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- 上達の秘訣 - 西村雅興 [2012年1月7日(土)]
上達の秘訣2 - 西村雅興 [2012年1月8日(日)]
上達の秘訣3 - 西村雅興 [2012年1月9日(月)]
上達の秘訣4 - 西村雅興 [2012年1月10日(火)]
上達の秘訣5 - 西村雅興 [2012年1月11日(水)]
上達の秘訣6 - 西村雅興 [2012年1月13日(金)]
上達の秘訣7 - 西村雅興 [2012年1月14日(土)]
上達の秘訣8 - 西村雅興 [2012年1月14日(土)]
上達の秘訣9 - 西村雅興 [2012年1月15日(日)]
上達の秘訣10 - 西村雅興 [2012年1月15日(日)]
上達の秘訣11 - 西村雅興 [2012年1月22日(日)]
上達の秘訣12 - 西村雅興 [2012年1月30日(月)]
上達の秘訣9  追加 - 西村雅興 [2012年1月16日(月)]
Re:上達の秘訣9  追加 - 青木大輔 [2012年1月18日(水)]
Re[2]:上達の秘訣9  追加 - 西村雅興 [2012年1月20日(金)]



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上達の秘訣
西村雅興
2012年1月7日(土)
さんざん書いて来たので今更何を書くかと悩む所です。
しかし、楽しみのしている人も多くいると聞くのでポツポツ書いて行きます。

構えについて
竹刀を持たず相手に対峙した時を想定して下さい。
身体を前後左右に動かすには重心の移動が必須です。
身体の重みは足にかかっています。
重心の位置と、動きの地面への支点を考えて下さい。
重心が両足の中央にあればどの方向にも同じ様に動けます。

前段
相手が打ってくるのを待って対応する場合。
前足にやや重心をかけ体を後方へ移動しながら相手の間合いを切り対応する。
前足に既に重心があればこれを支点に後ろ足を後方に引くのが容易なからです。
本来の武術は身を守る為の物ですから、これが極意です。
身を守る為にはこれが一番です。
感性が高く試合に強い人が相手の出に、一瞬身を引き間合いを余して小手を取る。
少し大きく引いて、引いた後ろ足を支点に大きく前に出て面を取る。
このタイプの人が稽古不足で試合に出るとアキレス腱を斬ります。
全体重が後ろ足にかかっているのに急に体を前に出す負担を強いればアキレス腱が切れるのも明白だ。稽古不足であったり試合の時にそれが起きる。
これは良い例ではありませんが、体の移動には重心と床に接する足の接点、支点が必要だと言うことです。

下手な対応の場合
最初に構えた時は姿が良いのですが、気が入り過ぎたり攻めを強くしたりすると、ほとんどの人が前足に体重をかけています。
重心は中央よりかなり前方にあります。
打とうとすると床の足の接点に支点を求める必要があります。
前に進むのには当然のことですが、後ろ足に接点と支点を求めます。
この人が面を打とうとすると、先ず前足の重み抜き、後ろ足に移す必要があります。
前足の前から後ろ足へ支点を求める、これを重心のキャッチボールと言います。
真ん中よりかなり前にある重心を中央よりやや後ろに重心を移す作業です。
この前足の重みを抜く瞬間は相手に察知されます。
相手に『打ちますよ!』と予告をしたことになります。
この時点で正体がばれたということです。
頭が打つことを決める前に、すなわち有意識が決定する前に無意識が決定します。
これが無意識がする打つ前の「予備動作』です。

更に、膝が伸びている人は「蹴りシロ』床を蹴ってバネ作用に必要な余裕を取る為に、やや体重を沈めます。
そして身体が前方に浮き上がる様に蹴って前進します。

打つ前に二つの予備動作をすれば「打ちますの合図がバレバレ』ですが自分では全く気がつきません。
自分の無意識のする予備動作を通じて相手に心の正体をさらけ出していることになります。
長年剣道をしている人は経験的に感覚的に察知能力が優れ相手を簡単に捌くことが出来るのです。

ほとんどの剣道家は武術的身体動作を知らないままで剣道をしている。
次に説明する内容を理論的な理解がなく身体が武術的身体動作をする様になる為には、剣道をすることが歩くのと同じレベルになるまで稽古が必要です。
人間の二足歩行は誰に教わった訳でもないのに、見事な最小の筋力で歩ける動作をしている。
この歩きそのものが武術的身体動作なのだ。
重心の移動と最小の筋力による二足歩行の前進、秘訣はここにある。

インターハイに常時出てくる様な古豪の高校は血反吐が出る程稽古をし、武術的身体動作を手に入れる程に稽古をした結果です。
ここまでやると予備動作は非常に少ない面打になります。
優れた指導者がいると稽古量が少なくても手に入れることが出来ます。
普通の人はここまで稽古をしていないのです。

原田先生が小学生の指導稽古をしているとき、引き立て稽古でこの武術的身体動作を自然に教え込んでいます。
このビデオを見たとき、小学生の何も知らない時から、高段者でもなかなか身に付いていないことを知らない間に身につけてしまったらそれは強くなる訳だ。

今日はここまで。
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上達の秘訣2
西村雅興
2012年1月8日(日)
それでは足の構え、姿勢について述べてみよう。
直ぐに前進出来る、支点が既に後ろ足にあれば前足の重みを改めて抜く必要がない状態とは有るのかと思うだろう。
現実には支点の前に重心があり、前足に少しは重みを負担させる必要がある。
体験的に実感する方法がある。
小幅でゆっくりと前に歩き、左足に体重がしっかり乗り、重心が左足の前を通り過ぎる瞬間右足が体重を乗せる準備にそーっと床に着く。
この時の足の構えであれば左足に体重を乗せたまま、右足は床に触れる程度で自由に動かす事が出来る。
要するに重心の後方移動を最小限にして支点を求め前進する方法を考えれば良い。
その為には足の前後の幅は必要最小限にしたい。
実際には左足のつま先が右足の足の土踏まずの辺りに有るのが理想的だ。
どちらかと云うと鶴が一本足で立っている様な姿勢だ。
この典型的な構えは九段範士の楢崎先生の足構えだ。
ここで、この通りにすると何と不安定な姿勢かと思われるだろう。
実際やってみると不安定だ。
チョット横から押されるとグラッと来る。
これは歩行の前進の動きの慣性が働いている時は安定しているので、スムーズに歩けるのだ。
歩くとき、右足に体重を乗せようとするとき、左足は軽く身体を前方に押し出す。
この直前に左の踵が少し上がり、重心を少し押し上げている。
この重心が前方に少し落ちかけた瞬間の軽く蹴るのだ。
そうすると重心が少し落ちながら前進をし、右足の踵に体重が乗り始める。
人間は前にコケながら姿勢を維持する反射作用で二足歩行前進をしている。
筋肉は姿勢維持の反射的動きなので最小で最効率の筋の疲労で、尚かつ無意識に動く事が出来る。
このため本を読みながら、携帯電話を懸けながら、隣の人と話しながら、更には荷物を背負いながらも歩く事が出来る。
足が左右前進すると重心も左右にブレルと思う。
しかし、丹田(身体動作の動きの空間的支点)を中心に体幹の捻れ作用と肩や腕の動きのバランスで、重心の前進にブレない様に反射的に制御している。
さて、多くの初心者から中級者の場合は左腰の高さを確保し左足のふくらはぎの筋の力を最小にする為に、無意識に踵を高く上げている。
重心のキャッチボールに有効な対策を無意識にしているのだ。
ともかく身体は賢い・・・無意識の動きに沿う様に自然と準備をしている。
だから、重心のキャッチボールをしながら前に蹴り出そうと思っている人には、理にかなった姿勢、構えなのだ。
個人そのものの動きだけですむ運動競技ならばそれでも、何とか可とするが、深い意識レベルでの気の押し合い、意識波長の押し合い、相手の予備動作の読み合い、相手の心の読み合いの剣道競技では全く真逆の足の構えであり、相手に打ちます合図の予備動作を教えるバレバレ動作の準備をしている事になる。
剣道の六段は練習量の多さと感性の高さ、瞬発力、運動神経等で問題は何とかか既決できる。
相手に打ち勝てば合格するからだ。
七段合格はそうは行かない。
相手の心を動かす算段や相手を引き出す心の余裕と、武術的身体動作の一部を身につけないと受からない。
六段と七段の明確に違う差は「剣道の理解力の差」にある。


【ここからが本題に入って行く!】
名剣士と言われた榊原先生は左足に七割体重が乗っていると言い切っている。
しかも、左足踵は1センチくらいしか上がっていない。
右足の踵は紙一重すいているくらいだ。

今日はここまで。
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上達の秘訣3
西村雅興
2012年1月9日(月)
名剣士と言われた榊原先生は左足に七割体重が乗っていると言い切っている。
しかも、左足踵は1センチくらいしか上がっていない。
右足の踵は紙一重すいているくらいだ。

身体が前に進むには重心が前に移動する必要がある。
誰しも思うのは後ろ足で身体を前に押しやる事だと思う。
左足の母指球辺りを支点にし、筋肉が前に押しやるその駆動力となる。
それは間違っていない。
しかし、事実としてはその初動はそうではないのだ。
座った椅子から立ち上がるのを指一本で制御する方法がある。
立とうとする時、相手の額に指を当て、前かがみになるのを止めるだけだ。
それで相手は椅子から立ち上がれない。
椅子に座っていた時から立つには、前屈みになって重心を椅子の前に動かしその時点で重心を上に持ち上げる様にすれば簡単に立ち上がれる。

二足歩行の原理は『人間は前に倒れながら姿勢維持の反射を使って後ろ足を軽く押して前足に体重を乗せる。これの繰り返しで前進歩行をしている。」

重心を両足の真ん中にして歩き始めるには、右足の重みを抜き左足を支点に強く押し出す必要がある。
もし、前足の重みが強ければ、重心を大きく後ろに移動し、左足に重みをかけ、ここを支点に左足の筋肉を駆動力で前進する。
初動が前足、後ろ足と重心のキャッチボールをしてから前進している。
さらに慣性の法則に逆らうから強い筋力が必要だ。

ほとんどの剣道家はこの様に打って出ている。
これは全くの間違いである。
前進の基本は歩く様に身体を前に進める事に有るのだ。

『二足歩行の原理は『人間は前に倒れながら姿勢維持の反射を使って後ろ足を軽く押して前足に体重を乗せる。これの繰り返しで前進歩行をしている。」』

両足をそろえてる所から、歩く最初は膝を少し緩め、身体をやや前傾にして重心を前に滑り落とす事から始まる。
これを『重心の滑落』と云う。
動き始めは膝の弛みと前倒れという筋肉の働きを一切必要としない。筋の脱力(きん肉力のマイナス)から始まっている。
この時の重心の滑落は【重力】を利用しているので筋力は必要がない。
そしてそのとき慣性のとどまる法則は破れ、既に前進の慣性の法則に移行している。

では具体的に剣道的にはどのよう身体を使うかと説明する。

先ず足幅前後幅を狭くし、前足の土踏まずの辺りに後ろ足のつま先が来る様に立つ。
打ちたい心を丹田に納める準備をする。
打気の頭のやや前出を身体の真ん中に持って来る。
次に打気の右肩を引く。
そこで膝を少し緩める。
これで歩行の準備ができた。

しかし、剣道ではもう少し距離を速く前進する必要がある。
伸びた身体を沈めて床を十分掴む必要(蹴りシロ)があある。
左腰に全体重を乗せ、ひかがみが伸びている程度に膝を緩める。
この時後ろ足の踵の高さは床から1センチくらい。
弦を引き弓がしなった状態にする。
この状態で前足のつま先に軽く体重を乗せ、前足の踵とは床から紙一重。
(前進の距離、速さを競うときは足幅の前後幅は適宜調整する)
これは飽くまで竹刀を持っていない事を想定している。
腹の力を軽く抜くと下腹が緩み重心が軽く前に滑り落ちる。
この重心が前足のつま先を超えようとする時、それにつれて右足が床を滑る様に離れる。
重心のベクトルはやや前下方を向いてその方向に進んでいる。
(この時は筋力はマイナスの作用であるので相手には全く察知されない。)
このままでは倒れてしまうので左足の後筋を使いゆっくりと押し出す。
この力はやや上向き前進のベクトルとなる。
このベクトルの合力は体を落とさず重心をあまり下げず、腰を床に平行に前進させる。
この部分がゆっくりで長いと相手が飛び込んで来る。
武術とは【重力の有効活用こそが秘伝】なのだ。

このゆっくりさと長さの達人が原田先生なのだ。
この感じは相手からどのように感じるか。
イソちゃんが言った「原田先生の右胸に空間があり、そこに吸い込まれてしまう。私もあの空間が欲しい!」
原田先生の手元の位置は低い、打気が右肩に無いから右肩が前に出ていない。」
相手からすると、原田先生は前に来ている様な気がするが、良く分からない。【フェードイン】の状態なのだ。
これはマズイと無意識が思い打つ予備動作を起こす。
その瞬間先生の押し足は蹴り足に変わり、この瞬間左手が竹刀を押し出し振りかぶりとなり面を打つ。
先生はこの瞬間まで決して左拳を動かす事は無い。

随分昔、佐藤博信先生の全盛期の時に京都で稽古を頂いた。
先生がスーッとフェードインして面を打った。
細い円柱が急にラッパの様に膨らんで姿が見える状態だ。

この様な動きが出来ると相手に起こりを察知されないのだ。

さて、相手がこちらの起こりを全く察知しないと引き出す事が難しい。
そこで、右膝をスッと緩め、行くぞ!と相手に攻めを送る。
相手は無意識レベルで反撃の用意、守りの用意を(予備動作で行う)する。
相手の反応少しの時はそれを戻し、再度仕掛ける。
この仕掛けは竹刀を下げ小手を攻める、スッと竹刀の先を進め打たんとする、こちらの首筋を少し緩め面を少し前に落とす様にして誘う。
相手にすれば「来る!」と思ったのに来ない。
これが攻めと緩めの妙で、この時の相手の無意識の予備動作を通して相手の心を手の平に乗せて行く。
相手の心を手の平でお手玉をしている様な状態だ。

剣道はこちらの身体の内側は始動している。
この状態の中に四コマ漫画の一コマ遅れで相手が反応するのだ。
相手は自分から面を打って下さいと打たれに来る。
これが【飛んで火に入る夏の虫】状態なのだ。
剣道は自分から打って行くのではなく、相手が打たれる様に仕向け、相手が打たれに来た所を、あなたの弱さはそこですよ!とつぶやきながら教育的打突をするのです。
八段の先生に突きを出しますよと十分に合図をしているのに、喉元開けて面に来た時、心を動かす勝負はその時点で終了となる。
先生はそこが理解されないので、西村はそれを理解されるまで、不本意ながら最後まで突きを出すしか方法が無かった。
ほとんどの教師八段はこのレベルだ。
西村が八段殺しと云われる所以だ。

この西村が体を出し突きに進めると、上から目線で静かに眺め反応しない範士がいる。
これは強い!肚が出来ている。
この時は西村からの攻めは通用しない!
京都大会範士八段の10組くらいの先生だ。
この先生には先生の誘いに、呼び込みに体を捨てきって乗ってあげる。
乗って上げるが、西村の左拳は先生の心が動き先生の左拳が動くまで動かさない!
その一瞬!先生の左拳が動いた瞬間、西村の内なる神、仏、防御機構・・が働き、何かをしている。
この瞬間何をしているかは全く分からない。
身体が勝手にやっているのだ。
これを神妙剣、無想剣とも云う。
この秘訣は只一つ【内なる自分を信じて、捨てきって身を捧げる事だ】
これを柳生流の秘伝【捧身】(身を捧げる)と云う。
この時内なるもう一つの自分に出会える。
いわゆる【インナートリップ)だ。
このレベルの剣道が出来たとき、天下に名だたる先生にも西村は通用するのだ。
(ただし竹刀レベルの剣道をすると全く刃が立たない事を付け加える)

ここまでが重心の移動、重力の活用、その一瞬・・・
への説明でした。

この次は全体の動きの説明に入って行きます。
(尚、同じ様な内容が過去ログに有りますから予備の勉強をしておいて下さい。)
胴体力、身幹の活用、肩甲骨、胸の活用。
二足歩行から手と足の関係。
左脇の締めからの茶巾絞り。
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上達の秘訣4
西村雅興
2012年1月10日(火)
さて、上体、臍から上の話に移ります。
その前に両大を腰も真横に骨盤の丁度上にしっかりと固定をして、今までの内容をコピーして何度も自分の身体で体験して、その感覚を掴んでおいて下さい。

ここからが本格的に二足歩行の原理に入って行きます。
重心の前進に連れて右足が前に行きます。
歩いてみて下さい。
その時は左手が前に出てきます。
丹田の身体の動作の支点を中心に左右のバランスを取る為には、左肩が前に出ながら左手が前に出てきます。
右足が前に進むと時の右体重の当量分だけ左側も体重が動きます。
要は肩や体幹の捻れ、手の前方移動で左右のバランスを取っているわけです。
竹刀の振り上げは、振り上げではなく左拳の柄先の押上の結果竹刀の先は弧を描く様に上に動き、結果的に振り上げた形になります。
ここで1本の竹刀を両手で持つことから剣道が難しくなります。
これが竹刀操作の迷路にハマってしまうゆえんです。
二足歩行では右足が前に行くと左手が前に行き、このとき当然右手は後方へ振るのが自然です。
後ろに振るべき右手が竹刀を持っている・・・手を後ろに振ることが出来ない。
左手が竹刀の柄先を前上方へ押し出すとき、この右手は緩めてである必要があります。後方に振りたいけれどそれが出来ないからです。
左の手が柄先を前上方へ押し出すベクトルが働きます、この時竹刀を右手がしっかり持っていると、左拳と右拳の中間点の支点を求め竹刀の先が上後方への移動をいたします。
この竹刀の先の回転中心は左右の手の中間となり支点からの長い距離の竹刀の先を動かすには大きな筋力が必要になります。
しかるに、もし右手が触れている程度(添え手)であれば、竹刀の先は左手と竹刀の中間に回転中心を求めるので竹刀の先を動かすのにはほとんど力が必要ない。
この原理をほとんどの人が判らないので右手を引き上げ手に使い、その筋力は三角筋、上腕二頭筋に求めている。
三角筋を使うと脇が緩み肘が外に出ます。
上腕二頭筋の緊張は相手の竹刀を小手に呼び込みます。
この筋肉を使うと相手に小手を打てと合図をしたことに等しいのです。
相手は筋の緊張を瞬時に捉え意識はそこに行きます。
大人になって始めた人に多いタイプです。
竹刀は軽いのでこのように扱えますが、真剣では全く出来ない動きです。
コツは南無阿弥陀仏と手のひらを合わせ拝む感じで、臍の辺りから前上方に動かします。
手のひらに一万円札を軽く挟み、途中で右手がすり上がって行く感じです。
西村が賀来先生に竹刀を振りかぶるのはどうすれば良いですか?と聞いた事がある。
賀来先生が言った。
「拝む様に手を動かせば竹刀は勝手に振りかぶっている!」でした。
【竹刀の振りかぶりには右の引き手はないことを知ることが一番大切です。】
竹刀、刀は腰の前進するする力を体幹、肩、胸、腕を通して押し上げるのです。
右足が前進すると姿勢維持の反射で左の方がバランスをとる動きをします。
この左手の前へ振る力が竹刀の押上の力になります。
次に押し上げた竹刀を打の動作にするには、左足が前に出ようとすると、当然のこととして右体幹、右肩、右手は前に出てきます。
これが竹刀を押すことにより竹刀が下がり、竹刀の先が前方へ動きます。
このとき左手は後方へ振られようとするので左手元は下がります。
ここで右手と左手の押しと引の作用が竹刀に伝わります。
これを【茶巾絞り】の手の内と言います。
この時の意識は額から喉元深く斬り込む感じです。
切る感覚でなく、斬る感覚です。
右手拳は相手の喉を突く様に押し込みます。
左手は脇を締め拳が鳩尾の方向へ入ってきます。
この右手の押し、左手の引の力は下半身の左足の急激な強い前進する力にかかっています。
左足の引き付けを強く注意を受けるのはこの原理を知れば納得です。
この引きつけがないと竹刀はただ前に進むだけで、下方への斬りの力は生じません。
この手の内になると、竹刀の先が真っ直ぐ前に伸びていたベクトルが、急激に下方へ転じます。横長の楕円形の外側になるとその方向が下向く感じです。
このとき、息を吐き胸をすぼめ、肘を寄せ、肩甲骨を最大に開き、肩を前下方へと脇を締めながら伸ばします。
身体の前進のエネルギーは竹刀の先に集中す竹刀の合理的な動きの中でスピードに転換されて行きます。
竹刀が当たった瞬間、身体と竹刀は一体となって強い力を伝達します。

今日はここまで。
次回が核心に触れる。
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上達の秘訣5
西村雅興
2012年1月11日(水)
秘伝その5
秘伝4までは二足歩行の原理にもとずく足と手と竹刀の関係、重心と丹田の関係にしか過ぎない。
大きな強い理にかなった面、胴体力を使った面が打てる。
ここまでの動きもなかなか出来ない。西村に直接教わった人は何とか出来る様になる。
そこで、面打ち修正法の項目を参考にして、左足体重、足が出てから手が動く所を稽古されたい。
さて、ここまでの武道的身体動作は結局、二足歩行の人間の獲得形質と生理的動きの話でした。
歩く様に、走る様に剣道をすれば一番効率の良い動きが出来るのです。
しかし、相手があることだから、何とか早く竹刀を面に当てようとする。
そこから理に合わない、不合理な剣道をしてしまうのです。
小学生の時に剣道を始めた人は筋力がない時が始めですから、自然に合理的な体と竹刀操作が身に付きます。
大人になって始めた剣道家はどうしても筋肉に頼った剣道になります。
いわゆる硬い剣道になります。
警察官になってから剣道を始め、県警の師範までになられた先生の指導を受けたことがあります。
その先生の指導で医科、歯科ともに団体戦、個人戦をうちの大学は優勝しました。
これほどの先生でも硬い、ゴツゴツとした剣道をされていました。
柔らかい無駄の無い動きの剣道を身につけるには難しいものがあります。
西村がここで何度も、長ったらしく書くのは自然な原理とコツを知れば、案外早くこの壁を越えることが出来るからです。

右足は前に出ると左肩が前に出、左手が前に出ます。
ほとんどの人は右足の動きと左手の動きが同時です。
これでは武術にならない。
右足は前に緩やかに前進しているが、左肩、左手を動かさない。
身体は姿勢維持の反射の動きを止められている形になる。
板バネがねじれている様に、ねじれのエネルギーが蓄えられる。
相手の心が動いた瞬間、判り易く言えば頭が少し前に出る、小胸を出す、左足に重心を移そうとする、左拳が動こうとする、竹刀の先を少し落とし拍子を突けようとする・・・等。
この瞬間、相手の色が見えた瞬間、左足をズルッと強く押し出す。
この瞬間、左拳は相手の鼻先を小指で突き上げる様に瞬時に押し出す。
この瞬間、丹田を中心に下方への足の伸び、上方への肩と手の伸びが起きる。
この瞬間、丹田と重心のズレがないとすっきりと伸びる。
これを【井桁崩し・いげたくずし】の原理という。
井桁とは昔の井戸の上に井桁に組んだ木枠があった。
四本の棒を四隅でゴムで縛り、尚かつ対角線上にゴムひもを二本つなげる。
少し力を加えると四角・長方形が菱形になる。
この長く伸びた菱形の下方が左足の支点になり、上方が右拳になる。
長くなった方の対角線の伸びる方向のベクトルが竹刀に伝わる。
武術的身体動作においては蹴り足はない。
ズルッと身体を伸ばす力が大切である。
実際の竹刀競技では遠間からの打を推奨されるが、刀ではそんなことは出来ない。
スポーツ的竹刀当て競技と武術的剣道は違うと云うことを理解し、それぞれのレベルで選択する必要がある。

千葉先生が「打つ瞬間は力の解放だ」と言ったと聞く。
身体がやや前傾で倒れそうになっている姿勢を、立て直したがっている内部に蓄えられたエネルギーを一瞬に解放する。
このとき内部応力の反射的解放であって、決して筋肉を使って何かをする動きではない。この筋肉は頭が参加しない、姿勢維持の筋反射である。
だからこそ【石火の機】の動きになる。

この瞬間は自分が決めるのではない。
相手が自分を打たれる様に引き金を引くのだ。
この前に左手が動くと、相手に簡単に捌かれてしまう。
剣道はこの【一瞬の我慢比べ!】に尽きるのだ!
相手が引き金を引くから、自分の頭の判断は参加していない。
無意識の感性、内なる神、仏、防御機構が瞬時に働くのだ。

剣道は足を出し死にに行く。
打つなら打って下さい!
打つ前に死ぬ!
後は身体が勝手にやる。
原田語録
【手は勝手に動くわなあ!足はしはそうは行かない!】

さて、最後がある。
左足の引きつけは左手の後方への振りの力になり、右手押し出しの力の源になる。
竹刀を持っている左手拳は後方へ行けないので下方内側へ向く。
この左手の動きは左脇を瞬時に締めることにより、左拳が鳩尾方向へと引き込まれる。
この瞬間が【茶巾絞り】薄い布を辛軽く前後に絞り引くことにより水気を切る方法に似ている。
竹刀の先の力を下に強く向けるには、頭を突き上げる。
この頭動きと当量の質量が肩を支点に、竹刀の先を下に向ける力に変換される。
意識としては額から喉元に斬り込む・・・これが極意。
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上達の秘訣6
西村雅興
2012年1月13日(金)
秘伝その5

秘伝5
理屈が分かったからと言ってもそう簡単には出来ない。
その理由は胴体力の運用能力が分からないからだ。
体幹の鍛え方が足りないと、胴体力を使えないのだ。

歩くとき右足が出れば左肩が出て、左手が前に出てバランスが取れる。
赤ちゃんの時のヨチヨチ歩きから、自然に二足歩行の身体原理を身につけて来たから出来ることで、その機能が未発達のゴリラでは未熟な歩き方をする。

この二足歩行の原理に沿った身体の構造と機能を、武術的な動きをする場合はかなり無理な条件を強いることになる。
攻め入りは右足を自然に出さないで、床の上を滑る様に出す。
このとき重心滑落するから、れを補う臂力(お尻から後足強い伸展力)が必要になる。
ここを鍛えないと足を前に出すと倒れてしまう。
そこで尚かつ、左拳を丹田の前に置いて手を前に出さない物だから、右肩から捻れ落ちようとする。
その為指導をしていると左手の拳を直ぐに出したがる。
この左拳の一瞬の我慢比べこそが大切で、剣道はここに尽きるのだ。
左足がゆっくり前に滑り出す時、左足も臂力が体の倒れを支える。
からが捻れを早く解き放ちたいと思っているが、最後の一瞬まで我慢する。
これにはテニスの錦織選手のエアーケイと言われる、空中バランスを保つ強い体幹に鍛えてなければならない。
最初これを教えると身体のバランスが取れないので苦労をする。
要は左足1本で前に倒れようとする身体を体幹の強さで空中バランスで取ることなのだ。
この臂力、体幹、竹刀との連動の鍛え方は、面打修正法に十分に書いてある。

ここで大切なことがある。
手は足の三倍速く動く。
足と同時に手が動くと、手は足の動きを待って緩慢な動きになってしまう。
それでは小手に斬られ、胴を抜かれる。
大体は道場の板目の境は30センチ幅になっている。
出来れば60センチ右足が移動し、最後の30センチ右足が進む時に左拳と左足の強い押し出しを使い強い引きつけをする。
そうすると剣体一致が得られる。
難しいのは左足1本で体を崩さずに前進出来る体幹の強さが必要なことだ。
多くの剣士はこの部分の鍛えが足りないので、武術的身体動作の獲得に苦労をする。
この体幹を鍛え前進する能力は、懸かり稽古で鍛えられる。
しかし、この練習が一番苦しい。
高校時代インターハイの代表選手くらいになるとその鍛えがある。
大人の皆様にこれを要求するのは酷なことだと分かっている。
それで、面打修正法をジックリ一人で練習してほしい。

この辺りがかなり出来ている七段合格前の先生方の場合。
やはり右足と同時に左手が出てしまう。
この一瞬の我慢比べの意識が足りないからだ。
しかし、何とか竹刀を早く面に当てようとの意識が消えない。
そこで、引き立て稽古で、右足をもう20センチ前に蹴る様に注意する。
意識が足にいき、手の意識が消える。
体の前進に意識が行くと、手は早く当てようとの意識が消え自然は動きに変化する。
そうすると本人がビックリする様な見事な面を打つ。
打った本人が驚く程だ。

これをどう説明するかに苦慮する所だ。
しかし、良いお手本がある。
島野先生の剣道ラボの西野先生の動画を参照してほしい。
http://www.st.rim.or.jp/~shimano/doujo/kendolab/nishino_ani_2004.html

最近、八段に合格した安江先生の審査風景、お祝い稽古の風景に素晴らしいお手本がある。
http://doyo-kai.net/

これらの動画を見て、西村が書いた内容を十分に参考にして稽古に励んで下さい。
どうしても分からない時は、千代田に西村が稽古に行っている時、その旨を伝えて指導を受けて下さい。
直接教われば十倍早く理解で出来身に付きます。
最近の西村の剣道はコーチングのボランティアに徹しています。
お気軽に声をかけて下さい。
ただし、いつも稽古に行っている訳ではないのであしからず。
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上達の秘訣7
西村雅興
2012年1月14日(土)
上達の秘訣7
秘訣6までは剣道の基本動作です。
相手と申し合わせ稽古の面打ちならこれで終わりです。
剣道は対人競技です。
自分が打ちたければ相手も打ちたい。
自分が打たれたくなければ、相手も同じ思いです。
先ず相手の中墨を取る。
中墨とは木材に直線の墨の線を引くとき、一方にピンで糸を押さえ、もう一方の位置が決まると、墨の付いた糸の中程を軽く上に引っぱりはじきます。すると一本の墨の線が引けます。
相手の中心と自分の中心(丹田と丹田を結ぶ線)実際には相手と自分の竹刀が切っ先の皮で真っすぐ接したとき、一本の線になります。
しかし、先皮の幅だけ相手の竹刀が邪魔になります。
この中墨を取る(センターを取る)、これが切っ先の争いです。
竹刀に力を入れる事なく、真っすぐに中心線を取る様に体を進め、一足一刀の間合いから、斬り間に入ろうとして行きます。
実際は5〜10センチ位でしょう。
この時竹刀の延長線上が喉元に押し込む様に全身の気を充満させて出ます。
相手がこの勢いに押され
・居着くと、相手は死に体になりますからその瞬間面に出る。
・相手が竹刀の先を見てしまうと、次の対応に0,2秒ぐらいかかりますから、簡単に面に打てます。
・相手の感が良く、すかさず面に出ようとする、この時相手は左足に支点を求めるため重心を一度軽く後方に引きます。
ここに乗って面を打つ。
これが面打の基本的な理合です。
一番ベーシックな面を打つ手順です。
この中墨を取り合っているときに、右足を間の境をスッと超します。
相手の無意識はこれを感じ打とうとします。
相手の有意識は未だ打つ事を決めていません。
無意識は予備動作をお超します。
相手の心が読めるのです・・・これが月影です。
この意識のタイムラグが打つチャンスです。
思えばそのとき身体はその目的の為に始動し始めます(予備動作あ)。
この一連の動きは腕に一段くらい差があれば簡単に出来ます。
これを十分稽古をして、攻めと読みと反射のレベルに高めて行きます。
反射を無意識レベルの動きに高めます。

相手が同等くらいで、この攻め入りに動じない場合が困ります。
月影を仕掛けるのだが、相手が先に打って来てしまって面を打てないと良く言われます。
自分の反応が悪いか、相手の反応が素早いか、間合いが近いからです。
もう一つ相手を見て引き出しながら、後から打って面に打ちたいと欲が深い事を考えているからです。
相手の体の全身を7とすると、自分の体の出を3にすれば、時間的に2倍以上の余裕が有る訳です。
相手の面を伸び切らせて、軽く面返し胴を決めます。
特に勘が良く、背も高く、素晴らしい出足の相手には最高の技です。
押し込まれて打った胴は相手が0,5段位が上。
相手を引き出して胴に返せば1〜1,5段位が上と心得て下さい。
いつの頃からか(武専)の先生方が10段に多くなった頃から、面打こそが尊重されすぎて来たきらいがあ有ります。
剣道は先ず突きありき、身を守り相手を仕留めるには小手が必須。
相手を伸びきらせ死に体にして打つ胴は、最高の技なのだ。
面を打てる様になれば何でも打てる・・・、だから面を打て!は中級者4〜5段レベルの修行段階の剣道の稽古です。
それだのに・・・・八段審査レベルになってもこの教えを大切に守り、面至上主義の傾向にハマっている。
高齢者の範士になれば面に拘っていません。
しかし、今の審査レベルではやはり面を重視しています。
本来見るべき所は気位、先を取って相手の心を捕まえているか、効率よい打ち方で仕留めているか、最小限の動きで武術的身体動作、重力を利用した動き、捌きが有るかを見るべきです。
現実には見事に捌いた先生が落ちるのが現実です。
蛮勇を奮い起こして面に突入した大きな面を(本来打てない面)相手の居着きかなにかでたまたま当たった人が受かっている。
審査員のレベルも問われるのかもしれません。
ここまでが先をとってのオーソドックスな部分です。
しかし、相手の腕が上がればこの程度では打てません。

秘訣8の次回を楽しみに!
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上達の秘訣8
西村雅興
2012年1月14日(土)
上達の秘訣8

前回はオーソドックスな足からの攻めと面です。

さらに高度な、足の動きが始まる前に先をかける名人が範士八段 岩立先生です。
重心の滑落で相手を起し始めます。
相手がこの攻めを感じた瞬間足を前に出し面に斬ります。
先生の構えの手元は丹田に近い低い位置にあり、手元をあまり前に出していません。
更に柄が短く手の内の冴えが強く出て、竹刀の先はしっかり面に食い込んで来ます。

かなり昔、先生の稽古を見て、相手が真っ二つに斬られていました。
驚嘆の目をもって見たものです。
防具をつけて先生と稽古をと・・思ったのですが止めました。
草野球の同好会がプロの野球選手と試合をする程のレベルの差を感じたからです。
まだ稽古をしてもらう時期ではないと思ったからです。
そこから、約5年間、岩立先生の研究を始めました。
先生の出ているビドオを沢山買い、自分でも熱心に先生の稽古ぶりを撮りました。
先生を研究し尽くした後、武道館で先生にお願いをしました(左足を痛めてたころ)。
その時は互いに1本も入らずに終わりました。
先生が「今日は稽古にならなかったね!」と言われました。
西村の足が痛いので先生の攻めに、打ち合いに出て行くことをしなかったからです。
西村が反応しないと先生の打てないのです。
その時、失礼な稽古をしたと思い半年後に松風館へ行って稽古をいただきました。
その時の状況は過去に書いてあります。

ビデオでの発見
何故相手がそこで打ちに出るのか?
先生はの足は全く動いていない!
でも!相手は何かを感じて打とうとしたのだ!

以下次号
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上達の秘訣9
西村雅興
2012年1月15日(日)
何度ビデオを見ても分からない!
そこで、一こま一こま詳細に部位別に見て行きました。
そこで発見したのです!
岩立先生の右足の袴から僅かに出ている指先が、スーッと隠れたのです。
袴の裾がスーッとまえに5センチほど前に出た。
まさに重心の滑落時の下腹がやや前で下方へ動く、その動きの反映が袴の裾の動きに出ていたのです。
この時重心と丹田を一致していると相手への圧力は凄いです。
先生の意識の中では「サアー行くぞ!」のかけ声がかかっていると思います。
この意識の反映が結果として重心の滑落、前足の指を袴の裾が覆うと云う結果になっています。
相手の無意識は敏感に察知し、対応的な予備動作に入ります。
この一瞬、先生は右足を浮かせ相手の左拳が動く瞬間をまっています。
蛇がカエルに行くぞ!と脅し、我慢の出来ないカエルがジャンプの体制に入ったとき、鎌首を少し動かしジャンプを促す。
ジャンプしかけたときその動きを途中で変更は出来ません。
空中に浮かんだカエルの飛んで行く方向の少し前をめがけて飛び出すと、容易に掴む事が出来るのです。

更に数年後、しかし何であんなに上手く行くのか疑問が残っていたので、武道館での稽古をつぶさに観察しました。
サアーいくぞ!の前に必ずほんの少し右足で間を詰めます。
相手が反応する前に一手間手順を踏んでいるのです。

おそらく先生はこの手順も、重心の滑落で裾が前足の指を隠す様なことはご存じないと思います。
長年の稽古と鍛錬の中で自然に身につけた合理的な武術的身体動作だったと思います。

西村は岩立先生自身の知らない意識の予備動作まで見抜いて、松風館の稽古に臨みました。
先生は予測通りの手順で攻めて来られました。
西村は先生の重心の滑落を察知し、あえてそれに乗り体を出しました。
一点他の人と違う所は起こされたのでは無く、誘いに乗って上げたが左拳は全く動いていない点です。
先生の無意識は当然、取ったと思い竹刀の先を上げやや手元をあげて面を打とうとします。
その石火の機に西村の竹刀の先は先生の小手を無意識に取っていました。
次に同じ様な場面で先生はそこから強引に小手を打たれながら面に来られましたが、西村の面の方が乗りました。
これは300時間以上の岩立先生の研究成果が出たという事であって、先生に勝ったと云うことでは有りません。
決定的なハンディーを頂いての結果です。

ここで言いたいのは【剣道は読みと反射である!】の原田先生の師匠の三橋先生の言葉です。

元立ちは相手を右足の攻めは入りで相手を起こし、それに対応して取っている。
山岡鉄舟が「蓋を取ってみないと中身は分からない!」と教えています。

剣道は叡智を絞って相手の鍋のふたを開けて、相手をしって動く。
この鍋のふたを開く作業に尽きるのです。

堅く閉ざした門を破って突撃は無謀です。
コンコンと軽く戸を叩き、相手が何だろう?と思って閂をはずし、そーっと門を開いたとき、突撃するのです。
これを【松風の極意】と言います。
岩立先生の【松風館】の尚の由来は直接聞いたことは有りませんが。
【ログ検索で(岩立)で検索して頂くと、膨大な量の興味ある書き込みが有りますので必ず全部お読みください。
きっとお役に立てると思います。

この手順は兵を引き静寂にし、相手がどうなってるだろう?と様子見に門を開けるのも同じです。
いわゆる剣道においても戦略が必要であると云う事です。

明治村の八段戦で奥園先生が圧倒的な強さで優勝されました。
当日、自分の眼で見ていたのですが、出小手の名手の奥園先生に相手が何故?面に打ってしまったのか?不思議でした。
そこで、ビデオを購入し詳細に見てみました。
八段戦の決勝戦です、相手は奥園先生の得意を十分知っている。
しかし、小手を打たれに出てしまった・・・。
岩立先生の時と同じで、足は前後の動きは全く無いのです。
何度見ても分かりませんし、スロー再生でも分かりません。
相手が面を打とうとする少し前から一こま一こま詳細に見ていきました。発見したのです!
奥園先生の左足の踵の高さが2センチから1センチ落ちたのです。
先生は攻めを緩めたのです。
相手は強く押し合っていた壁が急に暖簾の様に柔らかくなってしまった。
これは合気道の極意です!
フーッと体が前に出て面を打ってしまった。
思わず打ってしまったのか?無意識がチャンスと捉えたのか?わ分かりませんが、自ら相手の得意技にハマりに行った、打たれに行った、身投げの自殺をしたとしか言いようが有りません。

西村はこれを【緩める先】と行っています。
松風の極意と対照的な、兵を引いてみせる戦略と同じです。
ただし、奥園先生は低い竹刀の位置で打ってくれば小手を打つぞ!と相手に打たせないで一発触発の所まで追い込んで行きます。
この気迫は静かながら凄まじいものでした。
これは西村が実際明治村で見ていたので良くわかります。
相手もギリギリこらえていた。
しかし、一瞬相手の攻めが消えたのでつい打ってしまった!

西村と稽古をした人、
秋田の先生は【妖剣】と言います。
ある八段一次に受かった先生は打って行くが、なんだか捕らえ所が無くて胴を打たれていると言っていました。
ある人は階段を踏み外した様な感じで打たれていると言っていた。
先生と稽古をしても先生は全く心が動かない、自分は壁に向かっている様な気がする。
ある一瞬に何をされたのか分からないで打たれている。
先生の打ち始めは感じるのですが、竹刀で面を打たれる瞬間までその間が全く分からない。
打てると思い先に打って出たのに、先に打たれてしまっている。
西村との剣道にはゲーム性を感じないので、剣道を楽しみたい方は避けられる。
昇段を目指し、指導をこわれる人ばかり相手をしている。

現代剣道はスポーツとして発展しているが、先人が命を懸け、身を守る為に悟った武術的身体動作、これを可能にしている【肚の鍛錬】を高段者のなるとこれを目指さないと大きな意味が無い。
この肚の鍛錬こそが人生を豊かに実りあるものにしてくれる。

相手の心を読み、先を取り、反射で相手を打ち取り、そこがあなたの欠点ですよ!と心で呟く慈悲の心で【教育的打突】心がけたい。
指導者の大切な心がけだと思います。
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上達の秘訣10
西村雅興
2012年1月15日(日)
上達の秘訣10

さあ!これからが西村の剣道です。
西村は師匠・原田先生の後を追って剣道をしてきました。
という事は原田先生の師匠、三橋秀三先生の責め口と言う事になります。
この剣風は長身の人に向いています。
出来れば身長175センチ以上の人に最適です。

今間では剣先を正中に置き、動かさない方法でした。
相手の心を動かすには戦略が必要です。
左拳も右手も低い位置で丹田に近い位置に納めておく。
十分な攻め合いで相手が自分に十分同調したとき始めます。
腰から右足をゆっくりと前に出し、身体は面狙いですが、竹刀をやや水平にして、面を開けたまま下から小手狙いに攻めは入ります。
原田先生の右足の空間時間が長いのと距離も長い。
相手は、西村はかなり我慢をするが、とても我慢が出来なかった。
左腰の備えと後足の力不足、空間体勢維持の体幹能力の差が出て、倒れてしまう前に左手を出して打つしか無くなってしまっていた。
ほとんど人は先生の右足進みと滞空時間にかなわない。
相手から見れば体は面に攻めて来ている事は察知出来る。
先生の右手も竹刀も低く、原田先生の右胸の辺りに虚ろな空間が出来ている。
そこに吸い込まれる様に面を打ってしまう。
前進している相手に遅れて前に出ようと思った瞬間、左足に押しの支点を求めようと、一瞬重心が後方に行こうとする。
この瞬間先生は面にズルッと伸びる。
この伸び方が丹前を中心とした上下の伸展になる。
いわゆる、井桁崩し、平行四辺形から菱形になる対角線の伸びです。
先生はいわゆる足で蹴らない。
体をズルッと長く伸ばす。
青木君が言う「原田先生は攻めっぱなしで打つ!」
ほとんど相手は二つの遅れを取る。
一つは重心のキャッチボール、もう一つは竹刀の先を上げようと右手で竹刀を引き揚げる。
竹刀の先が前から後方へのベクトルを生み出す。
そして、後ろ向いたベクトルを今度は前向きに変えると云う何と無駄な力を遣っているか。
相手は一瞬前に少し出て、空中で一瞬停止状態を作り、竹刀の先が前にベクトル変換した時点で前に蹴り出している。
放物線の頂点は一瞬静止状態になる様な、全く無駄な動きをしている。
原田先生の竹刀の先は体の前進に従って前方へ行き、左手の押しでも竹刀の先は後方へ向かず前に伸び上がりながら相手の面に乗って行き最後は右手の強い前下方向の力と左脇の締めで面に竹刀の崎を斬って落としている。
賀来先生の竹刀の動きも、竹刀の先は後方へ下がらない。
スーッと相手の面の上に押上打っている。
腰で押し出しているので刺し面ににはなっていない。

刺し面の特徴は腰を強く後方に引き、その等量のエネルギーを竹刀の前進に遣い相手の頭頂を触りに行く打だ。
この竹刀の動きは一瞬の速い動きが出来る。
背の高い腕っ節の優れた人がこれで面を取る味をしめると、もう後には戻れない。本人は先に当たったと満足しているが、打たれた方は触っただけだと感じ、横で見ている心ある人は「みっともない打をしているとおもって見ている。」
腰が引け手を上げ真っすぐに前に出るから、喉元がら空きになる。
西村は突きでそれは違うと教えに行くが、もう西村とは稽古をしない。
面は突かれない様に打って面で、相手が突かない前提ならば手元を早く上げ、面を早く打ったもの勝ちになってしまう。
今の軟弱な剣道は相手がほとんど突きに来ない前提で面を打っている。
これは間違いである。
上級者が下級者の指導の場合、面打の引き立て稽古で突きを控え、相手の心を萎縮させないでノビノビと打たせる様なこのときに突きを出さないのである。
上手く面が打てる様になると、胴突きに出てこれをはね返す様に、腹で竹刀を折ってしまうくらいの気位の面を打たせて、腰の入った覚悟のある面を打たせる。
この次の段階では出来るだけ喉元を早期に上げない様に指導をする。
斬り間に(打間)入り、その時点で手元が動く様に指導をする。
右足が動いた瞬間には手元が上がっておれば、突きを誘う自殺行為に他ならない。
柳生の同窓会の稽古を見ると面白い。
かって県から選ばれての新進気鋭の七段の稽古会だ。
そのうちから八段になった人に八段を目指す人がかかっている。
甘い面に出ると、ほとんどが胴突きか、胸突きで押さえられている。
更に甘い打で面を狙って行くと、見事に諸手で疲れている。
これが侍の剣道だと思って見ている。
これに比べれば、いつも見ている剣道の稽古は軟弱、お楽しみ、ゲーム、娯楽剣道の感がある。
西村は七段までは突いた手を緩める、引くをする。
相手が八段だとしっかり突き抜く。
八段になっても突かれる様な面を打っているから寂しい限りだ。
八段くらいの相手だと打とうと思っていない、【お命頂戴つかまつります】
との肚で立ち会う。
一番有効な方法は体を捨て、命を捨て真っすぐ喉を攻める。
相手がそれを察知しないで、面打たいで面にくれば、喉を突いてお命を頂戴をする覚悟だ。
この覚悟の西村に普通の感覚で相手をするから、八段殺しの目に遭うのだ。
剣道も稽古のレベルが有る事を分かって欲しい。
余談に走ったが、最後の瞬間まで左拳を動かさない・・・の強調だ!

さて、原田先生は相手の反応によって、小手、胴を使い分ける。
その使い分けはそのときの状況で無意識にやっている様だ。
西村が未だに出来ないのが先生の抜き胴だ!
椎名先生が原田先生に胴を抜かれたとき、西村の所まで来て言った。
「胴を抜かれた瞬間、身体が参った!と言った。」
「こんな、参った!と思わせてくれる相手と稽古をしたくて範士と稽古をするのだ!」
「返し胴は俺も得意だが・・・あの抜き胴には参った!」

この攻め口は以下のログ検索で熟読して下さい。
西村の剣道研究のメインテーマですから。
ログ検索【三橋秀三】で検索をしてしっかり読んで下さい。

過去ログはかなり古いものまで有ります、現行ログだけではなく。全て読んで下さい。
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上達の秘訣11
西村雅興
2012年1月22日(日)
上達の秘訣1

今までは剣道の武道的身体動作、やや長身の人の剣道の上達方法でした。
ただ、岩立先生は中肉中背ですからそのつもりで。

小柄な先生で小手打の名手に埼玉の範士八段の大久保先生がおられます。
スッと体を入れる入り身が素早く、相手からすれば面が竹刀の先に出て来るから、思わず面と無意識が反射して手元が浮きます。
そこを見事に小手を打たれ一本にします。
この場合小手を取った後、先に小手には当たりますが、後打で面を打たれる、触られる事がほとんどで、一般的には相手の右膝の方へ右足を繰り出し、体を左に捌いて面打を避けます。
試合ではこの後打の面が入ると、審判は上げかけた旗を降ろします。
旗を揚げさせるには後打の面をささないことが秘訣です。
さて、スローで先生の小手を見ますと真っすぐに出てきます。
しかし、その後が凄い!腰を低くし、頭を思いっきり左に傾げながら、相手の右に体を逃がします。
まる頭を捧げ面を打たせ、その後胴を打つ様に体を捌き頭をかしげ、全力を上げて面を打たさない方法を取ります。
剣道として頭を真横くらいにかしげるのは、西村はあまり好きな部類では有りませんが、審判を置いて勝負の一本としては凄い技だと思います。
(昇段審査には向いていない剣道です。)

範士八段の押足先生は非常に小柄です。
しかし、見事に大きな面を決められます。
長身の相手、上背のある相手にどうして面が打てるのか?
攻め入った相手が面を打とうとすると、当然の事として面は入りません。
相手に竹刀の先を一瞬目で見させる(居着き)と、相手の反応は0,2秒後の動きになります(目が見て脳が指令を送り、筋肉が反応する生理的時間。)
それと、相手の竹刀を裏下から少し体を出して押し上げる。
相手の無意識はこれを嫌い押し下げ下げようと反応する。
この無意識の反射を利用し浮木の原理を応用する。
これは野正先生と西村の稽古の所で書いてあります。
更には表から攻め、裏の小手を打つ。
相手の反応と手元の硬さ、性格等を十分に探った上での最終的に技前を出し、仕留めるのです。

『野正先生
先生の剣先を裏から体を入れんと身を捨てて押す。
先生はこれを強く押さえ込みに懸かる。
『浮木』の原理で、ヒョイッと剣先を返してゆっくり、しっかりと出かけていた体をさらにお大きく入れて大きな面を打つと見事に入る。
打たれた先生は大喜びで褒めてくれた。
これは賀来先生と野正先生との立ち会いで、賀来先生が出された技.
賀来先生
「攻めたら、あいつさがりよった、逃げた相手は打てんわなあ!
そこで、あいつの性格を知っている。
裏から押し上げて攻めようとした、案の定強く押し返して来た。
気が強いからなあ!そこでヒョイッと剣先をかわして面だよ!」
西村「今度東京で野正先生に試してみます。」と賀来先生に言った。
虎の巻持参で野正先生と対峙した。
これが『読み』です、相手を計(はか)るです。
しかし、『読み』が本当か、どうかは分からない。
それで、身を捨てて刃の下に入って行く勇気がいる。
打つ前に死ぬ・・・である。』

詳しくは【野正先生 賀来先生】のログ検索を見て下さい。

小柄な先生が相手の面を打つ常套手段は小手を攻め、相手の無意識を動かし、小手を庇おうとする反射を引き出す方法です。

道場で見ていると打ちたい所を見て、そこを打つと予備動作を二段算段に節目をつけて相手に正体を明かしながら打っている。
本当に進歩と研究の無い剣道・運動をこれを永遠に行っている。
これは稽古とも練習とも言えない。
打つ前には【技前(わざまえ)】が無いと相手の心が動かず打てません。
それが高度になれば目で相手の小手を見れば切迫した状況、相手の勘が非常に良いとき、これで十分です。
非常に感性の高い人に西村が意識で竹刀を真剣に持ち変えると、相手は背筋に寒気が起きます
稽古の後で彼が言った『先生との稽古が急に怖くなった!』
素晴らしく勘が良く感性が高く反応する人でした。

皆様が道場で稽古される時、時々は見取り稽古をされ、『あの先生は何であん何に上手く一本が取れるにだろう?』と研究をして下さい。
そう言うものの剣道は一瞬の動きですから、明治村、八段戦等のビデを買って、典型的な一本の決まる技前をスロー再生、コマ送り再生で研究をして下さい。
両者の心の彩までもが見えてきます。
ただし自分の腕に相当する少し高い所が見えるだけですが。

剣道の極意の一つ、竹刀操作に限定して
○上を攻め下を打つ
○下を攻め上を打つ
○表を攻め裏を打つ
○裏を攻め表を打つ
○竹刀の先を相手の目で一瞬捉えさえる

ある程度剣道をした人ならば誰でも知っているが、実際はこれをほとんど忘れて、勘とスピードに任せて剣道をしている。
これは誰しもが陥る罠であるから、コーチングしてくれる人が必要なのだ。
ただ素直に教われる能力が低い人が多い。
剣道か特有の唯我独尊、我が道を行く、頑固なタイプが多いのだ。

あるお寺に参ったとき、入り口の大きな門を見てこれがお寺の本体と思い帰った人がいる。
『先達はあらまほしきもの(先導をしてくれる人はあって欲しいもの)』

西村夫婦が外国旅行をする時は日本人女性でその国の人と結婚をし、長年
その国に住んでいる中年の人をガイドに付ける。
その国の文化遺産や風俗、しきたりや多くの事を深いレベルで理解し楽しむ事が出来る。
その国の旅行の楽しさはガイドに尽きると言って過言ではない。
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上達の秘訣12
西村雅興
2012年1月30日(月)
秘伝最終章へ移行
(こちらを見て下さい。)
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上達の秘訣9  追加
西村雅興
2012年1月16日(月)
岩立先生のログ検索をして読まれましたか。
先生の更なる秘密があります。
西村は大先生とザックバランにお話が出来、色んな事を聞くし、先生も話されます。

俺はな、なかなか勝てなかった。
特練の中の競争も激しい。
そんなとき剣道の練習が無い時間はただ走り続けた。
あるときから急に試合に勝つようになり、運良く若くて八段に受かった。
あるときから急に試合に勝てなくなって来た。
色々考えると、走るのを止めた頃からだと気が付いた。
そこで、走り始めたら勝てる様になって来た。
強くなるには、剣道だけやっていても駄目だ!

西村の体重が重いとき108キロ、松風館へ稽古に行くと死ぬ思いだった。
動きの良いのは30分で、後は身体が動かない。
特に基本稽古主体の稽古日に参加すると惨めなものだった。
しばらくぶりに稽古に行った。
先生が身体の動きが良いと褒めてくれた。
「先生!最近は良く歩き、体重を下げ、ジムに通って鍛えています。」と言った。
岩立先生が言った。
「そうだよ!剣道ばっかしやっていても駄目だよ!」・・でした。

剣道は基本的に足でするものです。
しかし、ほとんどの人は竹刀の動きの速さの稽古ばかりしている。

かって、積水科学高等工学院の全寮制の高校生のとき。
毎日、年中朝は4キロの走り、部屋にかえると、八人部屋で腕立て100回,腹筋100回等は皆で競争し合っていた。
西村が主将になり一年生の部員が入って来ると、二年生は3ヶ月間、一年生は6ヶ月間、ほぼ毎日15キロくらい走らせた。
一年生はそれから面は付けないで、素振り、面の打ち込み稽古、試験中で走らないときは皆で素振り1000回でした。
面を付けたのは半年後でした。
普通こんな稽古は出来ない。
会社の養成校だったので西村の指示に従うしかなかったのです。
あるときは防具を付けたまま、天王山の山の上まで走り上がった。
一年生が面を付けての打ち込み稽古、切り返し、懸かり稽古と鍛えに鍛えた。
それから3ヶ月後、京都府社会人職域の部、五人の総段位15段までの団体戦があった。
二年生はAチーム、一年生はBチームで出場した。
何と準決勝は積水の学生のAとBの闘いだった。
西村に取っては、何と今回の試合での一番の強い相手だった。
ともかく社会人の大人と学生のスピードが天と地ほどの差があるからだ。
結局は面を付けて僅か3ヶ月の一年生が三位になってしまった。
面打ちしか知らないし、試合は初めての一年生(ほとんど剣道初心者)。
こんな事があるのです。
Aチームは決勝戦で大将戦となった。
さすがに京都府下の決勝戦だったので、西村の速い面がいくら入っても軽いせいか旗が挙らず、準優勝になってしまった。
この頃は社会人相手との試合だったが、2年間で負けたのは1〜2回くらいしか記憶に無い。
この時の大将戦と京都府警Aチームの大将との試合・・・この二つしか負けた記憶が無い。
社会人に比べ鍛え上げた足はスピードで圧倒的に有利だったのだ。

さて、何が言いたいか・・・社会人のチンタラした竹刀遊びの稽古と若い高校の鍛え上げたスピードが戦えば、竹刀で打ち合う前に、足の速さ、体の速さで勝負にならないと云う事だ。
面を付けて3ヶ月の剣道初心者集団が府下で3位になってしまうと事実が、剣道は足だと西村は言い切れるのだ。

早く昇段したければ地稽古は少なくし、走り込み、懸かり稽古、切り返しで足と体幹とを鍛え上げ、その上で足、体幹、腕、竹刀の連動を鍛えて行く事だ。
道場で見ていると、剣道をするのは大好きだが、昇段の為に鍛える事をしていない人がほとんどだ。

あの範士九段・楢崎先生もいつも走る事は止めなかった。

高段者になっても足から体を進め面を打ちたいものだ。
昇段を目指す先生には特に必要な事だ。
出きれば七段,八段を目指す先生方も同じ腕前、同じ年代の中、時には初老の年代の立ち会い、勝負を決めるは竹刀よりも足の差で決まる様な気がします。
昇段したければ・・・元立ち稽古は攻めと位と肚を鍛える。
昇段したければ・・・懸かり稽古、走り、歩き、打ち込み稽古。
自分が懸かり稽古をする尊敬すべき先生を捜す。

一つヒント・・・足首にウエイトを付けて毎日1時間、大股、早足歩きで鍛える。
試してみれば直ぐ分かる、一週間で何と軽やかに足が動くか。
これに味をしめると更に、5キロのウエイトベストを着て一時間歩く。
道場で蝶の様に軽やかに動く自分を感じる。
これなら出来るでしょう。

昇段をしたければ・・・このくらいのことはやってみよう!

高段者を目指すならば・・・参禅して自分を見つめる時間を作ろう!
自分が剣道をしている目的、目標、その意味。
自分の生きている意味、人生そのものを深く掘り下げてみよう。
愛とは自分にとって何ぞや?
そうすると本当の意味での剣道に近づく!
昇段審査を受ける自分の心は何か?。
そうすると受ける事もばからしくなったりする(人から評価を受けたいと云う、自分の自信の無さとコンプレックスの反同行為でしかなかったり)
イヤ、そうすると昇段を目指す意味がハッキリとし更に邁進する。
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Re:上達の秘訣9  追加
青木大輔
2012年1月18日(水)
毎日、600本振れ、そして三キロ走れ!したら腕は落ちない。終戦後の剣道禁止の時に、高野先生がおっしゃっていたそうです。走り込み大事ですね。マラソンペースでなくて、どちらかというと、ダッシュでしょうか。
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Re[2]:上達の秘訣9  追加
西村雅興
2012年1月20日(金)
『昇段を目指すならば大切な用件です。』
大股早足歩き、足首ウエイト、走る、等。
剣道を楽しんでいたり、元立でいる時は剣道の稽古で十分です。
元立ちの余裕は相手を多く動かし捌くからです。
竹刀は上手く動かすが、足や体の動きが落ちてきています。
上が達者で、下がズボラな剣道になってきていて、上下のバランスが崩れて来ています。
更に竹刀で処理をしょうとするので身体が崩れ、癖が強くなってきます。
賀来先生が「一生懸命稽古をして、だんだん下手になっている!」と言いました。
さて、昇段審査はほぼ互角の相手に差を見せて受かる訳です。
竹刀さばきは何十年とやって来て、週に2〜3回稽古をしているどうしです。
差がつくのは稽古量(審査員が動きを見て・・・良く稽古をしているなあ!)
しかし、同じ稽古は相手も昇段を目指しているのでそんなに差がつかない。
差がつくのはその一瞬、どちらの体の前進距離があるかです。
差がつくのは脚力の差が大きく左右する様になります。
早足で大股で歩くで十分だと重います。
出来れば足首にウエイトベルトを巻いて歩くと効果は抜群です。
(一ヶ月で効果は出てきます)
(足軽の様に軽く動けます)
青木君程若ければダッシュッも良いですが、年相応の走りを心がけて下さい。
青木君の昇段の大敵は【幸せ太りで体の動きに冴えが無くなること】です。
相手がしていないことをして、差をつけておくのが秘訣だと重います。
年齢と伴に足腰が弱ります。
大敵は鍛えようとして膝、足首を痛めるのが大敵です。
距離は少しずつ毎日伸ばすことが肝要です。
少しでも筋肉、膝に痛みが出たと感じたら、2〜3日休むくらいの心がけが大切です。
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