戦は、目の覚めるような「出頭の面」と やや強引な「小手ー面」を決め二本勝ち。
優勝してしまっちゃった。 こりゃー大変だ。 親子二代の選手権出場も珍しいし、おそらく最年少。
11月3日は日本武道館で一日過ごさせていただきます。』
さてこの結果の裏に何があったか。
原田先生が言った。 「あいつはよける事、打たれない様にと意識があり、そのように竹刀が動く。 そのせいで国士舘では補欠にまでなるが選手になれなかた。 矢野君(監督)にも随分引っ張り上げてもらった様だが。 竹刀でよけようとせず、打たれても良いから先に打てと言っておいた。 そうしたら何と見事な面を打って勝ってしまった。」 と嬉しそうだった。 一つの大きな成果の中に、原田先生の影響があったのだ。
さて、息子さんの剣風は立派で、岩崎先生と彼が稽古をしているのをビデオで見た。 一度稽古をしたいものと思っていた。 足の出が原田流の流れを汲む良い打ちをしていた。 福岡高校の 初稽古で稽古をしたが剣先鋭い清々しい気分の稽古だった。
全日本選手権代表 御目出度うございます。 岩崎先生 二代に渡る栄誉 御目出度うございます。
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