剣道での『位』について。
初めてこの言葉を聞いたのはかなり前の事だと思う。 六段になって間も無い頃、元警視庁剣道教室副主席、範士八段 古城範士のお話を聞いた時だと思う。 九段の候補にもあがった先生で、剣道は端正で性格も人柄も素晴らしい先生でした。 あるとき江戸川の剣道の稽古の後で、皆の稽古を見て見かねて発現されたものと思う。
先ず、審査において、この人は「位があるな!」と思って見ている。 その後に打突やその他の要素を判断すると話しだったと思う。 当時の西村にはピーンと来なかった! 西村の剣道についての認識が浅かったからだと思う。
そこで「位とは何ぞや!」と言われても簡単には言い表せない。 六段、七段、八段の先生方にはこの言葉を頭に置いて剣道をされたいと思う。 西村なりにはそれを理解している積もりだが・・・説明は難しい1
『肚』とは何ぞや? 初めてこの言葉を聞いたのは学生の時だった。 岩手医科大学の医学生・歯科学生の大会の時、たまたま超有名な八段の先生方が料亭で会食されることになった。 その時、小柄な上段で有名な大浦先生に西村が質問をした。 「剣道の強さは何で決まるのですか?」 先生は下腹をポンと叩いて『肚で決まる』と言われた。 学生の西村にはその意味は全く判らなかった。 それから数十年経った。 今の西村には正にそうだなあ!と思うのだ。 剣道に対す認識が変わったからだろう。
その人の剣道は剣道に対する知識、体験、認識そのほか諸々の要素によって決まって来る。 立ち姿、構え、稽古姿勢に匂うが如く現れる。 八段審査等においてはこの辺りが合格してからの、剣道の強さを判定されるのであろう・・・と期待しています。 現実にはアレ?と思われる結果を見る事もありますが、それは審査員が勝負のみで剣道の範士になった人が多いせいかもしれません。
七段位もなれば八段への昇段にムキニナルのも良いですが、自分なりの剣道の完成形を探し、目指す事が重要な事ではないかと思います。 この段になるとほとんど元立ちに立つと思います。 指導者として懸かる相手の剣道的成長を願っての指導稽古が大切科と思います。 その意味で、懸かる人が次に目指す段位への近道になる、必要な要素を指導し、悪癖を修正する指導が大切かと思います。
松風館の稽古では岩立先生は稽古をした全員に丁寧に言葉で指導をされています。 うがった見方ですが・・・ ・・・・さすがに金を取っているだけの事はあるな! ・・・・これが指導者としてのプロだな! ・・・・大勢が指導を願ってわんさと押し掛けるだけのことはあるな!
剣道ではプロがほとんど存在しないと言って良いだろう。 警察官と言っても署員を鍛える為の体操にしか過ぎない。 体育教官程度の給料しか貰っていない。 他のスポーツに比べれば何と寂しい事か。
今はセミナーを主催していないが、当時の参加料は一日5万だったと思う。 西村にしてみれば20万円が適正だと思っていた。 人はお金を支払う事によって真剣になる傾向がある。 そして、その成果を実感するにつれ、支払う対価は高額でも了とする。
剣道はその意味でほとんどボランティアの世界と言って良いだろう。 岩立先生は月謝によって生計と館の経営を成り立たせている。 これがプロだろう! しかも、人物が、強さがピカイチだ!
剣道のプロの指導者の多くの出現を期待したい!
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