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- 上達の秘訣 - 西村雅興 [2012年1月7日(土)]
上達の秘訣2 - 西村雅興 [2012年1月8日(日)]
上達の秘訣3 - 西村雅興 [2012年1月9日(月)]
上達の秘訣4 - 西村雅興 [2012年1月10日(火)]
上達の秘訣5 - 西村雅興 [2012年1月11日(水)]
上達の秘訣6 - 西村雅興 [2012年1月13日(金)]
上達の秘訣7 - 西村雅興 [2012年1月14日(土)]
上達の秘訣8 - 西村雅興 [2012年1月14日(土)]
上達の秘訣9 - 西村雅興 [2012年1月15日(日)]
上達の秘訣10 - 西村雅興 [2012年1月15日(日)]
上達の秘訣11 - 西村雅興 [2012年1月22日(日)]
上達の秘訣12 - 西村雅興 [2012年1月30日(月)]
上達の秘訣9  追加 - 西村雅興 [2012年1月16日(月)]
Re:上達の秘訣9  追加 - 青木大輔 [2012年1月18日(水)]
Re[2]:上達の秘訣9  追加 - 西村雅興 [2012年1月20日(金)]



上達の秘訣5
西村雅興
2012年1月11日(水)
秘伝その5
秘伝4までは二足歩行の原理にもとずく足と手と竹刀の関係、重心と丹田の関係にしか過ぎない。
大きな強い理にかなった面、胴体力を使った面が打てる。
ここまでの動きもなかなか出来ない。西村に直接教わった人は何とか出来る様になる。
そこで、面打ち修正法の項目を参考にして、左足体重、足が出てから手が動く所を稽古されたい。
さて、ここまでの武道的身体動作は結局、二足歩行の人間の獲得形質と生理的動きの話でした。
歩く様に、走る様に剣道をすれば一番効率の良い動きが出来るのです。
しかし、相手があることだから、何とか早く竹刀を面に当てようとする。
そこから理に合わない、不合理な剣道をしてしまうのです。
小学生の時に剣道を始めた人は筋力がない時が始めですから、自然に合理的な体と竹刀操作が身に付きます。
大人になって始めた剣道家はどうしても筋肉に頼った剣道になります。
いわゆる硬い剣道になります。
警察官になってから剣道を始め、県警の師範までになられた先生の指導を受けたことがあります。
その先生の指導で医科、歯科ともに団体戦、個人戦をうちの大学は優勝しました。
これほどの先生でも硬い、ゴツゴツとした剣道をされていました。
柔らかい無駄の無い動きの剣道を身につけるには難しいものがあります。
西村がここで何度も、長ったらしく書くのは自然な原理とコツを知れば、案外早くこの壁を越えることが出来るからです。

右足は前に出ると左肩が前に出、左手が前に出ます。
ほとんどの人は右足の動きと左手の動きが同時です。
これでは武術にならない。
右足は前に緩やかに前進しているが、左肩、左手を動かさない。
身体は姿勢維持の反射の動きを止められている形になる。
板バネがねじれている様に、ねじれのエネルギーが蓄えられる。
相手の心が動いた瞬間、判り易く言えば頭が少し前に出る、小胸を出す、左足に重心を移そうとする、左拳が動こうとする、竹刀の先を少し落とし拍子を突けようとする・・・等。
この瞬間、相手の色が見えた瞬間、左足をズルッと強く押し出す。
この瞬間、左拳は相手の鼻先を小指で突き上げる様に瞬時に押し出す。
この瞬間、丹田を中心に下方への足の伸び、上方への肩と手の伸びが起きる。
この瞬間、丹田と重心のズレがないとすっきりと伸びる。
これを【井桁崩し・いげたくずし】の原理という。
井桁とは昔の井戸の上に井桁に組んだ木枠があった。
四本の棒を四隅でゴムで縛り、尚かつ対角線上にゴムひもを二本つなげる。
少し力を加えると四角・長方形が菱形になる。
この長く伸びた菱形の下方が左足の支点になり、上方が右拳になる。
長くなった方の対角線の伸びる方向のベクトルが竹刀に伝わる。
武術的身体動作においては蹴り足はない。
ズルッと身体を伸ばす力が大切である。
実際の竹刀競技では遠間からの打を推奨されるが、刀ではそんなことは出来ない。
スポーツ的竹刀当て競技と武術的剣道は違うと云うことを理解し、それぞれのレベルで選択する必要がある。

千葉先生が「打つ瞬間は力の解放だ」と言ったと聞く。
身体がやや前傾で倒れそうになっている姿勢を、立て直したがっている内部に蓄えられたエネルギーを一瞬に解放する。
このとき内部応力の反射的解放であって、決して筋肉を使って何かをする動きではない。この筋肉は頭が参加しない、姿勢維持の筋反射である。
だからこそ【石火の機】の動きになる。

この瞬間は自分が決めるのではない。
相手が自分を打たれる様に引き金を引くのだ。
この前に左手が動くと、相手に簡単に捌かれてしまう。
剣道はこの【一瞬の我慢比べ!】に尽きるのだ!
相手が引き金を引くから、自分の頭の判断は参加していない。
無意識の感性、内なる神、仏、防御機構が瞬時に働くのだ。

剣道は足を出し死にに行く。
打つなら打って下さい!
打つ前に死ぬ!
後は身体が勝手にやる。
原田語録
【手は勝手に動くわなあ!足はしはそうは行かない!】

さて、最後がある。
左足の引きつけは左手の後方への振りの力になり、右手押し出しの力の源になる。
竹刀を持っている左手拳は後方へ行けないので下方内側へ向く。
この左手の動きは左脇を瞬時に締めることにより、左拳が鳩尾方向へと引き込まれる。
この瞬間が【茶巾絞り】薄い布を辛軽く前後に絞り引くことにより水気を切る方法に似ている。
竹刀の先の力を下に強く向けるには、頭を突き上げる。
この頭動きと当量の質量が肩を支点に、竹刀の先を下に向ける力に変換される。
意識としては額から喉元に斬り込む・・・これが極意。



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